Know me(のーみー)に
行かない?

卓球台がある会議室

本田 「Know me(のーみー)」とは、どういう制度なのですか?

寺田 社員が飲み会に行ったら補助をするという制度ですが、補助が出るには条件があります。条件は、異なる部署のメンバー同士であること。そして人数が3人以内であることです。

本田 同じ部署ではなく、他の部署を意識させるのは、とても大事なことですね。

寺田 同じような環境にいる人たちが、同じようなことを考えていても、なかなか前には進んでいかない。見えてくるものが変わらないからです。

本田 実は、私自身、会社員時代には勤めている会社の同僚と飲みに行くことはほとんどありませんでした。そうではなくて、できるだけ他の会社の人と飲みに行っていたんです。むしろ会社を辞めてから、かつて勤めていた会社の同僚と飲みに行くことが多くなったくらいです(笑)。

寺田 当社でやっているのは、社内でそういう環境を作り出すサポートをしようということ。似た環境や能力を持つ人間ばかりを集めず、違う環境や能力を持つ人間ばかりを集める。それは、自分の能力を高める上でも大いにプラスになると思います。

本田 私の当時の体験は、直感的にやっていたことでしたが、結果的にはとても良かったと思っています。会社の仲間と飲みに行っても、あたらしい発見はないし、ともすれば愚痴を言う会にもなりかねない。
 ところが、他の会社の人たちと飲みに行けば、違う情報が得られるし、違う視点から物事を見られる。何より実感したのは、他の会社の人たちとコミュニケーションをすることで、自分の会社の良さが見えてきたことでした。

寺田 「Know me 行かない?」が、当社では合い言葉ですよ(笑)。

 自分が会社の中で頑張っていると思っていたとしても、他の会社にはもっと頑張っている人間がいたりする。外の世界を見ようとしなければ、そういうことはまったくわからないわけです。井の中の蛙になりかねない。さらに違う環境と触れあうと、自分がやっていることが意外に面白い方法論にもつながることに気づけたりするのです。
 Sansanがやっているのは、社内でそういう環境を作り出すサポートをしようということ。似た環境や能力を持つ人間ばかりを集めず、違う環境や能力を持つ人間ばかりを集める。それは、自分の能力を高める上でも大いにプラスになると思います。


「あたらしい働き方」バックナンバー

第1回 あたらしい働き方がどんどん出てくる今、
なぜまだ昔の基準のまま会社を選ぶのか

第2回 あたらしい企業選びの基準
6つのクライテリアと17の必要なスキル

第3回 セルフマネジメントができる人には、こんなラッキーな会社はない
【企業インタビュー:パタゴニア編】

第4回 働きやすさとは、カルチャーが合うか、合わないか
【企業インタビュー:ザッポス編】

第5回 日数制限のない有給制度をつくってしまった会社があった
【企業インタビュー:エバーノート編】

第6回 イノベーションを生み出す力を身につけるための教室は、
フレキシブルで、空間にもこだわりがあった。
【スタンフォード大学d.school編】

第7回 なぜあの会社には、働き方のルールがないのか?
【企業インタビュー:IDEO編】

第8回 会社への文句を
社内ツイッターで堂々とつぶやいてOKの会社があった
【企業インタビュー:セールスフォース・ドットコム】

第9回 仕事と趣味の境界線を曖昧にする。
仕事が趣味になれば、いつでも楽しいはず
【企業インタビュー:インストラクタブルズ編】

第10回 チームの要望通りに
オフィスの形を変えてOKの会社があった
【企業インタビュー:ネットアップ編】

第11回 自分で仕事の時間を切り分けられるから
不満がないんです
【企業インタビュー:ホワイトストラタス編】

第12回 午後3時には仕事を終えて
帰ってもいい会社があった。
【企業インタビュー:スタートトゥデイ編】

第13回 サイコロで給料を決める
ユニークな会社があった
【企業インタビュー:カヤック編】

第14回 営業も部長も課長もいない
売上目標や個人予算なんてクソ食らえ
【企業インタビュー:チームラボ編】

第15回 「優秀な人材だけの、とんでもなく成長できる会社」をつくりたかった
【企業インタビュー:ワークスアプリケーションズ】

第16回 なぜ、この会社は
若い人に圧倒的な知名度と就職人気があるのか?
【企業インタビュー:Plan・Do・See(プラン・ドゥ・シー)編】


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パタゴニア、ザッポス、エバーノート、IDEO、スタンフォード大学d.School、カヤック、スタートトゥデイ、チームラボ、Plan・do・ see、ワークスアプリケーションズなど日米約20社を取材して得た確信。いままさに世界で生まれつつある「古い価値観や常識に縛られないあたらしい働き方」は何なのかを、伝えていきます。

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本田直之(ほんだ・なおゆき)
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長兼CEO
シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQへの上場に導く。現在は、日米のベンチャー企業への投資事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行う。東京、ハワイに拠点を構え、年の半分をハワイで生活するデュアルライフを送っている。

幸福度ランキングトップの北欧(デンマーク、スウェーデン、フィンランド)の人たちと幸福について語り合って著した近著『LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。』(ダイヤモンド社)が話題になっている。
このほかの著書に、ベストセラーになったレバレッジシリーズをはじめ、『ノマドライフ』(朝日新聞出版)、25万部を越えるベストセラーとなった『面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則』『ゆるい生き方』『7つの制約にしばられない生き方』(以上、大和書房)『ハワイが教えてくれたこと。』(イースト・プレス)などがある。
著書は累計200万部を突破し、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。