もちろん、こうした中国勢が台頭する状況に日本車各社も手をこまぬいておらず、30年に向けて投資を一気に拡大させて、生き残りに向けた積極的な経営姿勢を強めている。

 とりわけ大きな発表を行ったのがホンダだ。30年までに、EV・ソフトウエア関連に10兆円投資することを発表したのだ。思いきった“賭け”に出たともいえるだろう。

 ホンダは、すでに八郷隆弘前社長時代に「2030年ビジョン」を発表しており、この時点から30年にはグローバル販売の3分の2を電動車にするとしていた。さらに、22年には三部敏宏現社長がそうした目標を裏付けるように、「10年間で電動化・ソフトウエア領域に約5兆円を投入する」と公表していた。

 だが、ホンダは24年に入って、2年前のこの投資計画を一気に2倍の10兆円に引き上げたのだ。内訳は車載ソフト関連で2兆円、車載電池関連で2兆円、次世代工場で6兆円。あのトヨタでも、現時点では30年までにEV関連で5兆円を投資するとしていることから、いかにホンダの10兆円の規模が大きいかが分かるだろう。三部社長はこの大規模投資の中で「EVをベースとしてSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)の開発を強化する」ことの重要性も強調している。また「30年といっても、あと5年強で時間がない」とみて、新しい技術への投資のスピードアップにも言及した

 また、日産もすでに「Nissan Ambition 2030」という長期ビジョンを発表しており、内田誠社長は「この長期ビジョンは日産がどこに向かっていくのかの羅針盤。“日産ならでは”を追求していく」と述べている。