先日、NHKのテレビ番組「あさイチ」に出演し、クレジットカードの不正利用について話をした。番組の中で、クレジットカードを不正利用された被害者が被害状況を話していたが、従来の不正利用の手口とは異なるものだった。
被害者はカメラが趣味で、日頃からネットショッピングでカメラ関係の商品を購入していた。ある日、たまたま明細を確認すると、見に覚えのない数千円のカメラ関連の商品に目が止まった。クレジットカード会社に連絡したが、自分が購入していないという証明に時間がかかって、補償期間である60日が過ぎてしまい、泣き寝入りになってしまったという内容だ。
最近は、ネットショッピングやネットオークションの運営会社、クレジットカード会社の監視システムの性能が良くなり、多くの被害を未然に防いでいる。
しかし、従来は、高額商品を一気に購入するという不正利用が多かったが、被害者が購入しそうな商品を定期的に購入し続け、監視の目をくぐり抜けるケースが増えてきているという。
ポイントの不正利用も、監視の目をくぐり抜ける手口が増えているように思える。先日、筆者にポイントの不正利用についての情報が届いたので、その手口について詳しく紹介したい(画面のキャプチャは被害者に提供していただいた)。
Tポイントが1万ポイント以上も減っていることに気づく
被害者のAさんは、ポイ探にあるポイント管理機能の「ポイント自動管理」を利用している。その「ポイント自動管理」を更新したところ、数万ポイントあったTポイントが、突然、数百ポイントに減っていることに気がついた。
そこで、Aさんは、「Tサイト」にログインし、Tポイントの履歴を確認した。
2016年7月11日に、1万3062ポイント使われていることが判明
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すると、2016年7月11日(月)に「ヤフー・かんたん決済 *」で、1万3062ポイントを使われていることが判明した。
足がつきにくいゲームのダウンロードで、Tポイントを使用
Aさんはメールを確認したが、「Yahoo! ショッピング」や「ヤフオク!」からのメールはなかった。通常は、購入に関するメールがあるはずだが、確認しても、そのようなメールは存在しなかったようだ。そのメールも、不正利用した犯人に削除されたのだろうか。
Tポイントを何に使われたのかわからないので、「Yahoo! ポイント通帳」を確認。ポイント通帳の「内容」にあったリンクからアクセスすると、「ヤフオク!」で落札した「[3DS] 暗殺教室 殺せんせー大包囲網!!(ダウンロード版)」の代金が、2016年7月11日(月)に支払済みとなっていた。
足がつきにくいゲームのダウンロードに、ポイントが使われていたのである。
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ちなみに、出品者にも連絡したようだが、「コードはすでに使われました」との返信しか来なかったそうだ。現時点では、出品者のアカウントは停止中となっており、そのアカウントの評価も2016年7月9日(土)からしか付いていないため、ポイントの不正利用に使うためのアカウントだった可能性がある。
2件の不正ログイン履歴を発見
被害にあった後に、ログイン履歴を確認したところ、見に覚えのないログイン履歴を2件見つけた。2016年7月3日(日) 15時2分32秒の「戦国IXA(センゴクイクサ)(外部)」と、2016年7月11日(月) 12時30分47秒の「ショッピング」だ。
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2016年7月11日(月)は、「Tサイト」や「ヤフオク!」を利用している日付と同じなので、この日のアクセスでポイントが使われたということになる。
さらに、日付を遡ると、2016年7月3日(日)にも、見に覚えのないアクセスがあった。つまり、犯人は、最初のログインから8日後にポイントを不正利用しており、ログインに成功したときにポイントを使用したわけではない。
自作自演のような出品者アカウントである点、ログイン直後の利用ではないという点から、ポイント不正利用の準備をしていたことが予想される。
被害者が少ないため、不正利用が発覚しにくい
従来のポイント不正利用の手口は、他のWebサイトから流出したIDとパスワードの組み合わせを順番に試す「リスト型攻撃」が多かった。「リスト型攻撃」を連休中に仕掛け、ログインに成功すると、ポイントを「Amazonギフト券」や「iTunesギフトコード」に交換するものだ。連休が終わると、大量の被害者が発生していることが発覚し、企業は、すぐにポイントの不正利用に気がつく。
ポイントの不正利用に気がついた企業は、ポイントシステムを停止し、被害状況を詳しく調べ、利用者にポイントを補填し、警察に被害届を出す。そして、不正利用対策を行い、システムを再稼働する、というのが一般的だ。
しかし、今回のケースは、大規模にポイント不正利用が発生したわけではない。さらに、不正ログインに成功してから、8日間もポイントを使っていない。冒頭で紹介したクレジットカードの不正利用の被害と同様に、監視の目をくぐり抜けるために、ログインに成功した直後にポイントを使わなかった可能性もある。
クレジットカードとは違い、ポイントには補償がない
Aさんは、警視庁サイバー犯罪相談窓口にも電話したが、「この場合の被害者は、勝手にアドレスを使われたYahoo!になる」とのことで、被害届を出すこともできなかった。
また、クレジットカードと違い、ポイントの補償については、規約に書かれていない。先ほど、「企業は利用者にポイントを補填」と書いたが、一般的には補填する義務はないのだ。大規模な被害があり、メディアにも大きく取り上げられた場合は、世間体を考えて補填される可能性がある。しかし、今回のように、メディアで大きく紹介されないような被害の場合は、ポイントの補填は行われないだろう。
もともと、ポイントは利用者の所有物ではなく、ポイント発行企業のものだ。また、ポイントを保護する法律もない。第三の通貨とも言われるポイントだが、実は非常に脆弱な通貨であることを覚えておいて欲しい。
ポイントの不正利用を防ぐ方法を解説!
では、ポイントを不正利用されないようにする対策を3つ紹介しよう。
1つ目は、大量のポイントを貯めこまずに、こまめに使い切ることだ。
筆者は、不正ログインは防ぎようがないと考えている。しかし、不正ログインされたとしても、ポイントがなければ使われることはない。
(関連記事⇒クレジットカードで貯めたポイントやマイルは長期間貯め込まずに、積極的に使うのが正解!貯まったポイントをすぐに使うべき5つの理由とは?)
また、先日の「あさイチ」でも紹介したように、ショッピングサイトにクレジットカードを登録しないのもおすすめだ。クレジットカードを登録している場合は、ログインが成功しただけで、商品を購入できてしまうからだ。ポイントの不正利用であれば、保有ポイント以上の被害はないが、クレジットカードの不正利用の場合は、高額被害もあり得る。
2つ目は、ログインアラートを活用することだ。
Webサイトによっては、ログイン時にアラートメールを送る機能が用意されている。Yahoo! JAPANの場合は、ログインアラートを設定することができ、「ログイン時は常に通知」にチェックしておくと、「ログイン日時」や「IPアドレス」などがメールで通知される。アラートメール機能を利用していれば、今回のケースの場合、2016年7月3日(日)時点で気がつく可能性もあった。
3つ目は、IDとパスワードをWebサイトごとに違うものにすることだ。
「あさイチ」でも紹介したが、例えば、Test123という固定パスワードを作成し、それにWebサイト名を付けるなどすると良い。つまり、「Test123+site」というようなパスワードだ。
不正アクセスの手口は、「総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)」か「リスト型攻撃」が一般的だ。
「総当たり攻撃」とは、辞書に掲載されている単語や数字の組み合わせを手当たり次第に確認する方法のこと。最近では、同じIPアドレスからの大量アクセスを検知するような仕組みも用意されているため、「総当たり攻撃」よりも成功確率の高い「リスト型攻撃」が使われる場合が多いだろう。
「リスト型攻撃」とは、他のWebサイトで漏洩したメールアドレスとパスワードで機械的にログインを試み、失敗したら次のメールアドレスとパスワードでログインを試みる方法のこと。そのため、前述のように、固定パスワードにWebサイト名などをプラスするだけでも、ある程度は防御できるというわけだ。
どんなにIDとパスワードをWebサイトごとに変えたとしても、世界中のクラッカーは、それに対応するようなプログラムを作っていくだろう。そのため、IDとパスワードでのログインの場合、どうやっても不正ログイン被害を防ぎきることはできない。つまり、前述の「大量のポイントを貯めこまずに、こまめに使い切る」「ショッピングサイトにクレジットカードを登録しない」というのが最強の防御方法となる。
以上、今回は、ポイントの不正利用の対策について解説した。この時代、「不正ログインは当たり前」と考え、不正にログインされても、ポイントやクレジットカードを利用されないような対策を考えながら使っていくべきだろう。
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ブランド | 電子マネー対応 (ポイント付与対象) |
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◆三井住友カード ゴールド(NL) |
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0.3~1.5% (※1) |
3万9600円 | AMEX | - | |
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