iDeCo(個人型確定拠出年金)おすすめ比較&徹底解説[2019年]
2017年7月7日 山崎 俊輔

iDeCoの金融機関を選ぶ2つのポイントを紹介!
毎月払う「口座管理料」&「信託報酬」のコストと
「運用商品」のラインナップで注目すべき条件は?

iDeCo口座の金融機関は1社しか選べない!
金融機関の競争激化で、iDeCoがもっとお得に!

iDeCoのおすすめ金融機関

 iDeCo(個人型確定拠出年金)には絶大な節税メリットがあるため、職業や働き方によって差はありますが、加入するとお得になるケースが多いとこれまで連載で紹介してきました。

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「個人型確定拠出年金(iDeCo)」を活用すれば、多くの人が運用利回り15~30%の“天才投資家”に!「iDeCo」のお得な仕組みと節税メリットを解説!

 そこで、「そんなに得できるなら、今すぐiDeCoの口座を作ろう!」と、よく吟味せずに金融機関を選ぼうとしているなら、一旦立ち止まって検討することをおすすめします。

iDeCo口座を開く金融機関を選ぶときの大事なポイントとは?iDeCo口座を開く金融機関を選ぶときの大事なポイントとは?

 iDeCo口座は原則として1人1口座しか開設できません。冒頭でも説明したとおり、iDeCoには大きな節税メリットがありますから、NISA口座と同様に、1人1口座しか開設が認められていないのです(iDeCoとNISA口座はそれぞれひとつずつ持つことができる)。

 例外として、企業型確定拠出年金のある会社でもiDeCoの加入を認めている場合や、障害年金受給権者が企業型確定拠出年金口座を持ったまま退職した場合などがありますが、割合は全体の0.1%程度に過ぎないと思います。こうした場合も、確定拠出年金の口座が2つになることはあっても、iDeCo口座を2つ持てるわけではありません。

「とはいえ、iDeCoは国の年金制度だし、どこで口座を作っても同じでは?」と思っている方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。確かにiDeCoは国がつくった年金制度ではあるのですが、実際の運営は金融機関各社が担っており、それぞれが「手数料体系」「運用商品ラインナップ」について異なるサービスを展開しているからです。

 しかもその手数料と運用商品ラインナップをめぐる競争は、今年に入ってからも激化し続けています。

 NISA口座を開設するときも、どの金融機関にするか悩んだ方も多いと思いますが、実はNISA以上にiDeCo口座は金融機関選びが重要になっているのです。

 今回はその重要なチェックポイントである「費用」と「運用商品のラインナップ」について、具体的に解説します。

【チェックポイント(1)費用】
「口座管理手数料」と「運用商品の手数料」がかかる

 まず、iDeCoの金融機関を選ぶ際に重要なチェックポイントである「費用」を確認しておきましょう。iDeCo口座には、大きく分けて2つのコストがかかります。

(1)口座管理手数料

 毎月定期的に掛金を積み立てていく場合、必ず「口座管理手数料」がかかります。まず、iDeCoの実施主体である国民年金基金連合会が「月103円(税込、以下同じ)」、資産を預かる信託銀行(事務委託先金融機関)が「月64円」を事務費用として必ず徴収します。これは「手数料ゼロ円」をうたっている金融機関でも、費用として必ず引かれるものです。なお、これらの手数料(合計167円)は毎月の掛金から差し引かれます

 また、金融機関も別途、口座管理手数料を徴収する場合があります。これは運営管理機関である金融機関が事務費用として徴収するもので、月300円程度から500円程度を徴収しています。「iDeCo手数料無料」とうたっている金融機関は、この手数料分をゼロ円としており、国民年金基金連合会と信託銀行に支払う167円のみが毎月かかる口座管理手数料となるわけです。

 なお、多くの場合、iDeCoの手数料を無料にするためには、資産残高や掛金などで一定の条件があります。金融機関を選ぶ際は、各社のウェブサイトなどをよく確認してください。

(2)運用の費用(投資信託の信託報酬)

 もう1つ、iDeCoでお金を増やしていく際にかかるのが「投資のコスト」です。

 iDeCoを活用するとき、定期預金や保険商品のような元本確保型商品を積み立てていく場合は、コストはかかりません(実際はコストがかからないのではなく、コスト込みで金利が提示されているため)。

 しかし、株式投資や債券投資を組み入れて投資しようとすると、iDeCoでは株式投資や債券投資のラインナップがないため、投資信託を介して投資を行うことになり、投資費用が生じることになります。

 多くの確定拠出年金向け投資信託は、「購入時」と「解約時」については手数料をゼロ円としていることが多いです(ごくまれに費用がかかる投資信託もあるので、詳しくは各社の商品説明資料を確認)。ただし、問題は「投資信託の運用期間中にかかるコスト」です。

 投資信託では、「運用管理費用」「信託報酬」という名前で運用期間中に費用が生じます。これは投資信託を通じて運用を行う実費(株式等の売買費用、投資信託会社の運用チームの費用など)を徴収するもので、総資産に対して「0.30%」(年間)のようにあらかじめ明示されています。またこの費用は日割りで毎日引かれていきますので、日々の運用残高は投資の結果と投資の費用が反映されていることになります。

 最近では信託報酬の引き下げが続いており、日本株式への投資で年0.3%を下回る投資信託も増えています。1つの投資信託で分散投資できるバランス型ファンドの信託報酬も、年0.5%を下回っているものが多く登場しています。「確定拠出年金専用ファンド」のような名称は、手数料が割安な投資信託を見つける1つの目安です。

【チェックポイント(2)商品ラインナップ】
金融機関の投資信託や元本確保型商品リストはこう見る!

 金融機関による違いは、「費用」だけではありません。投資信託のほか、元本確保型の定期預金・保険商品などの「運用商品ラインナップ」そのものも金融機関によって違いがあり、それぞれが独自性をPRしています。

 例えば、「N証券では、銀行系M証券の投資信託はラインナップにない」というような単純な違いはもちろんありますし、取り扱う商品の違いはそれぞれの金融機関が個性を発揮できる部分なので、その違いをおさえれば選びがいがあります。

 金融機関を選ぶときは大きく下記のポイントをおさえたうえで、自分の好みの商品ラインナップがある金融機関かどうかを確認してみましょう。

(1)元本確保型商品について
 ・金利が相対的に高いか
 ・金融機関の信用力が高いか
 ・銀行、生命保険会社の双方の商品が採用されているか

(2)投資信託について
 <手数料に関する目線>
 ・購入時および解約時の費用は生じない商品が含まれているか
 ・信託報酬が低い商品が含まれているか

 <商品ラインナップに関する目線>
 ・基本的なアセットクラス(投資対象となる資産の種類や分類)に対し、運用商品が含まれているか
 ・基本的なアセットクラスに対しインデックスファンドが1本以上あるか
 ・好みの特別なアセットクラスがあればその投資を行う投資信託があるか
 ・好みの特別なアクティブファンドがあった場合にその投資信託があるか
 ・1つの投資信託で分散投資ができるバランス型ファンドがあるか(かつ信託報酬が低いか)
 ・1つの投資信託で分散投資に加えて、長期的なリスク割合の調整も行ってくれるターゲットデートファンドがあるか(かつ信託報酬が低いか)

 一般的には、20本前後の運用商品を提示しているところが多いと思います。商品選びの難しさを減らすため、あえて10本程度に絞り込んでいる金融機関もあります。各社のコンセプト(ないし商売っ気)が運用商品ラインナップにあらわれると思っていいでしょう。

 なお、2018年6月に施行される予定の改正DC法により、運用商品数の上限は「35本」となり、運用商品数を50~60本ラインナップする運営管理機関はなくなります(一部商品を除外する)。今後は、それぞれの金融機関が用意している商品を厳選する「目利き」も金融機関選びのポイントになってきます。

iDeCoは、口座管理手数料がかかっても損しない制度!

 毎月、掛金から口座管理手数料を引かれる、というのはこれまでに投資を経験している方にとっては、なかなかない経験です。公的な制度としても、民間の金融商品としても、明確に口座管理手数料を徴収する例はあまりありません。あえて言うなら、銀行のATM利用手数料(時間外や他行ATM利用時など)くらいでしょうか。

 仮に月500円の口座管理手数料がかかる場合、年間6000円も元本から差し引かれてしまうので、「運用で年間6000円稼がないと損!」と考えてしまいます。しかし、冷静に考えてみましょう。毎月の掛金には税金がかからない分(=課税所得が掛金の分だけ減る)、すでに運用で稼いだのと同様に「利益」が生じていると考えられます。これと比較してみれば、基本的に損はしていません。

 年収や家族の扶養状況によりますが、実質的な税率は20%以上という方が多いと思います。月1万円の掛金も、もしiDeCoに加入していなければ、税金が引かれて8000円の手元資金だったはずのものです。たとえ口座管理手数料が引かれたとしても、「(非課税メリット:2000円)-(口座管理手数料:500円)=1500円」ですから、決してマイナスにはなっていないというわけです。

 こう説明しても感覚的にはピンとこない方も多いと思いますが、iDeCoでは「節税」によるメリットを収益として捉えることが大きなポイントになります。

 なお、月々の掛金が5000円程度だと、iDeCoの節税メリットも小さくなってしまいます。また、前回紹介したように専業主婦の場合、そもそも所得税や住民税を納めていないので、iDeCoによる節税メリットは得られませんので注意してください。

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 今回はiDeCoの金融機関比較のチェックポイントを大きく2つ解説しました。次回は、これらのチェックポイントをおさえたうえで、あなたにおすすめのiDeCoの金融機関がわかる「計算式」をご紹介します。

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山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)[ファイナンシャルプランナー]
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。