生保・損保・代理店の正念場#18Photo by Yoshihisa Wada

損保各社が保有する政策株は、企業向けの保険商品の入札をゆがめる存在となっていたことが明らかになっている。各社は政策株の売却を5~6年かけて進めることを表明しているが、三井住友海上火災保険の舩曵真一郎社長は、できれば2年でゼロにする決意を示した。特集『生保・損保・代理店の正念場』(全31回)の#18で、その意気込みの背景を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

本業支援は矜持を持って解消
政策株は「できれば2年、6年後ゼロ」

──4月からビジネススタイルの変革を掲げています。その中身を教えてください。

 本業支援や政策株は昔と違い、現在の状況では競争環境を阻害する要因となっていました。早期に本来の提案力やアンダーライティング力でお客さまに選ばれる環境にします。また、業務改善計画の遂行を、世界で戦える保険会社になるための成長の機会にしたいと考えています。

 本業支援はしっかり矜持を持って解消していく。営業現場では、担当者が迷うこともあると思いますが、弊社の社員がすべきではないと考えたら、判断してやめるべきです。

 政策株は取引関係の発展などのために保有してきましたが、できれば2年後までに解消、上場株式は6年後ゼロにします。純投資株と政策株の所管部署を明確に分離し、情報のファイアウオールも敷きます。純投資株の所管部門を営業政策から独立させるために、営業関連の部署は関わることを禁止しました。投資の意思決定はあくまで経済的価値のみを基準に行います。

 政策株を純投資株に振り替える場合には、営業部門が政策株の売却を了解したものの中から選定し、その合理性について監査法人など第三者の確認を得ることを検討しています。

政策株の売却時期を大手損保4社の中で最も早い、「できれば2年後までに解消、上場株式は6年後ゼロ」に設定した三井住友海上火災。舩曵真一郎社長は、それに合わせて人事制度の改革や企業文化改革を進め、事業構造をさらに筋肉質に変えなければならないと危機感を募らせている。いかにしてそのような考えに至ったのか。その意気込みについて、次ページで話を聞いた。