新型コロナはコントロール可能なリスクにまで低下
今回も前回に引き続き、2021年4~6月期(1Q)の四半期決算の動向を解説します。まずは、足元で感染力の強いデルタ株によって新型コロナの感染が拡大していますが、相場の足かせにならないでしょう。デルタ株の感染拡大や重症者の増加などの懸念材料はありますが、医療従事者や製薬業界などの懸命の努力によって、コントロールが可能なものになりつつあるからです。
2Q決算はさらなる上振れの可能性も
1Q決算の印象は、想定以上に業績が良く、総じて堅調と言えます。世界的な空調メーカーのダイキン工業(6367)やポンプメーカーの荏原製作所(6361)など、上期の業績を上方修正する企業が相次いでいます。上期で上方修正を行う企業は、通期でも上方修正する公算が大きく、今後が期待できるでしょう。
消費が堅調なこともあり、過剰在庫の懸念も払拭されつつあります。現在、在庫投資は大幅にマイナスで、今後、在庫を増やす流れが加速するでしょう。その結果、2Q(7-9月期)決算は1Qより増益ペースが拡大し、今期の通期業績はさらなる上振れが期待できます。想定外の上乗せによって、増配や自社株買い、BPS(一株当たり純資産)の増加に寄与すると考えられます。
企業の投資マインドは旺盛、来期の業績も期待
新型コロナ感染拡大の打撃を大きく受けた企業も、来期は回復が期待できます。例えば、大型展示を受注する乃村工藝社(9716)の1Q決算は今期は下方修正ですが、受注は積みあがっています。受注の多くは来期のイベント会場を今から確保しようとする企業の意欲的な計画です。こうした流れもあり、投資家の間で来期への心配は杞憂に終わり、「来期も堅調な需要が続きそうだ」というムードが醸成されるでしょう。
企業の投資マインドも旺盛です。先日、ウシオ電機(6925)の決算説明会に参加しました。半導体パッケージ製造のための露光装置でシェア100%を誇る同社には、すでに来期の受注が大量に入っているそうです。また半導体製造ファウンドリ最大手の台湾TSMCの3ナノ、4ナノなどの新ラインには、米アップルなどの主要顧客の予約でいっぱいだそうです。
株価の調整局面は、来期に向けて仕込みのチャンス
業績が好調な一方、株価はこのところ軟調で、短期の下値余地は小さくなりました。夏枯れ相場の8月下旬や在庫が積みあがってくれば11月頃にさらなる調整があるかもしれませんが、通常リスクの範囲内の調整で収まるでしょう。
ワクチン接種が進む3Q(10-12月期)以降は、消費が活発になり、旅行やホテルなどのインバウンド需要も点火し、来期はそれらが爆発することが期待できます。足元のコロナ拡大懸念で株価が出遅れた「東京2020 一か八かファンド」の銘柄群も1年程度保有を延長してもいいでしょう。また、株価が上昇したら売って、より長期の成長が期待できる「十中八九大丈夫ファンド」の候補群の中から価値観の合う銘柄を選んでスイッチするのも有効な戦略です。
(DFR投資助言者 山本潤)