「Tカード」、「Pontaカード」、「Rポイントカード(楽天スーパーポイント)」といった共通ポイントカードの競争が激化しているが、現在その中のひとつ「Pontaカード」が正念場に追い込まれている。
そこで今回から3回に渡って、共通ポイントカード業界を取り巻く流れと、その中において「Pontaカード」が陥ってしまった状況について解説していこう。
【中編・後編はこちら】
■「Pontaカード」が迎える正念場とは?(中編)昭和シェル石油と出光興産の経営統合により「Ponta」提携店からガソリンスタンドが消える?
■「Pontaカード」が迎える正念場とは?(後編)「Rポイントカード」「Tカード」の持つ強みに対し共通ポイントカード戦争をどう生き残るのか!
ローソンが「Pontaカード」に続き
「Rポイントカード」を導入?
2015年7月30日の日経ビジネスオンラインで、ローソンで「Rポイントカード」が利用できるようになると報じられた。楽天は否定しているが、筆者はローソンで「Rポイントカード」が導入される可能性は高いだろうと考えている。
なぜローソンで「Rポイントカード」が導入される可能性が高いのか、以下の図を見ながら簡単に説明したい。ただし、時系列は順番通りとは限らない。
まず、2015年12月1日より、ローソンでドコモの共通ポイントカード「dポイントカード」が利用できるようになると発表があった。これでローソンは複数の共通ポイントカードを導入できるようになった。
(関連記事⇒ドコモとPontaが提携し、ポイントの相互交換へ!au、ソフトバンクに続く携帯ポイントのオープン化で群雄割拠のポイント戦国時代が始まる!)
また以前に、ファミリーマートとサークルKサンクスが統合するというニュースが報じられた。基本的に、ファミリーマートへサークルKサンクスが吸収され、サークルKサンクスの店舗名は順次ファミリーマートへと変更になるようだ。
その場合、サークルKサンクスで利用可能なポイントカードも「Pontaカード」から「Tカード」に切り替えになるのではないだろうか。サークルKサンクスのポイントカードが「Tカード」に切り替わった場合、「Rポイントカード」を利用できるコンビニエンスストアは、ポプラと生活彩家のみとなる。
同時に、サークルKサンクスを吸収したファミリーマートは、コンビニエンスストア業界で2位に上昇し、現在業界2位のローソンは3位に転落してしまう。ローソンが複数のポイントカードを利用可能としたのは、この業界3位への転落を考えての行動ではないかと考えている。
そんなローソンと、使えるコンビニエンスストアがほぼなくなる「Rポイントカード」が手を結ぶのは、自然の流れだろう。
ローソンにおける共通ポイントカード戦争が激化
「dカード」の登場により「Pontaカード」提示率は低下?
共通ポイントカードの利用率が高いのは、なんといってもコンビニエンスストアだ。コンビニエンスストアは、共通ポイントカードの生命線と言っても過言ではないだろう。ドコモが共通ポイントに参入したときにローソンしか提携先の発表がなかったが、逆にコンビニエンスストアを抑えられない状態で共通ポイントに参入しても失敗する可能性が高いということだ。
ローソンでの共通ポイント争いが激しくなっており、「Ponta」、「ドコモ」、「楽天(Rポイントカード)」のポイントカード合戦が行われている。例えば2015年6月からは、ローソンでドコモのクレジットカード「DCMX」を使って決済すると、請求時3%OFFになるサービスが始まった。消費者にローソン=「DCMX(dカード)」というイメージを植え付けようとしているのだろう。
(関連記事⇒「DCMX」と「Pontaカード」の2枚を保有するだけでローソンのほとんどの商品を5%割引で購入可能!ドコモユーザーならこのお得情報を見逃すな!)
2020年11月30日をもって、「dカード(旧・DCMX)」によるローソンでの3%オフ特典は終了します。詳細は下記の記事をご確認ください。
⇒「ローソンで3%オフ」になる「dカード」の特典が、2020年11月末で終了! ローソンでお得に買い物を続けるなら「au PAY カード」への乗り換えがおすすめ!
■DCMX | ||
還元率 | 1.0% | |
発行元 | NTTドコモ | |
国際ブランド | VISA、Master | |
年会費(税抜) | 初年度無料、2年目以降1250円 (ただし、年1回でも利用すれば、 次年度以降も年会費無料) |
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家族カード | あり(年会費初年度無料、2年目以降400円、税抜) | |
ポイント付与対象の 電子マネー |
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(関連記事⇒ドコモのカード「DCMX」を保有することで携帯電話料金はどれだけ安くできる? ポイント制度の変更点と「DCMX」のメリットとは)
現在ローソンでは、ポイントカード(Pontaカード)+決済ツール(DCMX)と分けて使うことができるが、2015年12月以降は、ドコモの共通ポイントカードサービスが開始されるため、「Pontaカード」を提示する必要がなくなり、「DCMX(dカード)」だけで提示+決済が可能になる。その場合、ローソンでの「Pontaカード」提示率は低下するだろう。
「Pontaポイント」より「楽天スーパーポイント」の方が利用者が多い
さらに、ローソンで「Rポイントカード」が利用可能になると、「Pontaカード」と「Rポイントカード」のどちらかを消費者が選択することになる。ジャストシステムの「ポイントに関するアンケート調査」によると、最も貯めているポイントとしては1位が「楽天スーパーポイント」(47.2%)、2位が「Tポイント」(34.2%)、3位が「Pontaポイント」(15.1%)となっている。数字を比較すると、「楽天スーパーポイント」が圧倒的な人気となっていることがわかるだろう。
つまり、「Rポイントカード」か「Pontaカード」を選択できるようになると、「Rポイントカード」を提示する消費者が多くなると予測できる。おそらく、ローソンで「Rポイントカード」が利用できるようになると、楽天でもローソン=「Rポイントカード」をアピールするようなキャンペーンを開始されるのではないだろうか。
コンビニエンスストア争いの敗者は、共通ポイントカードの敗者となる。「Pontaカード」がローソンで生き残るには、他の提携企業との相互送客を強化し、JALとの提携強化が必要となるだろう。
以上、今回はローソンにおけるポイントカード競争が激化した結果、「Pontaカード」が窮地に追い込まれる可能性について解説した。次回は、出光と昭和シェル石油の経営統合により「Pontaカード」がさらなる苦境に追い込まれる可能性について考察しよう。
【中編・後編はこちら】
■「Pontaカード」が迎える正念場とは?(中編)昭和シェル石油と出光興産の経営統合により「Ponta」提携店からガソリンスタンドが消える?
■「Pontaカード」が迎える正念場とは?(後編)「Rポイントカード」「Tカード」の持つ強みに対し共通ポイントカード戦争をどう生き残るのか!