坪井賢一
「YUMING MUSEUM」という展覧会が東京・六本木ヒルズの東京シティビュー(屋内展望台)で開催されている(会期は2月26日まで)。デビュー50周年のユーミンこと松任谷由実のポップな音楽を探索するには絶好の機会であり、ユーミンの知的生産活動を丸ごと展示した画期的なイベントだ。本稿では日本のポップスの歴史を振り返りながら、グループサウンズとユーミンをひもとき、ユーミンのデビュー時の知られざる秘話について記していく。

映画「ビー・ジーズ 栄光の軌跡」が2022年11月25日から公開されている。東京ではヒューマントラストシネマ渋谷と新宿武蔵野館、大阪ではシネ・リーブル梅田といった文芸作品を上映する小型の映画館でスタートし、順次全国主要都市で上映する予定だ。ビー・ジーズは1967年の「ビー・ジーズ・ファースト」から2001年の「ディス・イズ・ホエア・アイ・ケイム・イン」まで、34年間に20枚のアルバムを発表し、全世界の売上枚数(レコード、CDなど)は、2億2000万枚を超える(タワーレコードの解説)。「ビー・ジーズ 栄光への軌跡」は、そんな世界的グループの幼少期から現在までを記録映像で編んだ秀逸なドキュメント映画だ。

新橋-横浜間の鉄道開業が1872(明治5)年、ちょうど150年前のことだ。これを記念した展覧会やさまざまなイベントが全国で開催されている。新橋-東京間の高架橋下の飲み屋、喫茶店、食堂は頻繁に訪れていた。あの「赤レンガ高架橋」は鉄道開業の30年後、明治末に出来上がったもので、100年以上前のたたずまいがそのまま残っている。鉄道のアニバーサリーを祝し、一人で100年前の赤レンガ高架橋下を全部歩いてみた。

東京都美術館(東京・上野)で「展覧会 岡本太郎」が始まった(12月28日まで)。大阪中之島美術館に続く「東京展」の後は、「愛知展」が開催される予定だ(愛知県美術館、2023年1月14日から3月14日まで)。1970年に開催された大阪万博のシンボル「太陽の塔」は誰もが知る岡本太郎の作品だろう。70メートルの巨大な縄文土器が、平坦な金属の屋根を突き抜けるようにそびえ立ち、圧倒的な存在感で驚かせた。あれから52年、太陽の塔は万博記念公園で保存され、内部の造形「生命の樹」は整備されて2018年から一般公開されている。岡本太郎の芸術は生誕111年を経て、現在も世間を挑発し続けている。

『プラウド・メアリー』『バッド・ムーン・ライジング』『雨を見たかい』など、一連の大ヒット曲で、1960年代末から70年代初頭にかけて世界中のヒットチャートを席巻したのがアメリカのロックバンド、「クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル」である。彼らは52年前、クラシックの演奏会も開催する格式高い英ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでコンサートを開いた。そのライブを丸ごと収録したCDが52年もの時を経て、2022年9月16日に初めて発売された。

1970年5月に公開された映画『レット・イット・ビー』は、69年1月に行われたザ・ビートルズのレコーディング風景を記録した映画だ。暗い色調でザラッとしたフィルムの質感のため、沈うつな印象のままポピュラー音楽史を通り過ぎていった。それから50年超――同映画を、『ロード・オブ・ザ・リング』の鮮やかな映像美で勇名をはせたピーター・ジャクソン監督が“リメイク”。『ザ・ビートルズ:Get Back』と題して2021年11月に公開された。公開といっても劇場ではなく、ディズニープラスによる配信だ。この作品がソフト化され、ついに22年7月、完全版が発売された。

オリビア・ニュートン・ジョンが2022年8月8日に73歳で亡くなった。1948年生まれだから日本でいえば団塊の世代、80歳を超えるポール・マッカートニーやリンゴ・スターに比べたら若い。まだまだ歌っていてほしかった歌手だ。彼女の活動と魅力を振り返り、追悼の意を示したい。

トスカニーニやフルトヴェングラー、カラヤン、バーンスタインといった著名な指揮者を取り上げるのではなく、「知る人ぞ知る」名指揮者とその音盤を紹介していくシリーズ。2回目は、マニュエル・ロザンタール(1904~2003)の「エリック・サティ管弦楽曲集」だ。ロザンタールはフランスやアメリカで活躍し、作曲家としても名を残している。サティのピアノ曲は1980年代に環境音楽の先駆としてブームとなった。管弦楽はどうだろうとロザンタール盤に針を落とすと、聴いてびっくり。鮮やかな音でメリハリがきいている。

世界的なクラシック・レーベルであるドイツ・グラモフォン(ユニバーサル・ミュージック・グループ)から、ウィリアム・スタインバーグ指揮ピッツバーグ交響楽団による「ブラームス交響曲全集」(CD3枚組)が発売された。よく表現を練った素晴らしい演奏だが、スタインバーグの名前と演奏を記憶している人は少ないだろう。この機会に、スタインバーグの知的で強靭な演奏を聴いてみよう。

東京都現代美術館で「井上泰幸展」が6月19日まで開催されている。「特撮美術監督」である井上泰幸は、東宝の特撮映画の最初期、つまり「ゴジラ」や「ラドン」のころから美術担当として活躍してきたすごいアーティストだった。その生涯と展覧会の見どころについて触れていく。

上野リチは、日本人建築家と結婚して来日したウィーン出身の女性で、昭和戦前から1960年代まで、京都や東京で活躍したデザイナーだ。生物をモチーフにした華やかでポップなテキスタイル・デザインがよく知られている。この憂鬱な時代に、心を浮き立たせてくれる展覧会だった。

カール・メンガーとJ.A.シュンペーター。どちらも経済学をかじった人なら、絶対知っている名前だろう。しかし、二人がウクライナと深い縁があることは、筆者のような経済学マニアくらいにしか知られていない。二人の青年は彼の地で何を考え、後世に残る経済学を構築したのか。

カール・メンガーとJ.A.シュンペーター。どちらも経済学をかじった人なら、絶対知っている名前だろう。しかし、二人がウクライナと深い縁があることは、筆者のような経済学マニアくらいにしか知られていない。二人の青年は彼の地で何を考え、後世に残る経済学を構築したのか。

2021年に2種類の世界史全集が登場した。一つは『岩波講座 世界歴史』全24巻(岩波書店)で、10月から毎月1巻のペースで発売されている。完結はだいぶ先だ。もう一つは『角川まんが学習シリーズ 世界の歴史』全20巻で、すでに全巻発売され、店頭に並んでいる。読者対象は小学生から高校生だそうだが、大人が読んでも抜群におもしろい。すっかりはまってしまい、全巻を一気に読んでしまった。

2021年は明治天皇の「廃藩置県の詔」からちょうど150年。千葉県文書館が、藩から県への複雑な変遷の詳細を展示しているというので見に行った。世襲の各地藩主が領地と領民を支配し、身分制度の下で税を徴収、徳川幕府と分けて統治していた江戸時代の幕藩体制は、神聖ローマ帝国の領邦制と似た仕組みだった。日本各地の藩は、転封(移動)がいろいろあったとはいえ、基本的な構造は270年も続いた政治と文化と生活の単位である。この幕藩体制を、現在の中央政府と47都道府県体制に変革したのが明治維新後の「廃藩置県」だった。

ザ・ビートルズの最後のアルバム『レット・イット・ビー』の発売は1970年5月(日本盤6月)だから、50周年は昨年(2020年)だった。ようやく21年10月に6枚組豪華高額セットがユニバーサル ミュージックから発売され、映画『ザ・ビートルズ:Get Back』も11月にディズニープラスで配信された。

「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」を見に行った。棺(ひつぎ)から出して解剖することなく、3次元ITスキャンによって、まるでCG映画のような精細さで画像が投影されている。あまりの美しさと荘厳さ、そして今から3000年近く前の「人生」まで浮上してきて、陶然として見入ってしまった。

8月には新型コロナウイルスの1日あたり新規陽性者数が全国で2万5000人(重症者は約2000人)を超えた。が、その後は急減し、10月12日時点で1日あたり同1000人を下回っている。政府や感染症対策分科会の発表文を見ても急減の理由ははっきりしない。理由がまったくわからないので、われら市民は戸惑うばかりなのだが、ここはひとつ、自分のアタマで考えてみることにしよう。

「007シリーズ」25作目の新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」が、日本では10月1日に公開される。「007」シリーズを全部映画館で見ている筆者が、59年間に及ぶ長い「007」の歴史をひもとき、初めて見る若いシネマ・ゴーアーのための基礎知識を提供しよう。

東京・上野の国立科学博物館で特別展「植物 地球を支える仲間たち」が開催中だ。目玉の展示植物は、世界最大の花「ラフレシア」、高さ2.72mの花「ショクダイオオコンニャク」、数百年生きる葉「キソウテンガイ」、最古の植物化石「クックソニア」といった普段はお目にかかれない奇怪な造形物の数々だ。動物とはちょっと違う生命進化の経路も面白い。夏休みといえば「恐竜展」が定番だが、今年は「植物展」で生物の勉強をするのもいいのでは。
