総予測2024#67Photo by Masato Kato

2023年度は過去最高益が射程圏内の富士フイルムホールディングス。後藤禎一社長はその先の「30年度売上高3.5兆円」を見据える。特集『総予測2024』の本稿では、後藤社長が「金利が上がっても投資する」という勝負エリアを明かすとともに、24年に契約更新を迎える米ゼロックスとの関係について語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

利益率15~20%へ引き上げのために
投資を惜しまない

――2021~23年度中期経営計画の売上高目標2兆7000億円は22年度に達成し、さらに23年度は過去最高益が射程圏内です。

 チェキやミラーレスカメラが好調なイメージング領域と、複合機のビジネスイノベーションがキャッシュを安定的に生み出しています。これをヘルスケアなど成長事業に投資する作戦がうまくいっているのです。

 AI画像診断などヘルスケアは成長が目覚ましく、年間売上高1兆円が見えてきました。

 マテリアルズは半導体と電子材料の不況でやや苦戦していますが、これは一時的なもので、24年は復調の兆しが出てきました。

――計画を手堅く見過ぎたということはありませんか。

 手堅いどころかチャレンジングでした。円安も要因の一つですが、それ以上にヘルスケアやイメージングの成長が大きいです。

――30年度に売上高3.5兆円の長期目標を立てています。

 23年度売上高見通しが2兆9500億円(上期決算発表時点)なので、3.5兆円は難しい数字ではありません。重要なのはその中身です。現在10%前後の利益率を15~20%に引き上げるためには、投資を惜しみません。

 これまでも重点領域を中心に、全社売上高の6%前後の研究開発費を毎年投入してきました。この投資は今後も続けていきます。

次ページでは、後藤社長が「金利が上がっても投資」という勝負エリアを明かすとともに、24年に契約更新を迎える米ゼロックスとの関係について語った。また、長期政権だった古森重隆前CEOからバトンを受け取って3年目となる現時点での後継者人物像、バトンタッチのタイミングに言及した。