グローバル化や少子高齢化社会が進む中で、ユニ・チャームなど多くの日用品メーカーは多様化の波に翻弄されている。その流れの中で生き抜くために、高原豪久社長は「アートとサイエンスによる総合芸術」を掲げた。どんな商品が必要になるのか。(聞き手/ダイヤモンド編集部 相馬留美)
エンジニアリングの競争は
もう終わった
――「サイエンスやアートを取り入れる」と発言されましたが、おむつのマーケティングは今後どう変化していくのでしょうか。
まず、シーズナリティ(季節の変化とともに、あるパターンの変動)でいうと、日本はもう亜熱帯に近い環境です。すると、高温多湿な夏場の環境により適した、通気性があってお尻がかぶれない設計の商品を別途作ることができます。逆に冬は、冷たさを感じにくい素材を使った冬用紙おむつなどが提案できます。
また、赤ちゃんにとって、おむつが肌に当たるときのストレスは小さくありません。ですから、当社のラボで、赤ちゃんの脳波の変化や心拍、体温の変化などの生体情報を取得して、最もマッチした柔らかいおむつを開発しています。
赤ちゃんに対するテクノロジーというと、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の技術を活用し、赤ちゃんがむずがったり起きたりするとカメラで察知して知らせるという、デジタルの活用が進みつつあります。これはエンジニアリングに近い発想だと思うのです。