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iDeCo(個人型確定拠出年金)4つのデメリットとは?はじめる前に必ずチェックしないと失敗する、口座開設や運用商品、解約に関する注意点を解説!

2017年5月19日公開(2022年3月29日更新)
山崎 俊輔
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魅力的な話にはやっぱり裏がある?
iDeCoの注意点をおさえよう!

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 さまざまなiDeCo(個人型確定拠出年金)に関するコラムを読んでいると、iDeCoはいいことづくしの制度で使わないと損をするように思えてきます。この連載でもこれまで紹介してきましたが、自分の老後のためにお金を積み立て、自分の財産として確実に受け取れるのにもかかわらず、目の前の所得税や住民税の負担が軽くなり、運用収益には税金がかからず、受け取り時にかかる税金も無税かほんの少しで済む、というのです。使わない手はないように思って当然です。

 でも、「メリットばかり説明して、デメリットは隠しているのでは?」と感じている人がいたら、その疑う気持ちを大事にしてほしいと思います。マネーリテラシーを高めるにあたり、「素朴な疑い」はとても大切な要素だからです。金融商品詐欺にひっかからない一番大事なコツは、「疑うこと」なのです(もちろんiDeCoは詐欺ではありませんよ!)。

 そこで、今回はiDeCoをあえて疑ってみましょう。iDeCoのおいしい話に裏がないか、メリットばかりではなくデメリットもあるのではないか、という視点からiDeCoの仕組みを見てみるのです。そうすることで、iDeCoを活用する際の重要なポイントが見えてくるはずです。

iDeCoの「4つのデメリット」に要注意!
デメリットがあるからこそ金融機関選びが重要

 iDeCoを利用する前に確認しておきたいデメリットは、大きく4つあります。「えっ、4つもあるの?」と思ったかもしれませんが、まずはその内容を確認してみましょう。

【デメリット1:とりあえず口座だけ作る、はNG!~加入申し込み=積立開始】

 最初のデメリットは、「とりあえず口座だけ作っておいて、お金を入れるかどうかはあとで考える」ということができない点です。銀行口座を作るとき「とりあえず1円だけ入金」する人や、ネット証券口座を作ったけれど「お金を入れていない」という人は少なくないと思います。実際、2014年に始まったNISA(少額投資非課税制度)の口座の40%は残高ゼロだと言われています。

 しかしiDeCoでは、「残高ゼロ口座」を作ることはできません。iDeCoへの加入申し込み時点で、「毎月の積立額」と「引き落とし銀行口座」を必ず書かなければならないからです。「とりあえず口座だけ作るつもりだった」としても、加入者の資格確認が完了したら、積立が強制的にスタートしますので、くれぐれも注意してください。

【デメリット2:口座は1つだけしか作れない!】

 NISAは1人1口座しか開設できませんが、iDeCoでもNISA同様に1人1つしか口座を開設することができません。税制優遇の仕組みが強力であるため、いくつも口座を作ることができない決まりになっています。

 なかには「iDeCo口座を開設したら、2000円の商品券をプレゼント」といったキャンペーンを行っている金融機関がありますが、これにつられて口座を開設したあと、「やっぱりほかの金融機関にしよう」と思っても、簡単には変更できません。今あるiDeCo口座を新しい運営管理機関にすべて引き継がなければ、改めて積み立てができず、しかも数ヵ月かかるような大変面倒な手続きが必要になるからです。

 NISAであれば「2016年はA社で運用していたが、2017年はB社」ということもできますが、これがiDeCoではできないのです(例外的に2つ口座を持てるケースとして、障害年金の受給権のある人と、会社の企業型確定拠出年金がiDeCoの同時加入を認めてくれた場合がありますが、ほとんどの人には該当しません)。

 そうした点を踏まえて、iDeCo口座を開設する金融機関を選ぶときは、納得のいく金融商品のラインナップをそろえていたり、毎月かかる口座管理手数料がお得な証券会社や銀行に注目することが大切です。金融機関によって口座管理手数料の金額は大きく違うので、くれぐれも注意して選ぶようにしましょう。

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【デメリット3:NISAより運用商品が少ない】

 3つめのデメリットは、口座開設後の資産運用の自由度が低いことです。

 NISAはその金融機関が取り扱う金融商品のほとんどが対象となります。元本割れしない金融商品(預貯金や国債等)は対象外となっていますが、個別株に投資することもできれば、投資信託を買うこともできます。投資信託もその金融機関が500本取り扱っていれば、NISAでも500本の中から選べるのが普通です。

 ところが、iDeCoでは20~30本程度の商品しか選択肢がありません(取扱商品数が最多のSBI証券でも投資信託の取扱数は61本(2017年5月15日時点))。しかも投資の選択肢は「投資信託」に限られます。個別株に投資することができないですし、限られた本数の中からしか投資信託を選べないので、投資経験者には物足りなく映るかもしれません。

 またiDeCo積立限度額は、NISAの利用限度額・年間120万円に比べて小さいため、数年で一気に資産を積み増すようなことはできません(積み立て上限額は、企業年金のない会社員で年間27.6万円、自営業者で年間81.6万円まで)。入金のタイミングも月1回、指定日にしか行えないため、「今、株価が底だから1年分の掛金を一気に入れて買う」というようなこともできません。コツコツ毎月積み立てて、資産を増やしていくしかないのです。

 ですからiDeCo口座を開設するときは、少しでも魅力的な投資信託などの商品を用意している金融機関を選ぶことも重要なポイントになります。また、投資信託を運用する場合、毎日信託報酬を支払うことになるので、この手数料率が安価な投資信託が揃っているかどうかも、金融機関選びでは重視した方がよいでしょう。

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【デメリット4:60歳までお金を引き出せない】

 最後のデメリットは、一度iDeCo口座を開設してしまったら、「60歳まで解約できない」ことです。

 通常の投資では運用益の約20%に税金がかかります。しかしiDeCoでは運用益に税金がかかりません。しかも運用益への非課税期間が5年と限定されているNISAと異なり、iDeCoでは60歳までずっと非課税です。しかしこれは、60歳まで解約して現金を受け取ることができないからこそ得られるメリットとも考えることができます。

 2016年までは、退職して専業主婦・主夫(国民年金の第3号被保険者)になり、資産額が50万円以下の場合は、iDeCoの中途解約を認めていました。しかし2017年1月からは専業主婦・主夫でもiDeCoに加入できるようになったため、このルールは廃止されています。

 現在は、国民年金の保険料を納付することが困難である所得状況で、国民年金保険料の納付免除を受けており、かつ資産25万円以下という厳しい要件を満たさなければiDeCoの中途解約はできません。ですから、ほとんどの人はiDeCoの中途解約を選択できないと言っていいでしょう。過去に東日本大震災の被災者でかつ無職である場合に、期間限定で中途解約を認めたケースがありますが、これも限定的なものでした。

 iDeCoのお得な税制優遇は、老後の資産形成を行うことを条件に提供されています。ですから基本的には、「60歳まで解約できない」と考えて利用しなければならないのです。

「中途解約禁止」というデメリットを、
あえてメリットと考えてみよう!

 さて、ここまで4つのデメリットを紹介してきましたが、【デメリット1:とりあえず口座だけ作るはNG】と【デメリット2:口座は1つしか作れない】については口座開設前に注意すればよいことなので、それほど問題にはならないと思います。

 【デメリット3:運用商品が少ない】については、むしろ「iDeCoはベーシックな運用でコツコツ元本を増やしていく」ものだと考えて、「積極的な運用で増やす」NISAと使い分けをするとよいでしょう。

 iDeCoでは老後の生活資金を作ることが目的ですから、運用で収益を増やす意識とリスクを抑える意識のバランスが必要です。そう考えれば、多くの金融機関で市場平均に連動するようなインデックス運用の投資信託くらいしかiDeCoでは選べないこともそれほどデメリットにならないと思います。むしろ投資初心者にとっては、ベーシックな運用しかできないiDeCoで十分なはずです。

 さて【デメリット4:60歳までお金を引き出せない】についてはどうでしょうか。まず、中途解約禁止の厳しいルールを踏まえ、現役時代に使う予定のお金は絶対にiDeCoに入金しない、という大原則を理解する必要があります。

 しかし、「積み立てたお金をみだりに引き出すことができない」というデメリットは、もしかするとメリットに転じるかもしれません。なにせ引き出しようがないわけですから、必ず60歳まで資産を増やし続けることができます。株をやっていて大きく儲けると、売って散財してしまう可能性がありますが、iDeCoでは儲けてもそれができません。儲かった分も絶対に老後のお金にすることができるわけです。

 たとえ自己破産することになろうとも、iDeCoの財産は解約されず60歳まで繰り越せるほど中途解約は厳しい決まりになっています。これほど強力な「解約禁止ルール」を、むしろ老後のための確実な資産形成ツールと捉えると、このデメリットはむしろメリットと考えられるのではないでしょうか。

 今回はiDeCoに関する4つのデメリットを紹介しました。しかし、これら4つのデメリットは事前に知っておけば損をすることはありません。

 iDeCoに関しては、今回紹介した4つのデメリットよりも、前回までに紹介してきた3つの節税メリット(①掛け金が全額所得控除の対象②運用で出た利益は非課税③受け取り時にも税制優遇がある)のほうが上回っていると言えるでしょう。

 まずは最低金額の5000円からでも、iDeCoを始めてみてはどうでしょうか。

【※関連記事はこちら!】
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山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)[ファイナンシャルプランナー]
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。
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