育成からM&Aに視点を切り替えれば
オーナーにとってのタイパは改善する

 ただ、タイパというキーワードでこの後継者問題は全く違う角度から、全く違うこの問題の解決策が見つかるかもしれません。オーナーにとってのタイパを考えたら、後継者を育成するよりもM&Aの方が、スピードが速いものです。

 これはあくまでも、タイパだけを軸に頭の中で考える「初夢」のような話だとして聞いてください。一人や二人の後継者候補を社内で育ててだめだったという経験をされている会社の場合、一人や二人ではなく数十人規模で後継者候補人材が豊富な会社と対等合併したら、後継者問題は一気に片付きます。

 怒られそうですが、具体例を出してみます。ソフトバンクグループとソニーグループ、ファーストリテイリングは伊藤忠商事、日本電産はパナソニックと対等合併してみてはどうでしょう。お互い1+1が3にも5にもなりそうな話なうえに、後継者には困らない。タイパだけを考えたら、こんなに良い解決策はないのではないでしょうか?

 まあその代償に、オーナー経営者が育ててきた企業文化は発展的に消滅してしまうわけで、その意味では受け入れがたいアイデアでもあります。この話、あくまで「初夢」のご提案としてお許しいただければと思います。

 とはいえ、2023年という新しい年は若いZ世代だけでなく日本経済全体がタイパを意識して回る年になることは確実だと私は思いますが、その点みなさんいかがでしょうか?