「ダイヤモンドオンライン」をご覧の皆さま、新年あけましておめでとうございます。2022年以降、急激な円安、原料高、資源高の三重苦にさいなまれ、インフレ対応策に動く日本企業が増えました。23年は、日本銀行による政策転換で為替動向に注視が必要な上、引き続きインフレ懸念が高まりそうです。23年はどのような年になるのでしょう。ダイヤモンド編集部の業界担当記者に、日本企業の将来を決する「8大テーマ」について座談会形式で議論してもらいました。特集『総予測2023』の本稿では、座談会後編の4つのテーマについてお届けします。(ダイヤモンド編集部 浅島亮子、新井美江子、大矢博之、土本匡孝、竹田幸平)
>>記者座談会前編『ビジネスマン必読!23年産業界「8大テーマ」、国策半導体の成功度、防衛費43兆円の死角…』から読む
【テーマ(5)】
メガバンクは大口融資問題
地銀は「ゼロゼロ融資」剥げ落ち懸念
浅島D メガバンク業界では、2022年の前半戦は旧日産自動車系サプライヤーのマレリホールディングス(HD)、後半戦は東芝と、大口融資先問題が浮上したね。
新井美江子記者(金融業界担当) メガバンクの業績に大きなインパクトを与えるほどではないのですが、この二つは日本の産業競争力を考えた場合に、重要な案件だったと思います。
マレリHDの負債総額は1.1兆円まで膨れ上がり、出資者である米投資会社KKRと、計26行にも上った外銀、邦銀の足並みがそろわず、再建手続きが紛糾しました。
同様に東芝でも、株式非公開化に必要となる1兆円超の融資額を巡り、銀行団の間で腹の探り合いがピークに達しています。問題は、マネーゲームを経て、マレリHDや東芝が「真の再建」に向かうのかどうかに疑問が残ることです。
近年、メガバンクは“銀行主導の企業再生”とは距離を置いてきましたが、国内大企業のメガバンクへの借り入れ需要が拡大する中、企業との距離感を見つめ直す時が来ているのかもしれません。
浅島D 地方銀行には、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」の返済が23年に本格化することから、業績悪化のリスクが高まっているね。
次ページでは、地銀を追い詰める「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」とは何かを解説する。また、ビジネスマンが最低限知っておくべき「産業界の8大テーマ【座談会後編】」のうち高年収企業36社ランキングなど3つのテーマについても解き明かす。