エヌビディアの株価が日経平均を左右するのは
日経平均の構成企業225社に「偏り」があるから

 さて、今後の日経平均を予測するにあたって重要なことがあります。

 それは、日経平均を構成する225社のウエートが偏っているということです。日経平均は大昔、日経ダウ平均と呼ばれていたようにアメリカのダウ平均をもとに作られた指標で、企業の株価に対して独特な加重平均をしたうえで算出されます。そのため、平均株価は一部の企業の株価によって押し上げられるという現象が起きます。

 具体的にお話しすると、日本を代表するトヨタは時価総額が50兆円を超えて、日本企業の中ではダントツに企業価値が高い会社です。ところが、このトヨタは日経平均の構成率としてはトップ10に入っていません。同様にソニーも三菱商事もトップ10から外れますし、時価総額5位のNTTなどは、日経平均構成比では100位近辺の影響力しかありません。

 つまり、以前小さかった企業の株価が上がると、その企業の株価変動が日経平均を大きく押し上げるという現象が起きます。

 日経平均の場合、ファーストリテイリングがダントツで全体の約11%を構成し、東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループ、信越化学までの上位5社で構成比は3割を超えます。

 ファーストリテイリングの最近の増益は、海外店舗のユニクロ売上比率が増えたことで説明できます。

 そしてそれに次ぐ4社の株価成長要因が、アメリカで起きているAI革命です。アメリカで株価を急騰させているエヌビディアに製造装置を売る日本の半導体メーカーと、AI市場の拡大でいかにも企業価値が上がりそうなソフトバンクグループが、インデックスを押し上げているのです。