女性をやる気にする伝え方 その6
「認めたい欲」で伝える

「おまえたち手を抜いているだろう」

監督をしていると、そう思う瞬間もあるでしょう。ですが佐々木監督はこう伝えています。

「もっとできる」「もっと伸ばせる」

 実は、伝えたい内容は同じです。ですが「おまえたち手を抜いているだろう」と言われると昔のスポ根時代は、それを恥じてがんばるということもあったでしょう。ですが現代の女性は、違います。逆にやる気をなくしてしまう人もいるかもしれません。一方で「もっとできる」と、可能性を言ってあげるとやる気を出しやすいのです。
 こちらは、伝え方の技術である「認められたい欲」です。

 スポーツだけなくビジネスの現場でも、上に立つ人たちからすると「部下が手を抜いているな」と思うことはあると思います。ですがそれをストレートにそのまま言うと、かえって逆効果。彼女たちが自分から「がんばろう!」と思えるように伝えてあげるのです。 

 コミュニケーションの基本は、「相手のことをどれだけ考えて、話ができるか」です。女性に気持ちよく仕事してもらうためのコミュニケーション方法。それは、はじめに紹介した佐々木監督の

「女性をうまく扱うことはできないが、女性の意見に耳を傾けて、自分を変えることぐらいならできる」

 こちらにつきます。『伝え方が9割(2)』に詳しく書かれてありますが、自分の言いたいことをストレートに言えば、それで女性が言うとおりに行動してくれるわけではないのです。女性が気持ちよくそうしたくなるように、自分を変える。伝え方を変える。

 これぞ、なでしこを2度連続で決勝戦まで連れて行った、監督のコミュニケーションの秘密でした。