投資の原則は経済成長率の高い国へ投資するのが基本と言われています。
ここ数年、米国を中心とした先進国経済が盛り返しているため、経済成長率が高いとされていた中国を始めとする新興国は影の薄い状況が続いています。しかし、長期投資という観点からは依然として新興国の資産をポートフォリオに入れておくべきと私は考えます。それは、先進国と新興国を比較した場合、経済成長率は新興国が上回るため、高い収益を見込めるチャンスが多いからです。
IMF、OECDともに2016年までにインドが中国を抜くと予測
そんな新興国群を牽引する中国の経済成長率が6%台に鈍化したと騒がれていますが、視野を広げるとまた違った景色が見えてきます。それは高成長国の代名詞であった中国の経済成長率をインドが抜くとの予測が増えていることです。
IMF(国際通貨基金)が2015年4月に公表した世界経済見通しでは、2015年にインドが中国の経済成長を上回ると予測しています。IMFは年4回、世界経済見通しを公表していますが、1月の見通しでは2016年に逆転すると予測していたものを4月には1年早くなると修正したのです。
また、OECD(経済協力開発機構)が発表した5月の同見通しでは、逆転するのは2016年としています。いずれにしても、インドが中国の経済成長率を上回ると予測しているのですから、ポートフォリオの資産配分は中国よりもインドを厚くした方がよいかもしれません。
下表はインド株ファンドの過去3年間(2015年5月末現在)の平均リターンの上位10銘柄です。
◆インド株の投資信託の3年リターン 上位10本 | |||
ファンド名 (運用会社) | 3年リターン | 詳細情報 | |
1位 | T&Dインド中小型株ファンド (T&Dアセットマネジメント) |
47.59% | |
【深野さんコメント】高い成長が期待でき、相対的に割安と見込まれる中小型株にあまり分散を効かせず投資して好成績を続けているファンド。 | |||
2位 | 新生・UTIインドファンド (新生インベストメント) |
42.97% | |
【深野さんコメント】組入銘柄数こそT&D中小型株ファンドより多いものの、上位10銘柄への資産配分を厚くして好成績を続けているファンド。 | |||
3位 | 高成長インド・中型株式ファンド (三井住友アセットマネジメント) |
42.12% | |
【深野さんコメント】インドの中型株だけに特化した数少ないファンド。実質的な運用はインドの代表的な金融グループ「コタック・マヒンドラ」によって行われている。 | |||
4位 | アムンディ・インド・インフラ株式ファンド (アムンディ・ジャパン) |
40.65% |
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【深野さんコメント】主としてインフラ関連株式に投資されるファンド。資本財・サービス関連の資産配分が4割強を占めていることから、当面はこれらの業種が運用成績を左右すると考えられる。 | |||
5位 | アムンディ・りそなインド・ファンド (アムンディ・ジャパン) |
39.09% |
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【深野さんコメント】MSCIインド10/40を参考指数としていることから、大型株を中心に運用されているファンド。組入上位10銘柄への資産配分はやや厚めとなっている。 | |||
6位 | ノムラ・印度・フォーカス (野村アセットマネジメント) |
36.64% |
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【深野さんコメント】収益性、成長性、安定性、流動性などを総合的に勘案して、投資銘柄を選択して運用が行われ、組入銘柄は選択と集中で絞りこまれている。 | |||
7位 | インド内需関連株式ファンド (三井住友アセットマネジメント) |
36.32% | |
【深野さんコメント】内需関連株式株を中心に運用されるが、銀行株への資産配分が2割前後を占めている。銀行株の動向が運用成績の鍵を握りそう。 | |||
8位 | ダイワ・インド株式オープン (大和証券投資信託委託) |
34.99% |
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【深野さんコメント】構造変化の中で高い成長が期待できる株式へ投資されている。表のファンドの中では組入銘柄数が多いことから、分散が効いている。 | |||
9位 | リアル・インド株式ファンド(3ヵ月決算型) (新光投信) |
33.42% | |
【深野さんコメント】インド有数財閥のTATAグループの投資信託会社が運用を行っている。3ヵ月決算型であることから、複利効果がやや劣るのが残念。 | |||
10位 | 新光ピュア・インド株式ファンド (新光投信) |
33.34% | |
【深野さんコメント】リアル・インド株式ファンドと双子のような投資信託。1年決算と販売会社が異なるなどの違いで、運用スタイルに相違はほとんど見られない。 |
インドの株価指数に連動するインデックスファンドがないため、運用成績の上位はすべてアクティブ運用の投資信託となっています。
高成長が期待できるなら素直に株価指数連動の商品、たとえばETF(上場投資信託)へ投資するのも悪くはありませんが、新興国の株式市場は先物取引などが整備されていないことから、市場には株価のゆがみ等がたくさんあると思われます。より高い収益を期待するのであれば、ゆがみを取りに行けるアクティブ運用の投資信託に分があるでしょう。
インドでは物価の上昇が落ち着いていることから、3回目の政策金利の引き下げを行ったものの、足下の株価は軟調に推移しています。高い成長が期待できるとは言え、すぐに投資成果に結びつくわけではありません。先進国と比較してマーケットは脆弱であることから、投資は時間分散活用して慎重に行い、投資成果は中・長期で得ると肝に命じるべきでしょう。
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