コロナ経験を積んだ1年
大手4社の営業力分析
大手生命保険各社の21年度第1四半期決算が出そろった。全都道府県で、初の緊急事態宣言が発令された中での営業を強いられていた前年同期と比較して、どの程度回復したのか。
振り返ってみると、20年4~6月は国内大手4社(日本生命保険、第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険)は手足を縛られた状態だった。主力の営業職員チャネル(生保レディ)は緊急事態宣言に伴って営業活動を自粛せざるを得ず、最大の武器である、顧客の元に足しげく通う営業ができなかったからだ。
その結果、20年第1四半期(4~6月)の新契約年換算保険料は激減。日本生命保険と第一生命保険は6割超の減少となった。
そんな状況からどの程度回復したのか。以下のグラフは、新契約年換算保険料の前年同期比(四半期ごと)の推移だ。
4社ともに一気に回復したが、中でも日本生命と第一生命は前年同期比3倍近い伸びを示した。
背景には、20年4~6月期中に実施された1回目の緊急事態宣言(20年4月7日~5月25日)は全国を対象としていたが、21年4~6月期中に実施された3回目の緊急事態宣言は東京・大阪・兵庫・京都など範囲が限定されたことや、ワクチン接種が進んでいることなどが考えられる。
20年4月の1回目の緊急事態宣言では、大手各社は営業職員に対して対面営業を禁止し、給与保証を実施。その後も新規契約の獲得目標を課さないなど、顧客や営業職員をコロナ感染から守るために、営業力を抑える施策を打ってきた。実際、日本生命では昨年度、営業職員に対して「新契約はコロナ前の7~8割の水準を目指そう」とアナウンスされていた。
21年度第1四半期の伸びを見ると、各社は21年度になって一気にアクセルを踏み込んだことが分かる。さらに「これ以上、営業を自粛してはいられない」という本音もうかがえる。これは、コロナ前である19年4~6月の新契約年間換算保険料と比較するとよく分かる。