柳澤里佳
第34回
従来型の物流業の参入障壁が低くなる中、テクノロジーと日立ブランドを武器に、生き残りを図る日立物流。「金流・商流・情流・物流」の4つの流れを束ねるプラットフォームとは何か、また、2016年から資本・業務提携する佐川急便グループとの今後について、中谷康夫社長に話を聞いた。

“アナログ”な物流業界において、親会社である日立製作所のIT技術に支えられながら、テクノロジーでリードするのが日立物流だ。もともと製作所の単なる物流子会社だった同社は、日産自動車系の部品物流大手、バンテックなど大手企業の物流子会社を次々と買収することで規模を拡大し、今では日立グループ外から8割以上を稼ぐ。2016年には佐川急便を傘下に持つSGホールディングスと資本・業務提携を結んだ(製作所による出資比率は59%から30%に低下)。こうした環境下、6月に19~21年度の新中期経営計画を発表。物流業界の抱える課題にどう向き合っているのか、日立グループ内外のリソースや協業を通じてどのように変革していくのか、就任7年目を迎える中谷康夫社長に話を聞いた。

vol.5
今回はハワイアン航空とデルタ航空へのインタビューをお届けする。2017年にJALとコードシェアやマイレージ提携したハワイアンは、さらに踏み込んだ「共同事業化」を目指す。一方、日本にパートナーを持たないデルタ航空は、20年の羽田空港発着枠の拡大に際して、他の米系航空会社よりも多い枠を暫定的に獲得。その中にはホノルル線もあり、日系エアラインに勝るとも劣らないサービスのレベルアップに動いている。

vol.4
ハワイ路線を舞台にした日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の激突を描く「JAL vs ANA 新ハワイ対戦」特集の第4回。今回は2社へのインタビューをお届けする。ANAは超大型機A380を初導入するに当たり、安全で確実な運航体制をどのように構築しているのか。オペレーション部門を統括する清水信三・ANA代表取締役専務執行役員に話を聞いた。一方、ハワイ線の歴史が長いJALは今、どんな戦略なのか。リゾッチャ時代からハワイ線に関わる国際路線統括本部長の大貫哲也・JAL常務執行役員に話を聞いた。

vol.3
1954年からハワイを開拓してきたJALが、ANAの攻勢をかわす切り札にしたのが、地元の老舗、ハワイアン航空との提携だった。他方、関西~ホノルル線にはLCCが参入し、2020年には羽田空港の発着枠拡大によりさらに供給量が増える見込み。大混戦の行方やいかに――。

vol.2
ハワイ戦線を変えるためにA380を導入したANAだが、超大型機ゆえ、集客が最大の課題だ。座席を埋められなければ高額な固定費が負担となって赤字必至。2020年春には3機目の導入を控える中、どのように安定した収益を稼ぐのか。

vol.1
国際線を拡大し続けているANAが「JALの最後の牙城」に切り込むため投入した超大型機エアバスA380とはどんな飛行機か。記者が自腹で家族を巻き込み、「フライング・ホヌ(空飛ぶウミガメ)」に乗ってハワイに行ってみた。

ぐんと伸びた22メートルものロングノーズ(長い鼻のような形状)で風を切り、最高時速(営業運転時)360キロメートルを目指して突っ走る。JR東日本は5月に次世代新幹線開発の試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」を完成し、東北新幹線の仙台~新青森間で走行試験をスタートした。

ANAは国内航空会社で初めてボーイング777の貨物専用大型機を導入し、成田~上海~シカゴの3国間輸送を強化する。米中貿易摩擦の影響もある中で、アジアの競合と伍して戦えるだろうか。

日本航空は国内・国際線の主要路線を飛ぶフラッグシップ機としてエアバスA350を導入する。ボーイング一辺倒だった機材調達を改め、なぜエアバス機を導入するのか。9月1日に運航開始する国内線の機材仕様も詳細にレポートする。

第3回
エアアジアやジェットスターなどの黒船LCCが続々と日本に上陸した。海外で成功したLCCモデルを引っ提げてきたものの、想定外の難航に悪戦苦闘している。異国での格安短距離線、異国をつなぐ格安中長距離線には、それまでの成功体験が通じない。

第2回
ANAホールディングス(HD)が傘下LCCであるバニラ・エアとピーチ・アビエーションの統合を発表して1年、ピーチへの路線移管が始まった。競合と戦うための規模拡大と中距離線進出を狙うものだが、過去の失敗をリセットする意図も透ける。新生ピーチは新たな成功の方程式を模索する。

第1回
JALは低価格ビジネスにおいてまったくの初心者というわけではない。かつて子会社に値ごろ感が売りのジャルウェイズがあったし、2012年には豪カンタス航空らと合弁でLCCのジェットスター・ジャパンを立ち上げた。JALが格安サービスに「本気」になること、それが今回“初めて”なのである。

6月3日、LCC(格安航空)大手のジェットスター・ジャパンがパイロットの体調不良や有給休暇取得を理由に、国内・国際線合計27往復54便を減便すると発表した。LCC界隈では「ジェットスター・ジャパンのパイロットが15人程度移籍するらしい」という、うわさがささやかれている。計画減便と大量移籍のうわさに関連はあるのか。

最終回
短距離線よりも利益を出すのが難しい中長距離線LCCは、世界でも成功例が見当たらない。にもかかわらず日本拠点のLCC各社は進出を決めた。そんな彼らは大挑戦を前に、大企業病のわなにはまりかけている。ベンチャー気質を持ち、型破りの発想で挑まなければ、成功の芽はない。

九州旅客鉄道(JR九州)の大株主である米ファンドが6月の株主総会で株主提案を行うことに対し、JR経営陣が「反対」を表明した。プロキシーファイト(委任状争奪戦)に発展する可能性もある中、JR側は「対話を続けていきたい」と強調。民間企業でありながら地方の公共交通を守る使命も持つ同社は、難局を乗り越えられるのか。

建築資材流通大手のすてきナイスグループで粉飾決算の疑いが明らかになり、創業家のグループCEO、平田恒一郎氏が辞任した。問題の全容判明を待たずして、30年にも渡ってトップに君臨した平田氏が突然、辞任したことに、社内は動揺。取引先からは怪情報が流れるほど波紋が広がっている。

海運大手が“物言う株主”に揺れている。川崎汽船は投資ファンドから取締役を受け入れ、日本郵船は株主に配慮した資本政策にかじを切った。新風は長引く海運不況に業界再編をもたらすのか。

2015年に超大型機導入の失敗で経営破綻したスカイマーク。現在は羽田枠を強みに高い収益力を誇る。20年に再上場する予定だが、新たな成長戦略と「第三極」の維持が課題となっている。

アジアの航空市場が拡大する中、空港間競争が白熱している。日本の地方空港は民営化ラッシュを迎え、羽田空港は2020年に発着枠を拡大する。長く「日本の玄関」だった成田空港は“地盤沈下”に危機感を募らせている。
