
芥田知至
2020年の金相場は、3月に1トロイオンス当たり1450ドルの安値を付けた後、史上最高値まで大幅に上昇し、8月に2072ドルを付けた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、安全資産である金が買い進まれた。

原油相場がやや反発している。米大統領選挙で、11月7日に民主党のバイデン前副大統領が当選を確実にして不透明感が後退した。それで週明け9日には株式など他のリスク資産とともに原油相場も上昇した。

銅相場は高値圏にあるが、上値は重い。3月19日に1トン当たり4371ドルと2016年1月以来の安値を付けた後、上昇傾向で推移し、足元は6900ドル台と18年6月以来の高値を付けた。ようやく高値を更新する動きになった。

足元の原油相場はハリケーンが波乱要因となっているが、それまでは下げがやや大きくなり、その原油安を不安材料に株価にも下落圧力がかかるという場面が生じていた。

金相場は、史上最高値更新を続けた後、上値を抑えられた推移となっている。

上昇傾向で推移してきた原油相場の上値が重くなっている。6月23日には欧州北海産のブレント原油で1バレル当たり43.93ドル、米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油で41.63ドルまで上昇したが、その後、上値を伸ばせずにいる。

銅相場は上昇傾向にある。3月19日には、欧米各国で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、1トン当たり4371ドルと2016年1月以来の安値を付けた。これを受けてFRB(米連邦準備制度理事会)が緊急利下げをしたが、先行き不透明感が払拭できない状況だった。

原油相場が反発している。米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は、4月20日に1バレル=マイナス40.32ドルと「マイナス価格」に沈んだが、翌日にはプラスに浮上し、足元は30ドル台だ。欧州北海産のブレント原油も4月22日の15.98ドルを底に30ドル台半ばまで持ち直している。

金相場は高値を追う動きを続けている。2020年に入ると、まず、イランと米国の軍事的緊張が高まり、安全資産とされる金の相場を押し上げた。1月8日には、イランによる米軍基地へのミサイル攻撃を受けて、金先物相場は1トロイオンス当たり1590ドルを上回った。もっとも、トランプ米大統領が演説で、イランに対して「軍事力は行使したくない」と述べ、地政学リスク懸念は和らいだ。

原油相場の底が見えない。米国産原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は3月20日に1バレル当たり19.46ドルと、18年ぶりの20ドル割れとなった。1月8日には、米国とイランの軍事的緊張の高まりを背景に、WTIで65.65ドルの高値を付けていた。しかしその後は、米国とイランとの対立深刻化への警戒感は後退し、暖冬や景気減速の影響による石油製品需要の伸び悩みや在庫の高止まりが明らかになった。

銅相場の反発力の弱さが示唆、世界景気の先行き楽観できず
銅相場は昨秋から上昇傾向で推移し、12月にはそのピッチを速めて、1月16日には1トン当たり6343ドルと8カ月ぶりの高値を付けた。しかし、2月3日には5523ドルと高値から13%下落。その後、小幅な反発をしているが、上値は重い。

暖冬、地政学リスク縮小で当面の原油相場は弱含みに
原油相場は昨年12月から今年1月にかけて押し上げ材料が相次いだにもかかわらず、上値は重く、足元にかけては弱含んでいる。

強弱材料が入り交じる金相場、20年は1300~1600ドル
2019年の金相場は、5月末に1トロイオンス当たり1300ドル、6月下旬に1400ドル、8月上旬に1500ドルと次々に節目の水準を突破し、9月4日には1557ドルと6年ぶりの高値を付けた。

産油量減少せず強気材料でも、上値が重い原油相場
原油相場は乱高下の後、やや持ち直しているが、上値の重さも感じられる展開となっている。

米中摩擦激化、中国経済減速 銅の先行きは慎重にみるべき
銅相場は、米中貿易摩擦への懸念が和らいだ4月中旬に1トン当たり6600ドルを上回り、昨年7月以来の高値まで上昇した。ところが、米中摩擦が激化し、中国景気の減速懸念が強まるとともに、6月上旬には5700ドル台まで急落した。その後も、銅相場は軟調に推移し、9月3日には5518ドルと2017年5月以来の安値を付けた。

サウジ施設攻撃で浮上した地政学リスクが原油押し上げ
原油相場が乱高下している。8月に入って、トランプ米大統領が対中制裁関税「第4弾」の発動を表明したことを受けて、株式などを含むリスク資産全般が売られ、米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で1バレル当たり50ドル台、欧州北海産のブレントで55ドル台を付けていた。

米金利低下、米中協議の難航 買い材料多く金相場は上昇か
金相場は、5月末に急騰して1トロイオンス当たり1300ドル、6月下旬には1400ドルの節目を上回り、8月に入ると再び騰勢を強め、7日には1500ドルに達した。

米国の生産増で原油需給緩和 地政学リスク高まるも上値重い
原油相場は4月下旬をピークに下落した後、6月上旬を底に下げ止まった。しかし、7月に入って上値は重い。

上値が重い銅相場が示す世界経済の足取りの弱さ
国際商品相場が動き始めた。金は1トロイオンス当たり1400ドルを突破して、6年ぶりの高値を付けた。原油は、イランが米国の無人偵察機を撃墜したことをきっかけに5%前後の急騰となった。こうした中、世界景気の先行指標として注目される銅相場は上値が限定された推移になっている。

原油相場は目先は値を戻すも夏以降は産油国の協調次第か
高値圏にあった原油相場に変調が見られる。米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は4月23日に1バレル当たり66.60ドル、欧州北海産のブレント原油は25日に同75.60ドルと、それぞれ昨年10月以来の高値を付けたが、その後、上値を伸ばせず、足元では下落幅がやや大きくなっている。
