不正会計疑惑などで株価急落のAbalanceの上場廃止が決定
東京証券取引所はAbalance(3856)の上場廃止を決定し、同社を整理銘柄に指定へ―。
8月25日(火)18時30分に出されたわずか2枚に満たないプレスリリース。「ほほぅ、ついに出たか」と私は思わず口にした。だが、今回の措置は随分遅きに失したのではないかと思っている。Abalanceという粉飾決算常習犯・東証スタンダード上場の詐欺会社。作為的に作られた華々しい業績急拡大ストーリーをテコにあろうことかインサイダー中のインサイダーの立場にあるIR担当者が重要事実公表前に自社株を買って高値で売り抜けて逮捕された。そのけしからん行動をまるでサポートするかのようにAbalanceを買い煽りしていたマーケットアナリストの存在。皆さんへの教訓的事例として取り上げる。
Abalance(3856)はもともとナレッジマネジメントシステムの開発企業として2000年に設立されたリアルコミュニケーションズという会社である。翌年2001年にリアルコムに社名を変更し、2007年に東証マザーズ上場。その後、2011年に華僑系のWWBという中古建機輸出会社のオーナーである龍潤生氏が株式を取得し、2017年より中国製太陽光パネルの製造・販売へ転じると同時に社名をAbalanceに変更した。
Abalanceは2022年6月期から業績が急拡大し、株価も垂直的棒上げ
上場初年度2008年6月期の業績は売上高6億2000万円、営業赤字6億6300万円という悲惨な状況だったが、業績の停滞感は2011年6月期まで続いた。経営母体が変わってからも収益力の低い状態が継続。ところが、会社側が太陽光パネルに本格参入と称する2022年6月期に売上高924億円、営業利益17億円となり、2023年6月期は売上高2152億円、営業利益128億円、2024年6月期は売上高2089億円、営業利益233億円と爆発的な成長企業に変身。株価は2022年2月の安値520円から2023年5月には1万3620円の高値を付けるに至った。「この業績にして、この株価あり」。垂直的棒上げチャートを描いた。個人投資家の間では「彗星の如く現れた銘柄」ともてはやされた。「えっ、あなたAbalanceを知らないの?」というのが勝ち馬に乗った投資家の誇らしげなセリフだった。
上場廃止が決定したAbalanceの株価推移
私自身はもちろんスルーである。決算書を見ると表面的な売上高や営業利益とキャッシュフローの整合性に疑問点が多々あった。発生主義と現金主義との間に矛盾点が見られるのは粉飾決算企業の典型だ。小型株トップアナリスト&ファンドマネジャーとしての経歴の長い私は「かなりヤバいケースに該当しているのではないか?」と考えていた。
Abalanceの元執行役員・IR担当者がインサイダー疑惑で逮捕
Abalanceの企業情報の発信役が2023年1月に入社した堀内信之氏である。執行役員・IR担当。だが、入社した1月下旬の「ベトナム工場新設」の公表前に1万9400株の自社株を買い付け高値で売り抜けて約5000万円もの不正利益を取得。わずか7カ月後の8月に退職した。その後すぐにLAホールディングス(2986)のIR担当者に就任。本人曰く「自分は株価請負人。役目を果たせば次の企業に行く」。新たな転職先で事態が発覚しての逮捕劇だった。堀内氏の経歴を見ると1990年から20年間、東京証券取引所に勤務してジャスダック広報室長などを務めた後、上場企業4社のIR部長を歴任。実は、Abalanceでのインサイダー取引以前にも2015年のジャパンインベストメントアドバイザー広報・IR部長時代にインサイダー取引で金融庁から430万円の課徴金納付命令を受けていた「やらかし者」だ。金融庁は本名を公表せず匿名で発表。
もうひとつ私が問題視しているのが「相場の福の神」を名乗るマーケットアナリスト藤本誠之氏の存在だ。日本証券アナリスト協会に非在籍なのに公認アナリストを名乗って世間からは大ブーイング。その彼がAbalance株の推奨役としてあちこちで堀内氏に肩入れ。極め付きは自ら深夜にYouTubeセミナーを開催したことだ。『空売りインチキレポートに負けるな!Abalance(3856)相場の福の神 藤本誠之アワー 株っていいよね!vol.115』を2023年5月18日23時から配信した。そこに生出演したのが堀内氏なのだ。
個別銘柄の買い煽り動画に個人投資家はくれぐれも注意
「6月のイベントで材料が出ます」「アメリカで工場を建てるために土地を探しています」「機関投資家とIRミーティングの際、私の目の前で株の注文を出していた」「これから欧州年金の資金が入ってくる」などIR担当者として話してはいけない発言を連発。リアルタイムのチャットでは「このIR担当、ペテン煽り屋にしか聞こえなくなってきた」「これちゃんと通報したら普通に逮捕される案件やろ」「こんな発言をする会社を出演させる福の神って人、どんな人ですか?」。さる個人投資家から「太田先生、今夜の藤本氏のセミナーをぜひ見て欲しい」と言われたので、私もリアルタイムで視聴した。Viceroy Research が出したAbalanceの空売りレポートを「事実無根の内容」と糾弾し、株価急落からの浮上を果たすのが二人の目的だったが、その後もAbalanceは暴落の中へ真っ逆さまとなった。
この藤本という人、かなりヤバい企業を取り上げて買い煽りするのを見てきた。私が2022年12月まで講師として在籍したGFS(日本最大級のオンライン金融教育スクール)時代のこと。同じく講師の彼が熱っぽく推奨した赤字のQDレーザで被害を被った生徒たちが「太田先生、どうしたらいいでしょう?」と質問が殺到し大迷惑だった。私に聞かれても困る。「2000円で買って今400円です」。知らんがな。自称「相場の福の神」。自ら神を名乗る人物、おかしいと思わないの? 堀内氏逮捕のニュース直後、藤本氏は自分の買い煽りのコメントや関連動画をすべて削除。一瞬の早業だった。相場の疫病神でしょ? 今なお金融スクールで教えていたり、ラジオNIKKEIで番組をやっていたりするのが不思議だ。怪しげなマーケット関係者は大勢いて、メディアにも度々登場する。くれぐれも注意して欲しい。
以上、述べたことは「勝者のポートフォリオ」で2024年6月に開催したWebセミナーですでに詳しく解説済みのことであり、今回は一般読者の皆さまにも注意喚起している。
上場廃止報道でAbalanceの株価は200円台に。最終取引日は100円前後か
Abalanceに話を戻す。その後も数えきれない問題(決算延期、第三者委員会による不正会計認定、アメリカでの禁輸措置、監査法人の意見不表明など)を起こし、株価は399円まで下落。そこに上場廃止のニュースが飛び込んだ。売りが殺到してストップ安を連発。8月27日(木)は239円の比例配分で終了した。当然のことである。ただし、今回は倒産ではないため9月25日(金)の最終取引日は100円前後の株価になると私は予想している。
2025年12月17日に発表された第三者委員会報告書を読むと粉飾が54回、偽造が11回も出てくる。子会社が担っている海外事業(Abalanceの売上高の95%を占める)は完全にブラックボックス。粉飾決算が常習化していた。今回の上場廃止は「内部管理体制が適切に整備・運用される見込みがなくなった」ことが理由だが、これほど凄まじいインチキがまかり通った企業の立て直しなど望むべくもない。外部公表の業績はすべてが大嘘。筋の悪い企業に投資し、ひと稼ぎを目論んだ愚かな投資家たちは被害者ではない。自業自得と心得るべきである。
好調続く勝者のポートフォリオ。8月17日時点で+208.7%と最高値更新
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして日本株を中心として個人投資家に投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」は快進撃が続いている。8月17日(月)時点での累計パフォーマンスは+208.7%と最高値を更新。7月は大きな下落に見舞われた中でも善戦したが、8月からは尻上がりに好調だ。
「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較 ※2021年10月1日スタート時からの手数料別のパフォーマンス。過去の実績であり将来の運用成果を保証するものではありません
9月9日開催のセミナーは必見。テーマは日米欧の金融政策動向を徹底予想
勝者のポートフォリオでは毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加えて、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。
次回のWebセミナーを9月9日(水)20時から開催する。テーマは『年内の日米欧・金融政策を予想する。現在の金融相場は果たしてどうなる?』。投資戦略だけでなく、個別銘柄の話やすべての質問にお答えするQ&Aコーナーもあり盛りだくさん。投資のヒントが満載である。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加可能だ。毎回200名を超えるビッグイベントとなっており、奮ってご参加願いたい。
※記事中の数字は、過去の実績であり将来の運用成果を保証するものではありません。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしても活躍。DFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」、新サービス「投資プレミア講義&交流会」メルマガ配信などで活躍。

真の「勝ち組投資家」を目指す方へ。
「投資プレミア講義&交流会」始動。
太田忠氏の実践的な講義と、志高い仲間とのリアルな交流。
学び、繋がり、成長し続ける。
投資家としての力を養うための、プレミアムなサロンへようこそ。
国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる
「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!
老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス。週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!





















