
芥田知至
原油価格の高止まりは続きそうだ。ロシアのOPECプラスの協調枠組みへの参加停止や追加増産が検討されても原油価格は低下しそうにない。その基調の強さはどこからくるのか。最近の値動きを振り返りながら分析する。

銅相場は3月に1トン当たり1万845ドルの史上最高値を付けた後下落し、現在9000ドル前後で推移している。ロックダウンによる中国経済減速、ドル高など先行き上値を抑える材料がある一方、相場を支える材料もある。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて原油相場は急騰し、2008年以来の高値を付けた。その後、反落したものの、侵攻前を上回る高止まりが続いている。今後、再び高値を追う可能性もある。その条件と影響を検証した。

金相場は3月に史上最高値に迫った後もやや下落したものの高値圏にある。FRBがゼロ金利を政策に終止符を打ち利上げに転じる中、今後も高止まりを続けそうだ。その背景を探る。

原油価格の高騰が続いている。オミクロン株の症例は軽症が多く、エネルギー需要に大きく影響を与えないとみられていたところに、ウクライナ情勢緊迫による地政学リスクが原油価格を押し上げている。今後も価格は高止まりしそうだ。

2021年の銅相場5月に史上最高値を付け、10月に最高値に迫った。といっても1トン当たり9000~1万ドル台の幅の中での動きが中心だった。ドル高や新型コロナウイルス感染拡大で頭を抑えられつつも、世界経済の回復で下支えされた。22年も最高値を強弱の材料が交錯しながら最高値を付ける公算が大きい。

原油相場は2021年10月下旬に80ドル台半ばの高値を付けた後下落し、現在は70ドル台で推移している。22年は、北半球の冬の需要期の後、需給は緩和するとみられるが、後半にかけて需給はやや引き締まり、再び80ドル台に乗せてくると予想する。その要因を分析する。

FRBの利上げ前倒し観測などで8月に安値を付けた金相場。その後は一進一退を繰り返しながら上昇に転じ、11月16日には高値を付けた。背景には、主要国における利上げペースの鈍化予測、インフレの高進によるスタグフレーション懸念がある。

最高値を更新した天然ガスや石炭に歩を合わせるように原油価格も上昇してきた。産油国が増産に慎重な姿勢を崩さない中、コロナ禍からの経済回復に伴い需要は上向いてくる。高騰した天然ガスからの需要シフトも進む。最高値にはまだ遠いものの、需要期の冬に向けて一段高となる公算が大きい。

その相場が世界の景気先行指標とされ、ドクター・カッパーと呼ばれる銅。5月に史上最高値を付けた後は、おおむね9000ドル台前半で推移している。買い材料と売り材料が交錯し、綱引きを続けている。ただ、中長期での需要増加期待は強く、今後1万ドルを視野に入れた動きとなるだろう。

原油相場は7月上旬に高値を付けた後、8月下旬にかけて約2割下落した。経済正常化に伴う需要増加期待、デルタ株による新型コロナウイルス感染拡大など強弱の材料が入り混じり、不透明感が強い相場が続いている。ただ、長めの時間軸で見れば世界需要持ち直しで上昇していくと予想される。

金相場が底堅い動きを見せている。米国の利上げ前倒し観測などの弱気材料はあるものの、新型コロナウイルスのデルタ株による感染拡大、主要国の中央銀行の大幅な金融緩和、巨額の財政支出を背景としたインフレや金融市場の波乱への懸念が、金相場の押し上げ材料となっている。

原油価格が7月に入り高値をつけた。コロナ禍からの経済正常化や産油国の減産幅縮小ペースが小幅なものになっていることが背景にある。しかし、サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)の対立や新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大が相場に先行きに不透明な影を落としている。

世界景気の先行指標とされる銅相場が史上最高値を更新した。主要国の大型の財政出動や大幅な金融緩和によるインフレ期待が背景にある。ただ、上昇ペースが速すぎたこともあり、高値警戒感も出てきている。今後、上昇スピードは鈍化するだろう。

原油相場は3月上旬までは、コロナ後の回復を先取りする株式相場などに対する出遅れ感もあり上昇してきた。その後は、欧州での新型コロナウイルス感染再拡大などで下落した。4月以降は、米中の景気回復による需要増加期待で、OPECプラス(石油輸出国機構と非加盟産油国)の減産幅縮小にもかかわらず緩やかに上昇してきた。今後も強弱の材料をこなしながら緩やかに上昇していくと予想される。

金価格は3月に1トロイオンスあたり1676ドルの安値をつけた後、1700ドル台を回復した。ワクチン接種進展に伴う米景気早期回復期待に伴う米長期金利上昇は売り材料だが、回復観測でインフレ率の上昇期待が高まることは買い材料だ。強弱材料の併存下、金相場が底堅い動きを見せている。

産油国の減産維持にワクチン開発の進展や経済正常化への期待が加わり、足元の原油相場は上昇基調にある。一方、10年先物は安定して推移している。それは、将来において受給が引き締まる状況にないことを示唆する。その背景にあるのが、先安観をもたらすバイデン政権のエネルギー政策である。

銅相場は、2020年3月中旬に1トン当たり4371ドルと16年1月以来の安値まで下落した後、上昇傾向で推移している。21年2月23日には9305ドルと11年8月以来の高値を付けた。

原油相場は上昇している。今年1月13日には、米国産原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で1バレル当たり53.93ドル、欧州北海産のブレントで同57.42ドル台まで上昇し、昨年2月以来の高値を付けた。

2020年の金相場は、3月に1トロイオンス当たり1450ドルの安値を付けた後、史上最高値まで大幅に上昇し、8月に2072ドルを付けた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、安全資産である金が買い進まれた。
