a-nation、中止から
オンライン開催の経緯

――5月に「a-nation」の開催中止を発表しましたが、その翌月にオンライン上の開催(8月末予定)を決定しています。どのような経緯があったのでしょうか?

 毎年、開催の3~4カ月前から会場などを発表していくのですが、緊急事態宣言後、開催の有無についてのお問い合わせが増える中、「リアルな会場での開催は今年はやめよう」と決めました。その時点ではオンライン上での開催については特に触れていません。というのも、開催を表明するまでに、必要な環境を想定して技術的な課題をクリアにしておかなければならなかったからです。

 ある程度、開催に必要な環境が見えてきた段階で、「a-nationをオンラインで開催するとしたらどのような形が良いのだろうか」といった具体的なことを社内で話し合いました。a-nationは来年で20周年。来年の夏にリアルで開催できるのなら、ここで途切れさせるのではなく、それまでつなげたい。そうした想いもあり、まずはやってみようと決断しました。

――次回のa-nationは無料、有料、どちらをお考えでしょうか?

 有料で進めています。アーティストの都合によっては一部録画もあり得るかもしれませんが、現在(編集部注・取材時の7月3日時点)では、基本は生配信を考えています。

 例えば私たちが主催している「ULTRA JAPAN」では早い時期にストリーミング配信を導入していますが、どちらかというと「今、リアルでこういうことを開催していますよ」というプロモーションの意味合いが強くあります。それを有料化してチケッティングして視聴していただくという直接のマネタイズに関しては、日本を含め世界的にもこれから徐々に増えていくと思います。

 でもこれがリアルのライブに取って代わるかなというと、そこはコロナがいつまで続くかによるので、まだわからないですね。ライブの見方のひとつの選択肢にはなっていくと思いますが。

――エイベックスは早くから積極的でしたが、海外と比べて日本では、音楽ライブのストリーミング配信がこれまで積極的に行われてきませんでした。また、「配信は無料」が当然とされてきました。コロナ禍以降、こうした価値観は変わりつつあり、有料配信も徐々に増えてきましたが、有料配信を成功させるポイントは何だとお考えでしょうか?