投資信託を買ったことがない人や少々運用に自信がないという人は、ここで投資信託の仕組みやいいファンドの選び方をマスターしよう! 今回は第2回。「買い方の7つの鉄則」について詳しく説明しよう!
買い方の7つの鉄則
投資信託は中長期投資が基本だから、一度買ったら長くつきあうことになる。より安く、よりよいものを買うことが肝要だ!
★鉄則1 コストの安いネット証券で買え!
購入時にかかる購入手数料と運用中にかかる信託報酬は、投資家から見れば運用成績を引き下げるコストに過ぎないから低いほうがいい。
そこでネット証券。販売手数料ゼロのノーロード投資信託が豊富だし、信託報酬が店頭販売用より低く設定しているものも買える。取扱本数1000本を超えるネット証券なら、ラインナップは十分だろう。
★鉄則2 一度に買わず分けて買え!
投資信託の基準価額は株価と同じように毎日動く。基準価額が底打ちした時にドンと買えればいいけれど、現実は甘くない。買った翌日から下がり続けるなんてことはよくある話。
明日の基準価額はわからないのだから、資金を2分割、3分割、いや何十にも分割して今月、来月、再来月というように同じ投資信託を時間をずらして同額ずつ買おう。ドルコスト平均法の効果によって、高値づかみを避ける方法として有効だ。
★鉄則3 運用実績を見て判断せよ!
日本では新規設定されたばかりの新しい投資信託ほどもてはやされる。何の実績もない“新人”に大切なお金を任せたがるなんておかしな話だ。
むしろ長いトラックレコード(運用履歴)を残している投資信託を選ぼう。純資産も順調に増えているものが好ましい。
ただし、今まで投資できなかった有望な国などへ投資する新設ファンドであれば、検討の余地はある。
★鉄則4 信託報酬の安いファンドを選べ!
投資信託のコストには鉄則1で紹介した販売手数料と信託報酬、解約する信託財産に残していく信託財産留保額がある。
販売手数料と信託財産留保額はそれぞれ一度かかる(不要のものもある)だけだが、信託報酬は保有期間中、基準価額に対して(上がろうと下がろうと)一定の率の金額を資産から毎日控除されるので、長期保有するほど負担も大きくなる。そのため同じタイプの投資信託なら、信託報酬は低いほどいい。
★鉄則5 同じ分類でも組み入れ銘柄は違うので注意!
「日経225インデックスファンド」ですら、単純に225銘柄買うわけではないから、運用会社によって組み込む銘柄が違う。他の投資信託は推して知るべし。
例えば「地球温暖化防止」をテーマとするエコファンドでもA投資信託は再生可能エネルギーと未来型燃料とクリーンテクノロジー&環境効率銘柄にほぼ3分の1ずつ投資し、B投資信託はエネルギーの効率活用に4割、再生エネルギーに2割、水関連ビジネスに2割というように強弱をつけ方が違う。もちろん投資対象となる銘柄も異なる。
だからこそ運用成績に差がつくわけで、ファンドマネージャーの判断力が問われる。どんな銘柄に投資しているのかは最新の運用報告書やレポートで確認して、納得できる投資信託を選ぼう。
★鉄則6 過去の騰落率だけで判断してはダメ!
騰落率は分配金を出さないと仮定したときに、資産がどのくらい増減したのかを表す指標。もし同じタイプの投資信託が複数あって選択に困っているときは、同じ期間の騰落率を比較すると優劣が見えてくる。
リーマン・ショックにもへこたれなかった投資信託だったら即買い──というわけにはいかない。過去の成績は参考にはなるけれど、過去の騰落率グラフの延長線上に投資信託の未来の成績があるわけではない。現在の運用体制、運用ポリシーのチェックも忘れずに。
★鉄則7 投資先を分散してリスクを減らせ!
森羅万象、好不調の波がある。右の図を見てみよう。2006年、07年と絶好調だった中国株の上海総合指数は08年にどん底に落ちている。09年は3番目まではい上がったけれど10年は再びどん底。先進国の株価指数FTSEやNYダウは逆に08年の成績が良く09年は下位に。
というように新興国投資信託を買ったら先進国投資信託も併せ持つというような分散投資を心掛けると、投資環境が激変しても致命傷を負いにくい。
もちろん株式だけでなく債券や不動産(REIT)のような連動性の近い他のカテゴリーの資産も入れておくとよい。10年は、株式がサエなかった部分をREITがカバーしてくれたはずだ。
>>次回は(その3)「保有中の2つの鉄則」「売り方の1つの鉄則」について!
(文/山本信幸、イラスト/コージー・トマト)
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