成長株探しで注目すべきは売上高の伸び
セクターは「情報・通信」と「小売り」に注目
7つの条件について簡単に説明しておこう。
「直近10年の売上高と営業利益が9回以上伸びていること」は、好不調が激しい企業を除外するため。たとえ今期予想が大幅増益でも、業績に安定感がないと魅力は半減する。
直近では、一過性のコロナ恩恵銘柄にも注意したい。狙うべきは、コロナ前もコロナ後も強い企業である。
利益ではなく売上高でランキングしたのは、成長株を抽出するためだ。構造改革頼みの利益拡大には限界があり、中長期の株価上昇には売上高の伸びが欠かせない。
今回のランキングでは選定条件にPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの株価指標を加えていない。「割安さ」にこだわり過ぎると、成長株を買い逃がす可能性があるからだ。
経済ジャーナリストの和島英樹氏はこう指摘する。
「基本的には、PERが低い成長株はあり得ません。実際、ランキング1位の医療従事者向けサイトを運営するエムスリーは、常に50倍以上のPERを付けていたにもかかわらず、10年間で株価は50倍になりました」
PERが高くても、高水準の成長を継続できれば、株価はいずれ高値を更新していく。大事なのは今後の成長余力と割安度のバランスなのだ。
では、実際にランキングを見ながら、直近10年の成長株の顔触れを確認していこう。上位には1位のエムスリーを含め、2位のGMOペイメントゲートウェイ、3位のMonotaROなどデジタル分野で独自のポジションを築いた銘柄が目立つ。
小売りセクターからも12社がランクインした。ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスやワークマン、100円ショップのセリアなど時代の需要を捉えた企業が大きく業績を伸ばしている。
「42位のニトリホールディングスにも注目したいですね。今期も上場企業で最長の34年連続増収増益を見込んでいます。小売りセクターの中でも、同社のように販売だけでなく製品も開発するSPA(製造小売業)は参入障壁が高く、長期での成長が期待できます」(和島氏)
成長株投資のリスクにも触れておこう。成長株はPERなど株価指標が割高なだけに、ビジネスモデルが崩れると大きく下落するリスクがある。いくら魅力的に見えても、複数銘柄に分散して投資をすることを心掛けよう。
「保有期間中は毎日の株価の動向に一喜一憂するのではなく、成長ストーリーが崩れていないかどうかを確認しましょう。ビジネスモデルが古くなったり、ライバル企業の台頭などにより参入障壁が破られたときが売り場になります」(益嶋氏)
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