片田江康男
#3
日本M&Aセンターホールディングス(HD)の急成長を支えてきたのは、全国の地方銀行と証券会社などの金融機関、会計事務所などの情報網だ。しかし今、一部の地銀や証券会社で、日本M&AセンターHDと距離を置く動きが顕在化し始めている。新興のM&A仲介会社の営業攻勢に加え、不適切会計を起こしたガバナンス問題が影響しているとみられる。「最強ビジネスモデル」のほころびをレポートする。

#2
2022年3月、不適切会計に関与したとして、日本M&Aセンターの部長5人に諭旨解雇処分が下された。その一方で、三宅卓社長以下の取締役に対する処分は報酬減額と降格にとどまる。その処分の差に、日本M&Aセンター社内で諦めと落胆が広がり、幹部の退職が相次いでいる。業績に悪影響を与えるのは間違いない情勢だ。

#1
日本M&Aセンターで2021年12月に発覚した不適切会計。外部の弁護士と公認会計士が中心となって経緯や原因の調査が行われ、22年2月に「調査報告書」が公表された。だが、その内容には現経営陣への忖度が見られ、不適切会計が発生した真因について斬り込めていない。そこで、本特集で独自取材を敢行し、「調査報告書」で描かれなかった不適切会計の直接的な引き金となった“部長会議”の内幕を描く。

中堅監査法人のひびき監査法人に対し、公認会計士・監査審査会(CPAAOB)は行政処分などの措置を講ずるよう、金融庁に勧告を出した。今回CPAAOBは、中小監査法人で当たり前のように行われているグレーな“慣習”に切り込んでおり、今後、同様の勧告が下される可能性もある。

2020年から生保業界で相次いで発覚した営業職員(生保レディー)による金銭詐取事件。業界はこれらを撲滅すべく営業管理手法の新指針作成に取り組んでおり、2月の公表へ向けて大詰めを迎えている。作成に取り組む過程から、生保業界のある“本音”が透けて見える。

住友生命保険は傘下のアイアル少額短期保険、キャッシュレス決済サービス「PayPay(ペイペイ)」と組んで、業界初の「インフルエンザお見舞い金保険」を発売した。22年夏に「熱中症お見舞い金保険」を大ヒットさせた手法を活用。新たな顧客獲得のノウハウや機動力で頭一つ抜きんでた存在になりつつある。

#51
コロナ禍が落ち着くにつれ、人と物の動きが戻った2022年。損害保険業界は交通事故件数の増加と、毎年のように発生する自然災害の対応に追われた。営業基盤である代理店施策の改革も待ったなし。特集『総予測2023』の本稿では、損保各社が23年に、これらの懸案にどう対処するのかを予測した。

#49
新型コロナウイルスに関連した保険金・給付金の支払いに追われただけではなく、金利や為替が乱高下する運用環境の激変にも直面し、忙しない22年を過ごした生命保険各社。23年は、少しは平穏な年になるのだろうか。特集『総予測2023』の本稿では、生保業界の23年を予測する。

生命保険最大手の日本生命保険は23年度から、顧客へ保険商品を提案する営業職員の給与を約7%引き上げる。人件費は100億円超の増額となる見通しで、過去最大規模の賃上げとなる。物価上昇に対応する他業界とは違い、背景には生保業界共通の積年の課題がありそうだ。

22年は夏以降、コロナ禍で外出自粛を続けた反動で人々の旅行熱が沸騰。それに伴って自動車事故が増加している。火災保険は値上げと契約期間短縮を行った。業界を揺るがすビッグモーター問題も含め、23年に取り組む課題はどのように捉えているのか。「週刊ダイヤモンド」2022年12月24日・31日新年合併特大号に掲載したインタビューの拡大版をお届けする。

三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険を中核とするMS&ADグループの2022年度上期決算で公表された事業費削減計画が、同社内だけではなく競合他社の間でも話題となっている。そこで、上期決算で発表された最新実績と予想を基に、事業費削減の独自シミュレーションを行った。

監査法人「交代」最多228件、行政処分も急増…会計エリートが直面する異変
企業が日常的に付き合う会計士・税理士・社会保険労務士。その3士業はここ数年、法改正やデジタル化、コロナ禍などの地殻変動に翻弄されたことで、これまで顧客企業に見せてこなかった本性をのぞかせつつある。経済3士業の知られざる実態に迫る。

大手生命保険各社の2022年度上期決算が出そろった。新型コロナウイルス感染症の第7波の影響で、保険金と給付金の支払いのピークとなった中で、各社の営業力はどのような影響を受けたのだろうか。激しいシェア争いが続く乗り合い代理店市場の状況と、金利リスク削減の進捗も合わせて分析した。

米アマゾン・ドット・コムがあいおいニッセイ同和損害保険と組み、日本でペット保険市場に参入することが明らかになった。ペット保険業界だけではなく、生・損保各社にも衝撃を与えたのと同時に、本当にアマゾンが市場を席巻できるのか、懐疑的な声も上がっている。

米アマゾン・ドット・コムが近く、日本のペット保険事業に参入することが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。損害保険大手のあいおいニッセイ同和損保が商品を供給し、アマゾンが販売する方向で最終調整している。

ペット保険業界2強の一角を占めるアイペットホールディングスに対し、大手生命保険の第一生命ホールディングスが株式公開買い付けを実施し、完全子会社化すると発表した。背景にはペット保険業界の競争激化があり、今回の動きがペット保険業界再編の呼び水となり得る。

損害保険各社と少額短期保険各社が提供している旅行キャンセル保険の契約件数が爆増中だ。10月からは全国旅行支援が始まり、さらに契約件数増加に拍車がかかりそうだ。商品による補償内容の違いや、各社の最新状況を調べた。

年間の収入保険料は1200億円を超え、活況を呈している少額短期保険業界。しかし、22年になってからは3社に対して行政処分が発出されるなど、負の側面も目立つようになっている。そのうち、業界に暗い影を落とす2社について、現在の状況を探った。

#18
中小企業の会計・税務はここ数年、freeeやマネーフォワードの出現によって一気にDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んだ。その中小企業をサポートする税理士の業務もしかり。しかし、税理士事務所内での業務の煩雑さと情報管理の難しさは残ったままだった。その解決を目指したのが「ZoooU」。税理士が税理士のために作ったツールが描く、税理士事務所の未来像とは。

#17
士業の格は頂点が弁護士、最下位は社労士といわれ、それは稼ぎにおいても同様だ。ところが、そんな序列をひっくり返すような稼ぎ方をする“勝ち組”社労士が存在する。果たして、どのような仕事をしているのか。
