
新村直弘
ウクライナ危機をきっかけに、あらゆる商品価格が上昇している。各国はエネルギーの脱ロシア化を図り、脱炭素を加速させる狙いだ。これにより、脱炭素に欠かせない鉱物資源の価格が上昇するだけでなく、枯渇するリスクまで出てきそうだ。

ロシアがウクライナに侵攻し、原油価格は急騰した。ウクライナ危機をきっかけに、エネルギー市場は、大きく構造変化が起きる可能性がある。ウクライナ危機は「第3次オイルショック」ともいえそうだ。

脱炭素を実現するために必要な資源の確保が欠かせない。世界各国で資源の争奪戦になると予想されるが、日本はどのような戦略をとるべきなのか。

世界経済が新型コロナウイルスの猛威から回復する中で表面化した資源高。その構造を読み解くと、日本がこれまで想定していなかった“新型”インフレへの「扉」が開いた可能性がある。

2021年は、コロナ禍からの回復による需要増加もあり、原油価格の代表的指標であるブレント原油は80ドル台半ばまで上昇した。22年はいったん下落した後、回復する動きとなりそうだ。金相場は強弱の材料が入り混じる中、レンジ相場が続きそうだ。

市場ではインフレへの懸念が足元で強まっている。そんな中で、中長期的な視点ではインフレを引き起こす新たな三つのリスクが同時に発生する可能性が浮上している。そのリスクと対応策について考えたい。

新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かう中、資源価格の上昇が続いている。これは、新型コロナからの回復を目指す企業の業績を圧迫しかねない。ただし、資源価格の上昇に対しては冷静に対応する必要がある。

世界経済を牽引してきた中国の景気が減速し始めています。中国の経済動向は、あらゆる商品価格に影響を与えます。では、今後の鉱物資源の価格は、どんなシナリオを描くのでしょうか。

世界景気の指標ともいわれ、2020年から上昇が続いてきた銅価格が下落に転じています。世界最大の銅消費国、中国の経済動向が、価格に影響を及ぼしているようです。

世界中のトレンドが、二酸化炭素排出をゼロにする「脱炭素」になっています。しかし、脱炭素は、あらゆる資源価格や商品価格が上昇するリスクをはらんでいます。

資源価格の上昇が、市場関係者の間でメインテーマになりつつあります。ここにきて注目が集まるアルミニウムの価格上昇には、今後の脱炭素の流れが鍵になりそうです。

新型コロナウイルスの感染拡大でヒトの動きが制限されたことによって、物流が滞る問題が発生しました。ワクチン接種が広がり、新型コロナが収束すると商品価格にどんな影響を与えるのでしょうか。

原油価格が想定以上のペースで上昇し、ブレント原油は一時70ドルを上回った。弊社は70ドル台があるとしても景気回復の足取りが着実なものになる2022年頃と考えていたため、想定よりも1年以上早くその水準をクリアしたことになる。

商品価格の上昇が続いている。商品価格は基本的に、現物の需要と供給のバランスを背景に期待需要(実需を伴わない投機の需要、仮需)が相乗りする形で価格が形成される。つまり、価格動向を決める最も重要な要素は需要と供給のバランスであり、それを考慮した上で投機筋がポジションを形成するのが通常である。

2020年は米国とイランの対立、その後の新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が大混乱となった。オリンピックが東京で予定されていたことなど、今となっては嘘のようである。しかし、過去の異常気象の発生状況を振り返ると、2021年も穏やかな年にはならないかもしれない。

2020年を振り返ると、まず、イランのソレイマニ司令官が米国に殺害されたことを受けた米・イランの開戦リスクから始まり、その後の米中の通商交渉の妥結を経て、年央・年後半に向けての景気回復期待が高まった。しかし実際は、コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、全く予期していなかった世界規模の都市封鎖が発生、今も各国間の移動には大きな制限がかけられている状態である。

新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、環境重視型社会へのシフトが世界的に加速することになった。今回は大規模なロックダウンで経済が停滞し、ようやく温室効果ガスの削減目標を達成できるレベルとなった。それゆえ、ロックダウンの解除後に向けて、「再生可能エネルギーシフトを進めるべきだ」という欧州の政治的な主張が世界的に通ったということだろう。

新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う経済活動の停止によって景気に急ブレーキがかかり、原油価格は急落し米国の指標原油であるWTI価格はマイナス30ドルまで沈んだ。各国の矢継ぎ早の金融緩和や経済対策の実施によって経済活動は回復、原油価格もこれに歩調を合わせる形で上昇してきたが、ここに来て上値が非常に重くなっている。

8月から上昇を続けてきた小麦価格は足元調整している。しかし今年後半から来年にかけて再び上昇する可能性もあり、世界経済への影響が懸念される。小麦の需給の仕組みと今後の価格上昇リスクについて解説する。

銅価格は景気の動向を占う上での判断材料となるため「ドクター・カッパー」といわれている。なぜ景気の動向を占う指標になるかというと、機械には必ずといっていいほど使われる銅線に用いられるため、需要動向が経済活動を反映しやすいためである。そのため、銅価格が上昇すると景気が回復し、下落すると減速していると判断するわけだ。
