北海道電力の泊原子力発電所北海道電力の泊原子力発電所 Photo:PIXTA

家庭向け電気代値上げに関する公聴会は、北海道電力が値上げを目指す電力大手7社の大トリを務めた。東京電力ホールディングスなど4社が原子力発電所の再稼働を前提に原価算定した一方、再稼働を織り込めなかった北電は、原発賛成派と反対派の双方から攻められてサンドバッグ状態となった。北電が描く再稼働シナリオは道民の理解を得られるだろうか。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

「原発を再稼働しないのは大ばか」
原発賛成・反対派から北電が“板挟み”

 主に家庭向け電気料金を意味する「規制料金」メニューの値上げ申請に係る経済産業省主催の公聴会は4月20日、北海道電力と、消費者である北海道民らが招かれて札幌市で開かれた。値上げ申請をした全7社が公聴会に出そろった形となる。

 7社のうち原発の再稼働が課題となっているのは5社。うち東北電力、東京電力ホールディングス、北陸電力、中国電力の4社は、値上げの原価算定期間中に原発再稼働を実施することを織り込み、再稼働によって総原価が下がると説明している。実際の再稼働が想定した時期に実行できるかどうかはさておき、だ。

 一方、北電は泊原発の再稼働時期を2026年12月と表明している。これは、今回の規制料金値上げに関する原価算定期間(23~25年度)に織り込めていないことを意味する。

 前出の4社は「電気代の値上げ幅の圧縮につながるならば、原発再稼働はやむを得ない」という言い訳を前面に押し出している動きにもみえる。だが、北電はそれすらできていないというわけだ。

「原発を再稼働しないのは大ばか」「停止中の原発の支出をどこまでコストに算入するのか」――。

 公聴会では、北電は原発再稼働の賛成派、反対派の双方から責め立てられることとなった。

 実は、北電は泊原発に関し、ある再稼働シナリオを描いている。それは「関西電力&九州電力方式」というものだ。次ページでは、その方式を明らかにするとともに、実現の可能性を占う。果たして、北電のシナリオは道民の理解を得られるのか。