CDと配信では
音楽のつくり方が違う?

 音楽市場の中心がCDから配信になるというのはもうだいぶ前からいわれていましたが、「CDを捨てて配信でやります」という極端な話ではありません。音楽の楽しみ方には多様性があり、今もCDが大好きな人は世の中に多くいるのです。

 特に日本においては何千億円という市場がまだあるので、それをバッサリと捨てるつもりはありません。ただ、多様性を重視する場合は、多様性を持った体制をつくっていくことも大切です。そのため配信に特化した組織も強化していかなければならないと思っています。配信での売れ方とCDでの売れ方はやはり別物だったりしますので。

――アルバム単位のCDと配信では、曲のつくり方も違ってくるのでしょうか?

 もちろん違います。配信ではやる音楽というのは、やはり配信向けにつくっています。

 例えば欧米ではレディー・ガガとアリアナ・グランデの共演(編集部注・5月リリースの「Rain On Me」)だったり、アーティストとトップDJとのコラボレーションだったりと、「いかにサブスク上でその1曲を世界中で回すか」というところに勝負を懸けています。今までみたいに、シングルを3枚出して、最終的にアルバムにつなげて、「アルバムに収録した12曲がひとつの作品です」というスタイルはほとんど取りません。

 配信においては、とにかく1曲1曲のインパクトを強くすることが求められます。チャネル自体が多様化してきているので必然の流れではありますが、そういった意味では本当に多様なパターンの、多様な方々が登場してきていますね。逆に言うと、1曲だけものすごくヒットして、その後は音沙汰がないというアーティストも今後ますます増えるでしょう。もちろん残る人は残っていくと思いますが。

――どちらが適しているかは、アーティストのタイプに応じて見極めていくのでしょうか?

 アーティストによってやはり向き不向きはあります。昔ながらのプロモーションをして、昔ながらの売り方をするアーティストもいれば、配信は強いけれどあまりCDの売り上げにはつながらないよね、というアーティストもいます。

 もちろん全部が強いに越したことはありませんが、そうした多種多様なアーティストの資質を見極めて、コンテンツの特徴と組み合わせて良さを生かす、そのための組織や戦略づくりというのがすごく大切なことだと思います。