重石岳史
#9
複雑かつ巨大なシステムを抱える証券業は、装置産業としての側面も持つ。そんなビジネスの舞台裏で、覇権を握るのが野村総研(NRI)だ。重いシステム負担に嫌気し、脱NRIを模索する動きも出始めている。

#8
顧客接点の拡大が証券各社共通の課題とされる中、優位な立場にあるのが楽天証券だ。人々の生活に密接した楽天経済圏のサービスの一環として、口座数を急拡大させている。楽天証券の楠雄治社長が楽天流プラットフォーマー戦術を明かした。

#7
特定の金融機関に属さない独立系金融アドバイザー(IFA)への転身を図る証券マンが増えている。独立・中立的な立場で顧客に資産運用のアドバイスを行う彼らは、貯蓄から資産運用への流れを加速させる新たな主役となり得るか。

#5
緊急事態宣言下の4月、野村ホールディングスの新社長に就いたのが、M&A(企業の合併・買収)などを手掛けるホールセール部門出身の奥田健太郎氏だ。日本を代表する巨艦証券会社は世界で勝ち抜くことができるのか。社運を懸けた構造改革は依然道半ばにある。

#4
総合証券は個人向けのリテール部門だけでなく、法人向けのホールセール部門でも熾烈な競争を繰り広げている。ドラマ「半沢直樹」でも描かれた銀行と証券の「壁」を巡る攻防戦が始まっている。

#3
証券サバイバル時代の台風の目となりそうなのが、SBIホールディングスの北尾吉孝社長だ。コロナ禍の「追い風」を受け、業界再編のトリガーを引くタイミングをうかがっている。

#2
対面証券の両雄、野村と大和の戦略の違いが鮮明になっている。店舗の統廃合を進める野村に対し、大和は店舗拡大路線だ。大和証券グループを率いる中田誠司社長にデジタル時代の戦術を聞いた。

#1
ネット証券で昨年末に突如勃発した手数料値下げ競争。「やられたらやり返す」か「やられる前にやる」か――水面下で各社トップの神経戦が続く。一方、これまで対面の営業力が強みだった総合証券も、値下げ競争とコロナ禍に巻き込まれる形で揺らいでいる。

予告
証券業界に迫る淘汰の嵐、リアル「半沢直樹」の世界は乱世に突入
証券業界に淘汰の嵐が訪れようとしている。コロナ禍で総合証券は対面営業を封じられ、伝統的な事業モデルをデジタル転換しなければ生き残れない。一方、若年層の口座開設を伸ばすネット証券も、迫り来る手数料ゼロの衝撃に恐れおののく。デジタル化が加速するウィズコロナ時代、対面とネットの壁を越えた乱戦は激化し、生き残りを懸けた壮絶サバイバル戦が始まる。

伊藤忠商事がコンビニエンスストア大手のファミリーマートに実施しているTOB(株式公開買い付け)に対し、剛腕アクティビスト(物言う株主)が「待った」をかけた――。ファミマの株主であるオアシス・マネジメント(香港)のセス・フィッシャー最高投資責任者がダイヤモンド編集部の書面インタビューに応じ、8月24日に期限が迫った今回のTOBについて「伊藤忠だけに有利な条件だ」と猛然と噛み付いた。

#5
カーライル・グループは世界的ファンドながら、日本市場ではこれまで、中堅企業への投資が中心だった。それが今、大手企業に照準を合わせ、積極的な投資に乗り出すという。本気を出した名門ファンドの投資戦略を、日本法人トップに聞いた。

伊藤忠商事が、コンビニエンスストア大手のファミリーマートに対しTOB(株式公開買い付け)を開始した。巨額案件を成功させるためには、伊藤忠が乗り越えなければならない三つの高い壁が存在する。

新型コロナウイルス感染拡大は、伝統的な証券業にビジネスモデルの大転換を迫っている。コロナ騒動のさなかの4月、旧日興出身の証券生え抜きとしてSMBC日興証券社長に就任した近藤雄一郎氏は、デジタル化と戦略的提携が変化への対応の鍵になるとみる。

旧村上ファンド出身者が運営するシンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントが先週、東芝に取締役選任を求める株主提案を行ったことが判明した。業界を驚かせたのは、数々の大型企業不祥事で第三者委委員会調査などを手掛け、その道の第一人者として知られる國廣正弁護士が、エフィッシモ側の法務アドバイザーに就いたことだ。かつてインサイダー取引という不祥事を起こしたファンドの関係者と、國廣弁護士はなぜ“タッグ”を組んだのか。國廣弁護士が取締役候補に推す竹内朗弁護士と共に、その真相をメディアに初めて激白した。

3月期決算企業の株主総会シーズンが到来した。総会では近年、株主還元などを強く迫るアクティビスト(物言う株主)の存在が際立つが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、彼らの要求に変化が生じている。日本株を得意とする海外アクティビストらの実情に迫った。

家庭用収納ケースの「Fits」ブランドで知られるプラスチック製品メーカーの天馬が、前代未聞のお家騒動に揺れている。創業家で大株主の前名誉会長が解任を求めるのは、不祥事に関与した同じ創業一族の金田宏常務らだ。社内の監査等委員会からも「取締役候補として不適切」とされた金田氏本人に、疑惑の真相について直撃した。

安倍政権「司法人事への介入」は過去にも、最高裁にも残るトラウマ
「最高裁判所は行政府および立法府の干渉を排除し、裁判所の運営を自主的に行っています」。最高裁がうたう司法の独立。その大義は今、巨大な政治権力を前に有名無実化している。

昨年、創立100周年を迎えた住友商事が試練にさらされている。コロナショックの深刻度は総合商社の中で最も“ヤバイ”とされ、2020年度は1000億円以上の利益が吹き飛ぶ可能性もある。経営が苦しくなると決まって浮上するのが、あの商社との合併論だが……。

こんな「隠し球」を持っていたのか――。五大総合商社の2019年度決算が出そろい、連結純利益を巡る首位争いは三菱商事に軍配が上がった。「奪首」目前で敗れた伊藤忠商事の社員からは、そんな切歯扼腕の声が上がる。業界トップの座を死守すべく、王者が放った「隠し球」とは一体何か。

2020/5/16号
最後の旧来型エリートの牙城「商社」がコロナ禍で迎える危急存亡
高給で就職人気の高い総合商社は、日本に残された最後の旧来型エリート集団の象徴といえますが、彼らの稼ぐ力に限界が見え始めています。成長期待の低さから株式市場に見放され、若手人材の流出も止まりません。さらに新型コロナウイルスの感染拡大が、旧来型ビジネスから脱却できない商社の姿を浮き彫りにしています。商社は直面する苦難の時代を乗り切れるのでしょうか。
