「勝者のゲーム」と資産運用入門

GPIFの2025年度の運用益は41兆円。
世界で一番稼ぐ年金基金が日本のGPIFだ太田忠の勝者のポートフォリオ 第254回

2026年8月18日公開(2026年8月18日更新)
太田 忠
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7月は波乱の日本株式マーケットだったが、8月は尻上がりに好調

 マイナーSQの波乱なく、TOPIXは連日で最高値を更新―。

 7月はどうなることかと心配された株式市場。8月に入って尻上がりに好調となっている。先週はマイナーSQ週に当たり、ヘッジファンドの売り方・買い方のバトルで乱高下が起こってもおかしくなかったが無事に通過。「魔の水曜日」も実質的な「幻の高値」も出現することなく、TOPIXは何と8日続伸。水曜日から連日で最高値を更新している。7月6日(月)以来わずか1カ月での出来事であり、マーケットの盛り上がりを感じさせられる。

 今回のテーマはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)である。日本の公的年金を運用するGPIFの2025年度の収益は41兆3995億円と2023年度の45兆4153億円に次ぐ歴代2番目を記録。資産別の収益では国内株式が20兆4556億円、外国株式が16兆6240億円、外国債券が8兆406億円。トランプ政権による相互関税の発動でマーケットが動揺する場面があったものの、堅調な世界景気やAI・半導体関連が牽引する企業業績の拡大期待で株価は上昇。円安の進行で外貨建て資産の円ベースの評価額も増加した。一方、国内債券は3兆7207億円のマイナスとなった。国内金利が上昇(債券価格は下落)し、保有する債券の時価評価が目減りしたためである。GPIFの運用資産額は293兆円と2021年度末から約100兆円も増加した。

GPIFの2025年度のパフォーマンスは+16.47%と屈指の収益率を誇る

 2025年度のパフォーマンスは+16.47%。運用を始めた2001年度からの累積収益率は年率ベースで+4.33%と長期的運用目標の「賃金上昇率を1.9%上回る水準」を達成している。2026年度も好調であり、4〜6月期において国内株式で10兆円、外国株式で13兆円程度の収益を上げており、運用資産をさらに積み増し。素晴らしいことである。

 これだけ好調な成績を上げているのはGPIF改革のおかげである。従来は国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%、短期資産5%の配分だったポートフォリオを2014年度から変更。国内株式、外国株式、国内債券、外国債券をそれぞれ25%の比率に改めた。将来のデフレ脱却を睨んで安全性よりも成長に舵を切る運用スタンスに変えたことが多いに奏功している。ちなみに、従来のポートフォリオのまま運用を続けていれば、現在の運用資産額は197兆円にとどまっていた。実に96兆円もの差が生じていたのだ。

2001年に開始したGPIFの累積収益は196兆円。日本の年金財政を下支え

 世界の年金基金におけるGPIFの地位は堂々の第1位である。2番手がノルウェーのGovernment Pension Fund(政府年金基金)、3番手が韓国のNational Pension(国民年金公団)。先ほど述べたように2025年末のGPIFの運用金額は293兆円で年間に稼いだ額は41兆円。年率で16%ものリターン出し41兆円も稼いでいる年金基金は他にない。世界で一番稼ぐ年金基金、それが日本のGPIFである。2001年からスタートした運用の累積の収益額は196兆円に達している。もの凄い金額だ。

 2025年度は6年連続でのプラス収益を確保したが、GPIFの評価は長い目で見るのが大事である。GPIFの運用成績は四半期ごとに公表されている。リターンがマイナスとの報道がされると、「年金支給額が減らされる!」「何でマイナスの運用なんかしているんだ!」「責任者出てこい!」のような世論が毎度起こるが、あまりにも短絡的でバカバカしい。これに同調して不満をぶつける人も多く見受けられる。無知の露呈そのものである。日本の年金財政がどうなっているのかをもっと勉強していただきたいと思う。

日本の年金制度の問題は少子高齢化の進展で世代間扶養がそぐわないこと

 年金給付の財源は保険料収入と国庫負担で9割が賄われている。GPIFの運用積立金から得られる財源は1割。要するに全体の10%の部分を運用からの収益で補足している形だ。日本の年金は「日本国内に居住する20歳以上60歳未満の人全員」に加入義務がある皆年金制度であり、そのスタートは1961年に遡る。勤労者が毎月支払っている厚生年金・国民年金の保険料は将来の自分への積立ではなく「世代間扶養」である。すなわち、現役世代が納める保険料を高齢者の年金支給に充てる設計だ。制度ができた当時は、日本が人口も経済も右肩上がりだったのでこの制度設計で良かったが、今問題となっているのは少子高齢化の進展で「世代間扶養」が日本の年金制度に全くそぐわなくなっているためだ。

 現在、高齢者に給付している年金総額とその財源をみると、2023年度の年金給付額は56兆円であり、日本の人口の3人に1人の割合に相当する4058万人が年金を受け取っている。そのための財源の約7割(41兆円)は現役世代からの保険料収入で賄っており、2割(12兆円)は税金(国庫負担)が投入されている。だが、それでも足りない。その不足分の3兆円(預託額)をカバーしているのがGPIFの運用する年金積立金だ。

国の年金が頼れない中、大事なのが自分のために積み立てる「個人年金」

 今の時代は年金給付のための支出の方が圧倒的に大きく、現役世代から徴収する保険料を積立金に回すことが全くできず高齢者への支払いに充てられているが、団塊世代が働き盛りだった時代には入ってくる保険料のほうが給付する年金額よりも多く、毎年のように積立金が増えていた。これがGPIFの運用する年金積立金のタネ銭になったというわけである。

 以上はあくまで国全体の年金のことであり、大事なのは各個人の年金である。「世代間扶養」方式では少子高齢化で今後国から受け取れる年金額が増えることは望めない。特に若い人にとっては「自分の保険料を納めてくれる世代の人口が将来どんどん減少し、今納めている保険料は払い損ではないか?」という切実な問題がある。世代間格差の年金問題はまた別の機会に触れたいと思うが、少子高齢化が進んでも現役世代の負担が重くなりすぎないよう、厚生年金の保険料率は18.3%(労使折半)で固定、国民年金の保険料は1万7920円となっている。なので、節操なくどんどん上がるという形にはならない。

勝者のポートフォリオの設定来推移は8月14日で+207.6%と最高値更新

 そこでやはり考えないといけないのが「世代間扶養」の国の年金制度には頼らずに、「自分で自分のために積み立てる自分年金」の確立である。社会的話題となった「年金2000万円問題」は国依存の姿勢に警鐘を鳴らすメッセージだったと私は思っている。果たして自分はどれくらいの「自分年金」を築くことが必要かを今一度精査し、将来への取り組みをおこなって欲しいと思う。私がDFRと共同で投資助言している「勝者のポートフォリオ」は自分年金への取り組みのための長期的視点でサービスを提供しているが、私の元に日々寄せられる個人投資家からの問い合わせは切実である。2024年からスタートした新NISAは「生涯無期限で、1800万円の投資元本を、非課税で運用できる」制度が恒久化された。日本にも安心して投資に取り組める枠組みが提供された。果たして皆さんはどのように活用しているだろうか?

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションし、日本株を中心として個人投資家向けに投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」は快進撃が続いている。8月14日(金)時点の累計パフォーマンスは+207.6%と、7月15日(水)につけた最高値+205.0%を更新。7月は大きな下落に見舞われた中でも善戦したが、8月は尻上がりに好調だ。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較             ※2021年10月1日スタート時からの手数料別のパフォーマンス。過去の実績であり将来の運用成果を保証するものではありません

8月19日にWebセミナー開催。テーマは信用取引の恐怖の本質を再確認

 勝者のポートフォリオは、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加え、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。

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※記事中の数字は、過去の実績であり将来の運用成果を保証するものではありません。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしても活躍。DFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」新サービス「投資プレミア講義&交流会」メルマガ配信などで活躍。

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