キオクシアの株価が3万円台に。最高値11万2700円からの下落率は68%
キオクシア(285A)の株価はついに3万円台。わずか1か月で7割も下落―。
6月22日(月)の最高値11万2700円から7月30日(木)には3万6020円まで暴落。下落率は実に68.0%に達した。わずか1か月の急転直下だった。改めてキオクシアの株価推移を振り返り、大量の犠牲者が続出した信用取引について警鐘を鳴らしたい。
6月25日(木)の東京市場。この日の日経平均株価は3191円高となり終値ベースで7万2366円となった。歴代4位の上げ幅で過去最高値を更新するという華々しい1日だった。加えて、NT倍率(日経平均÷TOPIX)は18.01倍とこちらも過去最高を記録。AI・半導体関連銘柄が大活躍し、日経平均がSOX指数化、KOSPI化する現象を目の当たりにしてFOMO(Fear of Missing Out:買い遅れる恐怖)で高値追いを迫られる異様な雰囲気にマーケットは包まれた。投資家たちの熱狂が渦巻いた。
キオクシアの利益は年率換算で6倍増加し、昨年末からの株価急騰を演出
その原動力の中心となったのがキオクシアである。東芝のメモリー部門が分離・独立して米投資ファンドのベインキャピタルを中心とした資本の下で2019年に再出発。東芝は世界で初めてNAND型フラッシュメモリーを開発・量産化に成功した企業であり、半導体事業は稼ぎ頭だった。短期の記録を担うDRAMにしろ、長期の記録に適したNANDにしても3~4年周期で好不況を繰り返すシリコンサイクルの影響を受けて数量・価格が大きく変動するのが難点である。だが、昨今の爆発的なAI需要で短期的な影響を受けない「スーパーサイクル」に入ったとの認識が広がった。
キオクシアの業績は2024年3月期の営業赤字2526億円から脱却し、2025年3月期は4517億円の黒字転換。2026年3月期は8703億円、そして2027年3月期は1Qだけで1兆2980億円との会社予想になっている。年率換算で6倍の利益増である。株価が昨年末の1万435円から11万2700円まで一気に駆け上がったのも頷ける。だが、その高株価の演出は短期的かつ投機的売買によるところが大きく、海外ヘッジファンドや個人のデイトレーダーたちが重要な役割を担っていた。
値がさ株のキオクシアは個人投資家による信用取引の格好の対象に
値動きの大きいAI・半導体関連銘柄は個人投資家による信用取引が極めて活発でキオクシアはその筆頭だ。キオクシアの株価の最高値は11万2700円。1単元買うためには1127万円が必要であり、個人投資家がそう簡単に手出しできる銘柄ではない。だが、こういう銘柄こそ信用取引の格好の対象になる。信用取引ならば1127万円の資金は必要なく、350万円あれば買えるからだ。多くの個人投資家が信用取引で参加することになる。
信用取引は元手に対して3.3倍のレバレッジを掛けられる借金トレードである。100万円の手持ち資金で330万円の取引ができる。すなわち230万円は借金だ。もちろん金利を支払わなければならずコスト高なのが欠点だ。だが、私が一番問題視している点が、信用取引は「ボラティリティに滅法弱い」ことである。
信用取引している銘柄の株価が大きく下げると元手に対しての下落率は3.3倍になる。ポジション維持のために追加証拠金(追証)を入れられなければ大きな損のまま証券会社に清算(ロスカット)されてしまう。信用取引はボラティリティに弱い枠組みであるにも関わらず、信用取引利用者の大半がボラティリティの高い銘柄で勝負している。その代表格がキオクシアだ。最高値11万2700円から7月30日(木)には3万6020円まで暴落。下落率は68.0%。「高値から株価が半分になったからチャンス!」とばかりに5万6350円でエントリーしたとしても安値までは36.0%もの下落率となる。信用取引としては耐えられないレベルの急落ぶりである。一連の下落で「キオクシア命」だった信用取引の個人投資家たちの中にはマーケットからの撤退組が相当いると思われる。
現物取引かつ中長期のファンダメンタルズ投資こそ資産形成の要
信用取引は値動き勝負の世界。ファンダメンタルズなどお構いなしだ。いくら業績が良くても自分のポジションに不利な大きな動きが出ればゲームは終了する。投資元本に対するマイナス部分の追証を証券会社に入金できなければ即ロスカットだ。キオクシアの株価が4万円割れとなった7月29日(水)に売買代金は3.58兆円、30日(木)には3.69兆円というとんでもない高水準を記録。もちろん、追証祭り&ロスカット祭りの大賑わい。涙をのんだ個人投資家たちが続出した。あなたの周りにもそういう人がいるかも知れない。
現物株ではそのようなことは起こらない。私のような長期投資家はファンダメンタルズで勝負している。日々の値動きは単なるノイズである。決算プレイで株価が20%下落しても全く平気である。なぜなら、それは単なるノイズであり2週間程度あれば元の水準に回復することを知っているからだ。信用トレーダーはノイズで跳ね飛ばされるが、私は泰然自若である。追加資金でさらに買い増しだってできる。一方、跳ね飛ばされた者は反発したところでその恩恵は受けられない。すでに強制決済で試合は終了しているからだ。
確かにボラティリティの大きさは上昇局面だけ取り出すと魅力的だが、実はデイトレードではリアルに値幅を取れる部分は少ないのも特徴だ。前日のSOX指数が上昇すれば東京市場では買い気配で始まり寄付きでいきなり10%高になってしまう。そこからエントリーしても利益は少ない。反対に、SOX指数が急落すれば売り気配で始まり寄付きでいきなり10%安だ。前日から持ち越していた投資家はたまったものではない。一度でもこのような状況に直面すると、一気に損失を被ってこれまで積み上げた利益を吹き飛ばすことになる。いわゆる「コツコツ、ドカン」だ。実にナンセンスである。今のマーケット環境では悪夢のような結果になりやすい。あなたは大丈夫だろうか。
個人投資家に信用取引を勧めないのは以上の理由からである。私のような熟練の投資家でも値動きの世界で勝負の信用取引をすればヤラれる。ノイズには対処のしようがないからだ。
マーケットが大きな下落に見舞われた中でも勝者のポートフォリオは善戦
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションする「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向け投資助言サービスであり、快進撃が続いている。7月31日(金)時点の累計パフォーマンスは+191.0%と、7月15日(水)につけた最高値+205.0%が射程距離に入っている。7月はマーケットが大きな下落に見舞われた中でも善戦した。
「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較 ※2021年10月1日スタート時からの手数料別のパフォーマンス。過去の実績であり将来の運用成果を保証するものではありません
勝者のポートフォリオは、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加えて、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。
7月15日(水)20時よりWebセミナーを開催した。テーマは『日経平均7万円時代。適正PERとバブル発生PERの水準を考察する』。大事なテーマだ。というのも「日経平均が6万円を超えたらバブル、7万円を超えたらバブル」てな感じで単に株価水準だけ見て「バブルだ、バブルだ」という人たちやメディアの論調が多いからだ。単に感覚的な判断は危険である。正しいアプローチで考えればどうなるか。それが今回のテーマだ。投資戦略だけでなく、個別銘柄の話やすべての質問にお答えするQ&Aコーナーもあり盛りだくさん。投資のヒントが満載である。すでにセミナー動画を会員ページアップしたのでご活用いただきたい。次回のWebセミナーは8月19日(水)20時から開催予定。テーマは決まり次第、皆さまにお伝えしたい。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加可能である。毎回300名近いビッグイベントとなっており、奮ってご参加願いたい。
7月開始のサービス「投資プレミア講義&交流会」で投資の実践力を高める
そして、新たなサービス「投資プレミア講義&交流会」を7月よりスタートした。「勝者のポートフォリオ」が具体的な投資アドバイスを行う投資助言であるのに対して、「投資プレミア講義&交流会」は非投資助言。「勝者のポートフォリオ」で提供している62本にも及ぶ基礎的内容のスペシャル講義を発展させたのがプレミア講義である。マーケットを実践的に読む力を養うのが目的である。そして、リアルでの交流会も活発におこなっていく。
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※記事中の数字は、過去の実績であり将来の運用成果を保証するものではありません。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしても活躍。DFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」新サービス「投資プレミア講義&交流会」メルマガ配信などで活躍。

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