
唐鎌大輔
4月に入ってドル安傾向が続いているが、主要国通貨の中で円だけがドルに対して強くなれないでいる。それは、周回遅れの新型コロナウイルスワクチン接種、そして変異株を中心とした感染蔓延状況ゆえと思われる。ドル円の取引量も細っており、円自体への関心が低下している。

IMFの見通しでは、2021年の世界経済はワクチン接種率に優れる先進国の回復が先に立ち、新興国との格差が平時に増して拡大するという。今年後半、世界経済の正常化の過程で危機に陥る新興国通貨はどれか。いくつかのポイントを基に考察しよう。

為替市場では、米金利の上昇が一服するに伴いドル高も小康状態になり、対円では円高に引き戻されつつある。円安・ドル高局面は終わったのだろうか。わずか3ヵ月で2倍の水準になった米金利の趨勢を考えると、今後も上値は見ておくべきだ。

2020年はドルを中心に、先進国通貨において「金利のない世界」が常態化する中、経常黒字、貿易黒字、対外債権といった「需給」が強い影響力を持った。足もとで、為替を動かすテーマは変わりつつある。先進国通貨のパワーバランスはどう変化するのか。

金融市場では米金利の上昇が耳目を集めているが、これに連れて日欧の金利も浮揚し始めている。このことは、とりわけ金融システムへの不安が慢性的に漂うユーロ圏で問題視されるだろう。欧州における金利牽制の動きと、それがもたらす影響を考察する。

米国の長期金利が上昇している。金利の上昇は、株価や為替にも少なからぬ影響を及ぼす。金利がどこまで上がるかが、2021年の金融市場を見通す上での要諦になると考えて間違いない。米10年金利の動向を、いくつかの指標から徹底分析する。

新型コロナのワクチン接種が世界に先駆けて行われたイスラエルでは、その効果が見えつつある。今後、金融市場もワクチンの動向を材料視して動いていくだろう。それに関連して囁かれているのが、「イスラエルリスク」という巷説だ。

ユーロ圏の物価情勢が未曾有の悪化に直面している。12月のユーロ圏消費者物価指数は5カ月連続でマイナスとなり、リーマンショック直後に似た状況が続く。物価低迷は原油価格の落ち込みに引きずられただけなのか。危機の深奥を読み解く。

緊急事態宣言の再発令を通じて、政策に対する国民の不満が募り、それが景気の先行き不透明感につながっている。その結果、企業や家計でかつてないほど貯蓄意識が高まっている。実はこうした現状が、日本経済のリスクを緩和している側面もある。

新型コロナに振り回された2020年が終わり、2021年を迎えた。激動の時代において為替市場をどう見通すべきか、金利、株の動きも見据えながら分析する。ドル安は今後も続くのか。円はどうなるのか。そして、現在の為替に大きな影響を与える存在とは何か。大局観を持つことが重要である。

現状のドル安予想のベースには、FRBのゼロ金利政策が当面変わらない見通しと、巨額の財政赤字に伴うドルの過剰感がある。だが一方で、イエレン次期財務長官の存在がドル安を招くのではないかという意見もある。その真偽を検証しよう。

「リスクオフの円高」の威力は弱まっているが、足もとでドル/円相場は月を追うごとに下値を切り下げている。2021年に入って100円割れを起こすのではないかという懸念も高まって来た。「ドル安」という視点から、足もとの為替リスクを読み解こう。

米大統領選挙の解釈が定まっていないところに、待望のワクチン完成報道が矢継ぎ早に重なっている状況下、足もとの金融市場をどう展望すべきなのか、頭を抱える向きは増えているはずだ。大統領選前から続く株高・債券高(金利低下)・ドル安は、どうしたら説明がつくのだろうか。その背景を探る。

米大統領選を前に、金融市場はバイデン大統領誕生への期待を織り込んで動いている。解せないのは、米金利の上昇とドル安が併存していることだ。リスクオンのドル売りが起きているという解説もあるが、米金利の上昇の中でどこまでドル売りが続くだろうか。バイデントレードの内側を探る。

国慶節明けに中国の人民元は1ドル=6.69元と、1年6ヵ月ぶりの高値をつけた。米大統領選で、親中派とみなされるバイデン候補の勝利が有力視されていることが「元買い」につながったようだ。しかし、原因はそれだけだろうか。中国自身も不安視する元高の背景を探る。

欧州では英国のEU離脱が混迷の度を深めている。来年以降のEUと英国の「新たな関係」を規定するための協議が、合意点を見出せないのだ。移行期間が終わる年末に向け、「合意なき離脱」の懸念が再燃する。今、何が起きているのか。ブレグジットを理解するためのQ&Aをお届けする。

コロナショックのダメージが甚大な中、異様な動きを示しているのが主要国のマネーストックだ。マネーとGDPの間には安定した関係があるが、各国のGDPが史上最悪の落ち込みを演じているにもかかわらず、マネーが急増しているのだ。これはなぜだろうか。

安倍総理の辞任に伴い、金融市場の関心は次期政権に移っている。アベノミクスは、政策との因果に関しての検証が必要であるにせよ、目に見える結果が多かったのも事実である。為替に始まり、為替に終わったアベノミクスの真の成果とは何だったのか。7年8ヵ月を徹底検証しよう。

7月以降、為替市場ではドル安が話題になった。米国の政治・経済・社会への不安が募ったこと、これまでのドル高局面が長過ぎたことがドル売りを招いたようだ。その際、対ドルで円以上に趨勢を強めたのがユーロだ。ユーロにあって円にない強みとは何か。

米トランプ政権が香港の銀行による米ドル購入を制限し、米ドル・ペッグを基軸とするカレンシーボードに打撃を与えることを検討していると報じられた。現実のものとなれば中国にとっては痛手だが、実は米国もタダでは済まない。
