榎本博明
社会に出てうまくやっていくには、子どもの頃のIQが鍵を握ると考えている人は多いと思います。しかしIQは遺伝によって決定されている部分が多いため、教育や本人の努力ではどうにもならない面が強いのです。実際には、社会に適応し活躍するために、IQよりももっと大切な能力があり、しかもそれは訓練で十分高められるといいます。その能力とは……?

気分が沈みがちでうつ傾向の強い人は、仕事でも人間関係でもミスやトラブルを生じがちだと言われる。「うつで仕事がうまくいかない」と嘆く声もよく聞く。なぜ、うつ傾向になると仕事がうまくいかなくなるのだろうか? 実は、うつ傾向と問題解決能力との間には密接な関係があることが分かっているのだ。

愚痴の多い人は、けっして嫌なことばかりを経験しているのではなく、良いことも経験しているのに、嫌なことばかり思い出してしまう心のクセを身につけている。そのことは前回説明したが、これは落ち込みやすい人にもあてはまる。落ち込みやすい自分を変えたい。そう思う人は、記憶とのつき合い方を変える必要がある。そこを変えるだけで、落ち込みにくい自分に生まれ変わることができるのだ。

スマートフォンに依存している人たちが、特にハマっているのがSNSだ。友人がどこで何をしているのかを常に知りたくなり、転職・結婚・出産といった自分のライフステージの変化も欠かさず投稿したくなる。自分の投稿に「いいね!」が少なかったり、友人からの返信が遅かったりすると不安になり、頻繁にスマホを見てしまう。友人と自分を比べて落ち込んだり、逆に優越感に浸ったりすることもある。そんな心理状態は、どのようにして作り出されるのか。どうすればSNS依存から脱却できるのか。心理学博士の筆者が詳しく解説する。

何かと気分が沈みがちで、仕事へのモチベーションも上がらない。いつも前向きに頑張っている同僚と話すと、うらやましいと同時に、なぜあんなふうに気分良くしていられるのか不思議でならない。そんな疑問を口にする人がいる。実は、そこには記憶が深く関係しているのである。

子どもの読書習慣は、単に学力だけでなく、社会性や意欲・関心などさまざまな能力に関係があり、成人後まで影響することが分かっています。しかし親が子どもに「本を読みなさい」と口で言っても、それで素直に言うことを聞く子どもはあまりいないもの。読書をする子どもに育てるために、「親が言う」より効果的な方法とは?

「血は争えない」とはよく言われる言葉です。わが子の成績を見て「自分の子だからなぁ」と思うこともあるでしょう。しかし、子どもの成績は本当に遺伝だけで決まるのでしょうか?世代間伝達には、遺伝のほかにもう一つ重要な要因があり、それは親の工夫次第でどうにでもなるものです。

子どもの成績は、常に親の心配事であり、悩みのタネになります。とはいえ、「勉強しなさい」といって、素直に勉強する子どもはめったにいないのが現実です。ならば、親はどうすればいいのでしょうか?

人生のどの時点において教育にお金をかけるのが効果的か?親ならきっと知りたいことなのではないでしょうか。幼児教育に力を入れると、成長したあとでどれくらい有効なのか。また、幼児期に読書習慣を身に付けた子どもは、成長したあと人生において「成功」できるのか?そんな実験の結果を紹介します。

自己肯定感の低さに悩みがちな人は、いかにも自己肯定感が高そうな人を見ると、圧倒され、「それに比べて自分は……」と落ち込んでしまいがちだ。しかし、見た目で自信満々に見える人の中には、実は自己肯定感の低い人や実力の乏しい人も結構いるものだ。本当に自己肯定感が高い人とはどんな人なのか。そして自己肯定感を高めるためにはどうしたらよいのだろうか?

読書は子どもの成長に良い影響を与えるもの。本を読む子になってほしい……親はそう願っているのに、当の子どもはゲームや動画は見るけれど、本なんてまったく読まない……そういう家庭は多いのではないでしょうか。なぜ「本を読みなさい」と言っても言うことを聞かないのか、どうやったら子どもが本を読むようになるのかについて考えてみましょう。

自己肯定感が低いことを悩んでいる人は非常に多く、「こうすれば自己肯定感が高まる」と説く本が人気だ。なかには、一瞬で自己肯定感が高まる方法があるとして、自己暗示のかけ方を教えるものまである。しかし、本当にそれで自己肯定感が高まるのだろうか。今回は、自己肯定感とはどのようにして高まっていくのかについて考えてみたい。

人事の重要な仕事として、従業員が持つ潜在的な能力を最大限に発揮できるようにサポートするということがある。いわゆる人材育成・能力開発である。昨今はポジティブな心構えを推奨する風潮があるが、今回はその危うさについて見ていきたい。

人事部門の重要な仕事の一つに、モチベーションマネジメントがある。同じ能力でも、モチベーションによって成果が大きく違ってくる。成果を出せる組織にしていくには、社員のモチベーションマネジメントが欠かせない。モチベーションというのは、心の問題であり、まさに心理学の守備範囲といえる。今回は人事心理学の視点から、社員のモチベーションを高める職務特性について考えてみたい。

自己肯定感の低さに悩む人が非常に多くなっているようだ。欧米人の自己肯定感の高さと比べて日本人の自己肯定感の低さが際立っているという国際比較データがあり、「日本人も欧米人を見習ってもっと自己肯定感を高めないといけない」と言われたりするからだろう。しかし、私たち日本人の自己肯定感は本当に低いのだろうか。そこを検討してみる必要がある。

国際比較調査が行われるたびに、欧米諸国の自己肯定感の高さに比べて、日本人の自己肯定感が極端に低いことが話題になります。なぜ欧米人の自己肯定感は、これほどまでに高いのでしょうか? 日本人と欧米人の自己肯定感に極端な差がある理由について考察します。

若い世代だけでなく中高年にも、「自己肯定感が低い自分は、ダメ人間なのではないか」「どうしたらもっと自己肯定感を高められるのだろう」と悩む人が少なくないようだ。そんな悩める人たちをほんとうに救おうとしているのか、あるいはカモにしようとしているのか、自己肯定感を高めるためのコツを伝授する本が巷に出回っている。でも、数十年にも及ぶ長い人生経験を通して培われてきた自己肯定感が、そんなに急に変わるものではない。どうしたらよいのだろうか。

仕事に慣れるのに必死だった20代から30代。その後も一生懸命に駆け抜けてきた働き盛りの30代から40代……そして、定年後も含め先のことが気になってくる50代になると、多くの人は歩みを止め、自分の人生を振り返るようになる。それは気持ちに余裕が出てきたといった面もあるだろうが、後悔や焦りにさいなまれることにもなりがちだ。50代をどう乗り越えるかによって、その後の人生のあり方は大きく違ってくる。

昨今、書籍やメディアでよく取り上げられるようになった「自己肯定感」。その多くが、自己肯定感が低いといかに生きづらいかを説き、なんとかして自己肯定感を高めるためのノウハウを伝授するといった内容です。しかし、自己肯定感は本当に高めなければいけないのでしょうか。自己肯定感が低いといい人生を送ることができないのでしょうか。そこで前回に続き今回は、心理学博士・榎本博明さんの新刊『自己肯定感という呪縛』(青春出版社)から、自己肯定感を無理に高めようとすることの弊害について抜粋紹介します。

第8回
新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務が広まりました。「隠れ内向」を含む内向型の人にとっては、有利な働き方と言えそうです。周囲に無理をして合わせるだけではなく、自分が本来持っている強みを生かしながら働き、成果を上げるにはどんなことに気を付ければいいのでしょうか。
