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坪井賢一
2023年1月11日に高橋幸宏、3月28日に坂本龍一が続けて亡くなり、「イエロー・マジック・オーケストラ」(YMO)の3人が演奏することは永遠になくなってしまった。しかし、レコード(記録)は永遠に残り、音楽や映像は時空を越え、いつでも視聴することができる。世界の音楽市場を1970年代末から短期間で制したYMOはその後、三者三様の音楽活動を展開しつつ、90年代以降は時折顔をそろえてライブに出演し、テレビ番組にも登場していた。二人の軌跡をたどる(敬称略)。

2023年は「現代史上の3大経済学者」、マルクス没後140年、ケインズとシュンペーターの生誕140年という節目の年に当たる。中でも経営学に大きな影響を与えたシュンペーターは、「企業家のイノベーションによる創造的破壊」こそ、経済成長(好況)の原動力だと論じた。そのシュンペーターの名前を日本で初めて活字にしたのは意外にも、経済や経営の学者ではなく、かの文豪、森鷗外(1862~1922)だったのである。

三井記念美術館が東京・日本橋にある三井本館の7階に開館したのは2005年のこと。三井ファミリー11家に伝わる美術品のコレクションが寄贈され、研究と公開に供されてきた。一方、三菱の創業家である岩崎家も書画や骨董、美術品のコレクションを有し、それらを収めた静嘉堂文庫美術館が、東京・世田谷から東京・丸の内に移転したのが2022年10月。こうして両美術館は“ご近所さん”となり、さらに23年3月3日の節句では、三井家と岩崎家の「ひな人形展」がまるで競うように開催されている。

1928年生まれのイタリアの作曲家、エンニオ・モリコーネが2020年7月に91歳で他界した。映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」はその5年前、16年からジュゼッペ・トルナトーレ監督が製作をスタートしていた。この映画は巨匠モリコーネの作曲とオーケストレーション(管弦楽法)のプロセスが詳細に描かれた大長編ドキュメンタリーだ。イタリアで21年に公開され、日本では22年12月から全国で上映が始まった。

今でこそ世界の歌劇場で歌って演じる日本人オペラ歌手は増えているが、100年以上前に英ロンドンでデビューし、欧米各国で活躍した女性がいた。三浦環(1884~1946)である。詳細を記録されてしかるべき伝説的な歌手だが、なかなか本格的な評伝には恵まれなかった。そこに2022年10月、最新の評伝が登場した。著者は脚本家の大石みちこ(東京芸術大学大学院客員教授)で、全て読み終えた後の充足感は深い。近年では傑出した評伝だ。

「YUMING MUSEUM」という展覧会が東京・六本木ヒルズの東京シティビュー(屋内展望台)で開催されている(会期は2月26日まで)。会場はビルの52階、海抜250mの高さで回廊の大きな窓からは関東平野を一望できる。デビュー50周年のユーミンこと松任谷由実のポップな音楽を探索するには絶好の機会であり、ユーミンの知的生産活動を丸ごと展示した画期的なイベントだった。

「YUMING MUSEUM」という展覧会が東京・六本木ヒルズの東京シティビュー(屋内展望台)で開催されている(会期は2月26日まで)。デビュー50周年のユーミンこと松任谷由実のポップな音楽を探索するには絶好の機会であり、ユーミンの知的生産活動を丸ごと展示した画期的なイベントだ。本稿では日本のポップスの歴史を振り返りながら、グループサウンズとユーミンをひもとき、ユーミンのデビュー時の知られざる秘話について記していく。

映画「ビー・ジーズ 栄光の軌跡」が2022年11月25日から公開されている。東京ではヒューマントラストシネマ渋谷と新宿武蔵野館、大阪ではシネ・リーブル梅田といった文芸作品を上映する小型の映画館でスタートし、順次全国主要都市で上映する予定だ。ビー・ジーズは1967年の「ビー・ジーズ・ファースト」から2001年の「ディス・イズ・ホエア・アイ・ケイム・イン」まで、34年間に20枚のアルバムを発表し、全世界の売上枚数(レコード、CDなど)は、2億2000万枚を超える(タワーレコードの解説)。「ビー・ジーズ 栄光への軌跡」は、そんな世界的グループの幼少期から現在までを記録映像で編んだ秀逸なドキュメント映画だ。

新橋-横浜間の鉄道開業が1872(明治5)年、ちょうど150年前のことだ。これを記念した展覧会やさまざまなイベントが全国で開催されている。新橋-東京間の高架橋下の飲み屋、喫茶店、食堂は頻繁に訪れていた。あの「赤レンガ高架橋」は鉄道開業の30年後、明治末に出来上がったもので、100年以上前のたたずまいがそのまま残っている。鉄道のアニバーサリーを祝し、一人で100年前の赤レンガ高架橋下を全部歩いてみた。

東京都美術館(東京・上野)で「展覧会 岡本太郎」が始まった(12月28日まで)。大阪中之島美術館に続く「東京展」の後は、「愛知展」が開催される予定だ(愛知県美術館、2023年1月14日から3月14日まで)。1970年に開催された大阪万博のシンボル「太陽の塔」は誰もが知る岡本太郎の作品だろう。70メートルの巨大な縄文土器が、平坦な金属の屋根を突き抜けるようにそびえ立ち、圧倒的な存在感で驚かせた。あれから52年、太陽の塔は万博記念公園で保存され、内部の造形「生命の樹」は整備されて2018年から一般公開されている。岡本太郎の芸術は生誕111年を経て、現在も世間を挑発し続けている。

『プラウド・メアリー』『バッド・ムーン・ライジング』『雨を見たかい』など、一連の大ヒット曲で、1960年代末から70年代初頭にかけて世界中のヒットチャートを席巻したのがアメリカのロックバンド、「クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル」である。彼らは52年前、クラシックの演奏会も開催する格式高い英ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでコンサートを開いた。そのライブを丸ごと収録したCDが52年もの時を経て、2022年9月16日に初めて発売された。

1970年5月に公開された映画『レット・イット・ビー』は、69年1月に行われたザ・ビートルズのレコーディング風景を記録した映画だ。暗い色調でザラッとしたフィルムの質感のため、沈うつな印象のままポピュラー音楽史を通り過ぎていった。それから50年超――同映画を、『ロード・オブ・ザ・リング』の鮮やかな映像美で勇名をはせたピーター・ジャクソン監督が“リメイク”。『ザ・ビートルズ:Get Back』と題して2021年11月に公開された。公開といっても劇場ではなく、ディズニープラスによる配信だ。この作品がソフト化され、ついに22年7月、完全版が発売された。

オリビア・ニュートン・ジョンが2022年8月8日に73歳で亡くなった。1948年生まれだから日本でいえば団塊の世代、80歳を超えるポール・マッカートニーやリンゴ・スターに比べたら若い。まだまだ歌っていてほしかった歌手だ。彼女の活動と魅力を振り返り、追悼の意を示したい。

トスカニーニやフルトヴェングラー、カラヤン、バーンスタインといった著名な指揮者を取り上げるのではなく、「知る人ぞ知る」名指揮者とその音盤を紹介していくシリーズ。2回目は、マニュエル・ロザンタール(1904~2003)の「エリック・サティ管弦楽曲集」だ。ロザンタールはフランスやアメリカで活躍し、作曲家としても名を残している。サティのピアノ曲は1980年代に環境音楽の先駆としてブームとなった。管弦楽はどうだろうとロザンタール盤に針を落とすと、聴いてびっくり。鮮やかな音でメリハリがきいている。

世界的なクラシック・レーベルであるドイツ・グラモフォン(ユニバーサル・ミュージック・グループ)から、ウィリアム・スタインバーグ指揮ピッツバーグ交響楽団による「ブラームス交響曲全集」(CD3枚組)が発売された。よく表現を練った素晴らしい演奏だが、スタインバーグの名前と演奏を記憶している人は少ないだろう。この機会に、スタインバーグの知的で強靭な演奏を聴いてみよう。

東京都現代美術館で「井上泰幸展」が6月19日まで開催されている。「特撮美術監督」である井上泰幸は、東宝の特撮映画の最初期、つまり「ゴジラ」や「ラドン」のころから美術担当として活躍してきたすごいアーティストだった。その生涯と展覧会の見どころについて触れていく。

上野リチは、日本人建築家と結婚して来日したウィーン出身の女性で、昭和戦前から1960年代まで、京都や東京で活躍したデザイナーだ。生物をモチーフにした華やかでポップなテキスタイル・デザインがよく知られている。この憂鬱な時代に、心を浮き立たせてくれる展覧会だった。

カール・メンガーとJ.A.シュンペーター。どちらも経済学をかじった人なら、絶対知っている名前だろう。しかし、二人がウクライナと深い縁があることは、筆者のような経済学マニアくらいにしか知られていない。二人の青年は彼の地で何を考え、後世に残る経済学を構築したのか。

カール・メンガーとJ.A.シュンペーター。どちらも経済学をかじった人なら、絶対知っている名前だろう。しかし、二人がウクライナと深い縁があることは、筆者のような経済学マニアくらいにしか知られていない。二人の青年は彼の地で何を考え、後世に残る経済学を構築したのか。

2021年に2種類の世界史全集が登場した。一つは『岩波講座 世界歴史』全24巻(岩波書店)で、10月から毎月1巻のペースで発売されている。完結はだいぶ先だ。もう一つは『角川まんが学習シリーズ 世界の歴史』全20巻で、すでに全巻発売され、店頭に並んでいる。読者対象は小学生から高校生だそうだが、大人が読んでも抜群におもしろい。すっかりはまってしまい、全巻を一気に読んでしまった。
