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半導体などの先端技術に不可欠な「レアアース」は、
採掘・精錬ともに中国に依存している状態が継続
文部科学省所管の海洋研究開発機構(JAMSTEC)は7月24日、1月から2月にかけて南鳥島周辺の水深5569メートルの海底から採掘した約50トンのレアアース泥の分析結果を公表しました。泥に含まれていたレアアース総量の約54%を、ハイテク製品に不可欠なイットリウムなど中国依存度が高い「中重希土類」が占めていたとのことです。
レアアースは希土類元素17種類の総称のことで、スマートフォンや電気自動車のモーター、ミサイル誘導システムなど現代の先端技術に不可欠な資源であることから「産業のビタミン」とも呼ばれます。
この17種類のレアアースは、大きく「軽希土類・重希土類」、あるいは「軽希土類・中重希土類」などに分類されます。軽希土類が比較的、世界中の広い範囲で採取できるのに対し、中重希土類は存在量が少ないうえ、産出場所が中国に集中しています。米国地質研究所や国際エネエルギー機関(IEA)によると、世界のレアアースの産出量の69%、精錬量の約85%を中国が占めており、日本も輸入量の6~7割を中国に依存している状態です。
こうしたなか、中国政府は2025年4月、サマリウム、イットリウムなど7種類のレアアースとその加工品などを対象に、輸出する際に中国商務部の許可を必要とする規制を導入しました。
さらに中国は2025年10月、製品に含まれる中国原産の指定レアアースの価値が、製品全体の価値の0.1%以上である場合、その輸出には中国の許可を必要とする規制を発表しました。これは中国国外で製造・加工された製品の輸出についても中国の規制対象とする、いわゆる「域外適用」となっています。
2025年10月に発表された追加規制のほうは、その後の米中合意を受けて、2025年11月から1年間、実施が停止されました。しかし、2026年11月10日までとされる停止期間が過ぎた後、こちらの規制も再開される可能性は残っており、世界のサプライチェーンにとって大きなリスクとなっています。
IEAは7月16日に公表した「世界重要鉱物見通し2026」で、中国のレアアース規制が完全に実施された場合、自動車やハイテク、防衛、エネルギー分野において約6.5兆ドル(約1060兆円)相当の生産が影響を受ける可能性があるとしています。
「南鳥島沖レアアース開発」は、レアアース不足を解決する
有力な手段として高市首相も期待する国家的プロジェクト!
中国によるレアアース規制は、日本にとって非常に重要な課題です。中国は、2025年11月の高市首相の台湾有事を巡る国会答弁を機に圧力を強めており、2026年1月には軍事転用可能な品目の対日輸出を禁じる制裁措置を実施。その影響もあり、2026年3〜4月の対日レアアース輸出量は前年同月比で8割超も減少しています。
こうしたレアアースの供給不足を解決するひとつの手段として期待されているのが、冒頭で触れた南鳥島沖の海底からレアアースを採掘するプロジェクトです。
日本政府は、国産レアアースの産業化に向け、南鳥島沖でのレアアースの採鉱から分離・精製までの一連の生産プロセスを実証する方針を示しています。2027年2月から大規模な実証事件を開始、2028年3月までに事業としての採算性の評価をとりまとめ、2030年頃の商業化を目指しています。なお、高市首相は6月29日の総合海洋政策本部会合において、スケジュールの加速を指示しています。
そこで今回は「レアアース」関連銘柄に注目しました。銘柄選定では、南鳥島沖のレアアース開発に関連している企業に加え、陸上でのレアメタル再生や海外でレアアース関連のプロジェクトに参画している企業のなかから、今後の成長が期待できる銘柄をピックアップしました。
【東洋エンジニアリング(6330)】
レアアース泥の回収システムの技術開発に関わる
東洋エンジニアリング(6330)は、石油化学、エネルギー、肥料プラントなどの設計・調達・建設をグローバルに展開しています。南鳥島沖レアアース開発では、深度約6000メートルの海底からレアアース泥を回収するシステムの技術開発に携わっています。株価は13週移動平均線に上値を抑えられる形での調整が続いています。ただ、足元では1700円辺りでの底堅さが意識されており、13週移動平均線の突破からのリバウンドが期待されます。
東洋エンジニアリング(6330)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【古河機械金属(5715)】
南鳥島沖レアアース開発では高耐久性スラリーポンプを提供
古河機械金属(5715)は、古河グループの機械・金属メーカーです。子会社の古河産機システムズが、固形物の混じった液体を輸送するスラリーポンプや下水処理用の汚泥ポンプなどを手掛けており、耐久性や耐摩耗性が求められる現場において強みを発揮しています。南鳥島沖レアアース開発においても、海底から粘性の高いレアアース泥を液体と一緒に船上へ効率よく移送するシステムに、古河機械金属のポンプ技術が活用されています。株価は、下向きで推移する13週移動平均線に上値を抑えられる形での調整が続いています。3000円辺りをメドに押し目を拾うスタンスになりそうです。
古河機械金属(5715)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【東亜建設工業(1885)】
「海洋資源開発室」を新設し、海洋資源開発分野を強化
東亜建設工業(1885)は港湾土木に強みを有する総合建設会社で、海底の泥の掘削や輸送、処理に関し、東京湾をはじめとする臨海部開発で培った高い技術を有しています。将来の成長領域として重要性が高まる「海洋資源開発」と「脱炭素・環境技術(GX)」分野への取り組みを加速するため、7月1日付で「海洋資源開発室」を新設し、「GX技術グループ」を設置。レアアースやメタンハイドレートなどの海洋資源開発分野への取り組みを強化しています。株価は、下向きで推移する13週移動平均線に上値を抑えられる形での調整が継続。ただ、2000円辺りで底固めの動きが見られるため、上昇トレンドへ転換するか見極めたいところでしょう。
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東亜建設工業(1885)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【三井海洋開発(6269)】
浮体式海洋石油・ガス生産設備の設計から運用までを手掛ける
三井海洋開発(6269)は、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)や緊張係留式プラットフォーム(TLP)について、設計から建造、リース、オペレーションサービスまでを手掛けています。南鳥島沖のレアアースに関しても、東京大学が主導する「レアアース泥開発推進コンソーシアム」の「採泥・揚泥」部会に参加しています。株価は、7月3日につけた安値8960円を底に緩やかなリバウンドを見せており、足元では13週移動平均線を捉えてきました。このまま同線突破からの上昇トレンドへの転換が期待されます。
三井海洋開発(6269)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【豊田通商(8015)】
ナミビア共和国でのレアアース探査プロジェクトに参画
豊田通商(8015)は、トヨタグループの総合商社です。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がアフリカのナミビア共和国で推進するレアアース探査プロジェクトに、共同開発事業者として参画しています。2026年6月には、同事業を進めるための特定目的会社を設立。JOGMECはこの会社に最大約54.6億円を出資することを決定しました。株価は、5月半ばにつけた高値7559円を天井に調整を見せていましたが、足元で上値を抑えられていた13週・26週移動平均線を上抜けてきたことから、さらなるリバウンドを狙いたいところです。
豊田通商(8015)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【アサカ理研(5724)】
リチウムイオン電池に含まれるレアメタルを再生
アサカ理研(5724)は、半導体や電子部品の製造工程で出るスクラップや廃液を回収し、金・銀・プラチナなどの貴金属を分離・精製・再製品化しています。2019年からはリチウムイオン電池の再生事業に参入。廃棄されたリチウムイオン電池に含まれるレアメタルを取り出し、再び材料として供給する資源循環システムを構築しています。また、CO2の排出をできる限り抑えながら、レアメタルの回収率を高める研究開発を継続しています。厳密には「レアアース」ではなく「レアメタル」の関連銘柄ですが、こちらまで物色が広がることが期待できます。株価は、下向きで推移する13週移動平均線に上値を抑えられる形での調整が継続。2000円辺りが押し目買いの目安となりそうです。
アサカ理研(5724)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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以上、今回は「レアアース」関連銘柄を発掘しました。
南鳥島沖レアアース開発は、深度約6000メートルという超深海での作業となり、採掘技術やコストなど課題も残っています。しかし、もしレアアースの採掘が実現すれば、日本の資源の海外依存という構造的弱点を克服する「ゲームチェンジャー」となるでしょう。
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