オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列#3Photo by Takeshi Shigeishi

上場するオーナー企業で不祥事をきっかけにガバナンス不全が露呈する事例が相次いでいる。象徴的な例が、紅こうじサプリメントによる健康被害問題が生じた小林製薬だ。ではオーナー企業でガバナンスを利かせるにはどうすべきか。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#3では、ガバナンス論に詳しい八田進二・青山学院大学名誉教授を直撃。八田氏は「社外取締役はオーナーと刺し違える覚悟を持つべきだ」と断じた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

不祥事で揺れるオーナー企業の統治
オーナー自身の存在が統治だった

――不祥事などをきっかけに、上場するオーナー企業のガバナンスが焦点となっています。

 上場企業のガバナンスの議論は所有と経営の分離がスタートです。つまり、業務執行と監督を明確に分けなさいということが前提になっています。しかし、オーナー企業の場合は、必ずしも所有と経営が分離していません。上場はしていても創業家を中心に多くの株式を持っているケースが多々あるからです。

 実は、これまでオーナー企業は、オーナー自身がガバナンスをきかせてきたといえます。仕組みなどではなく、オーナーや創業家の存在自体がガバナンスとなっていたのです。従業員は安心し、逆らうこともない。オーナーがリーダーシップを発揮して企業価値も高まり、株価も上がり、業績も上がれば文句を言うこともないわけです。ただし、企業はオーナーの所有物ではなく、将来にわたって成長を遂げ、企業価値を高めていかなければなりません。

――ガバナンスには社外取締役の存在は欠かせませんが、オーナー企業は非オーナー企業よりガバナンスを利かせるのが難しいのではないでしょうか。