
芥田知至
金相場は2023年12月に史上最高値を更新した。その後もほぼ2000ドル台を維持している。米利下げ期待はあるものの、ドルの実質金利は高止まりしているにもかかわらず、高値圏で推移している理由を検証した。

原油相場は足元下落基調で推移している。値頃感が出ているともいえるが、中東情勢を巡る懸念の緩和や米中経済減速による石油需要の鈍化で需給が緩みやすくなっている。当面は一進一退の動きが続きそうだ。

世界景気の動向に敏感な指標として注目される銅相場は、2023年8月初めに1トン当たり8860ドルと6月以来の高値に上昇した後、下落傾向で推移して10月下旬には7856ドルと2022年11月以来の安値を付けた。その後、一進一退の中で、11月半ばには8300ドル台まで値を戻したが、上値は重い。その原因は米中経済を中心とする先行き不透明感にある。

産油国による協調減産で原油相場は押し上げられてきた。10月に入り米金利高・ドル高で下落に転じるも、イスラエル・ガザ紛争で再び上昇圧力が強まり、高止まりした水準で推移している。

9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利上げの可能性が示唆された。金利上昇は金相場にとってマイナス材料。しかし、ウクライナ情勢、米政府機関の閉鎖懸念などリスクオフ要因には事欠かず、金相場は底堅い展開が予想される。

8月10日に原油相場は高値を付けた。サウジアラビアなど産油国の協調減産が相場の底を支えている。しかし、一方で中国経済の回復の遅れが相場に影を落としている。米国の景気の堅調さも米長期金利上昇を通して相場の頭を抑える。しばらくは方向感の乏しい展開となりそうだ。

中国経済の停滞感が強まる中、銅相場の上値は重い。米国の利下げ転換が見えてこないことも懸念材料だ。中国の景気刺激策への期待はあるものの、当面一進一退の動きとなりそうだ。

OPECプラスの協調減産に加え、サウジアラビアは自主減産を続けているものの、原油相場の上値は重い。主要国の利上げによる需要減退見通しと中国経済の回復の遅れが相場の足を引っ張っている。しばらくは両者の綱引きが続きそうだ。

当面、インフレ、景気の方向感が定まらず、米国の金融政策の先行き不透明感は払拭されないだろう。そうした状況下、金相場も高値圏内で一進一退の動きを続けると予想される。

OPECプラスの協調減産などの買い材料、主要国の大幅利上げによる景気後退懸念などの売り材料。こうした強弱の材料の交錯が続き、原油は一進一退のレンジ相場を続けそうだ。

米国発の金融不安で銅相場は3月に安値を付けたが、1トン当たり8400ドル台を維持した。足元は米利上げ長期観測などで下落しやすい状況が続くとみられるが、23年後半には上昇に転じる公算が大きい。その背景には2つの好材料がある。

米シリコンバレー銀行の破綻などを受け、原油相場にも強烈な下押し圧力がかかった。この先は強弱の材料が交錯する中、原油相場はどこへ向かうのか。直近ピークを付けた1月末前後からの動向を分析するとともに、この先想定される主な相場材料をひもといていく。

米国のインフレの収束はいまだ見通せない。それゆえ、米国の政策金利の最終到達点も見えてこない。インフレや金利動向は金相場に大きく影響を与える材料だ。これらの材料に不透明感が強い状態が続けば、金相場の方向感も定まらないことになる。

2023年の原油相場は、変動幅の大きい不安定な動きとなりそうだ。ロシアの供給減少、米利上げの休止、中国のゼロコロナ政策撤廃といった買い材料と、金利高止まりによる主要国の景気減速や中国の新型コロナウイルス感染拡大などの売り材料が交錯する。

2022年後半に銅相場は一進一退の動きを続けた後、11月以降緩やかに上昇した。米中の景気の先行きに対する不透明感は弱まりつつあるが、23年の両国の景気は力強さを欠きそうだ。そうした経済動向を踏まえ、23年の銅相場を分析、予測する。

荒い値動きを繰り返しながら、原油相場は上値も下値も限定的な動きを続けている。米国の利上げペース鈍化、中国のゼロコロナ政策継続など強気と弱気の材料が入り交じっていることがその背景にある。

FRB(米連邦準備制度理事会)をはじめとする主要国の利上げ競争はまだ続きそうだ。本来、金利上昇が売り材料となる金相場だが、足元の動きは底堅くなりつつある。その理由を探る。

原油相場はロシアのウクライナ侵攻前の水準を下回っている。徐々に増産を進めてきたOPEC(石油輸出国機構)プラスも減産に転じた。しかし、今後も原油価格の上値は重そうだ。その背景を探る。

銅相場は3月に1万845ドルの最高値を付けた後7月には7000ドルを割った。その後は一進一退の動きを続けている。先行きも上値は重そうだ。相場の先行きに影を落とす要因について解説する。

7月に入り原油相場はロシアのウクライナ侵攻前の水準にまで下落した。その後、産油国による増産が進まないことやロシアによる欧州への天然ガス供給削減など買い材料が出たものの、相場の上値は重い。
