企業直撃 新・地政学リスク#5Photo:Bloomberg/gettyimages

米商務省が乗り出した中国ファーウェイへの輸出規制の第3弾は、これまでとは次元の違う米政府の対中制裁だ。特集『企業直撃 新・地政学リスク』(全14回)の#5では、9月15日以降、突然の出荷停止に追い込まれたソニーの半導体をはじめとする日本企業の衝撃に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

日本企業に打撃与えた
米政府の輸出規制の第3弾

 とうとう日本企業に波及した――。米商務省が8月17日に中国ファーウェイ(華為技術)への制裁強化を決定したことで、9月15日以降、ソニーがファーウェイのスマートフォン向けに供給している画像センサーの出荷ができなくなった。

 ソニーにとって、スマホのカメラの高機能化を追求するファーウェイは、高性能の画像センサーの大口顧客。だが、米政府の判断からわずか1カ月で、それを丸ごと失ったのだ。

 米商務省によるファーウェイ向けの輸出規制は3回目だが、今回は日本企業の製品出荷に直接打撃を与える異次元の措置だ。日本にとって影響が大きいのが「再輸出規制」で、米国の技術やソフトウエアを使って製造されたものであれば「メード・イン・アメリカ」の再輸出と見なされて、米政府の許可がなければファーウェイ向けに輸出できなくなった。

「こんなに簡単に、米政府が再輸出規制の名目で日本企業の製品出荷を止められるとなれば、リスクをもたらすのはファーウェイ向けの製品にとどまらない」。そう語る経済産業省の中堅幹部は、所管する日本企業を対象に、ファーウェイ以外の中国企業に禁輸が広がった場合の影響について調査を始めたことを明かした。