重石岳史
#7
任期6年の慣例に従えば、三菱商事の垣内威彦社長は2021年度末に任期満了となる。残り2年を切った後継レースを制するのは誰なのか。社内で有力候補の呼び声が高かった幹部が“左遷”されるなど、近年、垣内社長による中央集権体制が強まっている。熾烈なレースの行方を大胆に予想した。

#1
三菱商事の垣内威彦社長が6月、社員に向けて送ったメールを独自入手した。その中身からは、社員が経営に不信感を強めていることに対し、垣内社長が並々ならぬ危機感を抱いている様子がうかがい知れる。三菱グループのみならず日本を代表するエリート集団企業の内部で今、一体何が起きているのか――。

ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(J:COM)が、金融業に参入することが分かった。サービス加入者554万世帯の顧客基盤と、地域に密着した営業力は、既存の金融機関にとって脅威となりそうだ。

#13
創業者の松本大氏から昨年後継に指名されたマネックス証券社長の清明祐子氏。1977年生まれの業界最年少かつ初の女性社長だ。「アクティビズム」と「ベンチャースピリッツ」を武器に、業界に新風を送り込む。

#12
松井証券で6月、創業家以外から初の社長に就いた和里田聰氏。中小地場証券を先進的なネット証券へと導いた「業界の風雲児」松井道夫氏の後を継ぎ、1918年創業の老舗の看板を守れるか。その手腕が問われている。

#11
SBIと楽天の「2強」がネット証券のプラットフォーマーとして勢力を拡大する中、苦境に立たされるのが松井とマネックスだ。その両社はロスジェネの新社長に相次いで世代交代を図り、生き残りを模索する。

#10
三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下で、KDDIからの出資を受け入れて昨年12月に社名変更したauカブコム証券。総合金融とau経済圏の基盤を背景に、齋藤正勝社長は「ソーシャルネット証券」への転身を画策する。

#9
複雑かつ巨大なシステムを抱える証券業は、装置産業としての側面も持つ。そんなビジネスの舞台裏で、覇権を握るのが野村総研(NRI)だ。重いシステム負担に嫌気し、脱NRIを模索する動きも出始めている。

#8
顧客接点の拡大が証券各社共通の課題とされる中、優位な立場にあるのが楽天証券だ。人々の生活に密接した楽天経済圏のサービスの一環として、口座数を急拡大させている。楽天証券の楠雄治社長が楽天流プラットフォーマー戦術を明かした。

#7
特定の金融機関に属さない独立系金融アドバイザー(IFA)への転身を図る証券マンが増えている。独立・中立的な立場で顧客に資産運用のアドバイスを行う彼らは、貯蓄から資産運用への流れを加速させる新たな主役となり得るか。

#5
緊急事態宣言下の4月、野村ホールディングスの新社長に就いたのが、M&A(企業の合併・買収)などを手掛けるホールセール部門出身の奥田健太郎氏だ。日本を代表する巨艦証券会社は世界で勝ち抜くことができるのか。社運を懸けた構造改革は依然道半ばにある。

#4
総合証券は個人向けのリテール部門だけでなく、法人向けのホールセール部門でも熾烈な競争を繰り広げている。ドラマ「半沢直樹」でも描かれた銀行と証券の「壁」を巡る攻防戦が始まっている。

#3
証券サバイバル時代の台風の目となりそうなのが、SBIホールディングスの北尾吉孝社長だ。コロナ禍の「追い風」を受け、業界再編のトリガーを引くタイミングをうかがっている。

#2
対面証券の両雄、野村と大和の戦略の違いが鮮明になっている。店舗の統廃合を進める野村に対し、大和は店舗拡大路線だ。大和証券グループを率いる中田誠司社長にデジタル時代の戦術を聞いた。

#1
ネット証券で昨年末に突如勃発した手数料値下げ競争。「やられたらやり返す」か「やられる前にやる」か――水面下で各社トップの神経戦が続く。一方、これまで対面の営業力が強みだった総合証券も、値下げ競争とコロナ禍に巻き込まれる形で揺らいでいる。

予告
証券業界に迫る淘汰の嵐、リアル「半沢直樹」の世界は乱世に突入
証券業界に淘汰の嵐が訪れようとしている。コロナ禍で総合証券は対面営業を封じられ、伝統的な事業モデルをデジタル転換しなければ生き残れない。一方、若年層の口座開設を伸ばすネット証券も、迫り来る手数料ゼロの衝撃に恐れおののく。デジタル化が加速するウィズコロナ時代、対面とネットの壁を越えた乱戦は激化し、生き残りを懸けた壮絶サバイバル戦が始まる。

伊藤忠商事がコンビニエンスストア大手のファミリーマートに実施しているTOB(株式公開買い付け)に対し、剛腕アクティビスト(物言う株主)が「待った」をかけた――。ファミマの株主であるオアシス・マネジメント(香港)のセス・フィッシャー最高投資責任者がダイヤモンド編集部の書面インタビューに応じ、8月24日に期限が迫った今回のTOBについて「伊藤忠だけに有利な条件だ」と猛然と噛み付いた。

#5
カーライル・グループは世界的ファンドながら、日本市場ではこれまで、中堅企業への投資が中心だった。それが今、大手企業に照準を合わせ、積極的な投資に乗り出すという。本気を出した名門ファンドの投資戦略を、日本法人トップに聞いた。

伊藤忠商事が、コンビニエンスストア大手のファミリーマートに対しTOB(株式公開買い付け)を開始した。巨額案件を成功させるためには、伊藤忠が乗り越えなければならない三つの高い壁が存在する。

新型コロナウイルス感染拡大は、伝統的な証券業にビジネスモデルの大転換を迫っている。コロナ騒動のさなかの4月、旧日興出身の証券生え抜きとしてSMBC日興証券社長に就任した近藤雄一郎氏は、デジタル化と戦略的提携が変化への対応の鍵になるとみる。
