脱炭素とデジタルトランスフォーメーション(DX)という産業界のメガトレンドに米中対立の激化も相まって、主要国・地域による半導体と電気自動車(EV)向け車載電池の争奪戦は熾烈を極めている。半導体とEV電池は、グローバル競争を勝ち抜く上で不可欠の「戦略物資」となったのだ。くしくも産業界で半導体不足が表面化する中、日本政府は台湾TSMCの半導体工場の誘致に成功した。トヨタ自動車のEV大攻勢に続き、異業種のソニーグループがEV参入を決めるなど、EV電池の投資競争はさらに加速することは間違いない。1月17日から配信の特集『戦略物資 半導体&EV電池』では、産業競争と経済安全保障という二つの側面から、戦略物資としての価値を高める半導体とEV電池の最前線の動きを追った。
#1 1月17日(月)配信
ソニーだけが高笑い!血税4000億円で誘致した半導体TSMC熊本工場の「大矛盾」
台湾TSMCがソニーグループと共同で建設する半導体工場の全貌が明らかになってきた。日本政府が4000億円もの補助金を投入してサポートする巨大プロジェクトだ。この工場の稼働は国内需要で支えられることが前提になっているが、2024年の本格稼働を迎える前にあらわになった致命的な矛盾とは。
#2 1月18日(火)配信
ルネサスがトヨタ・経産省と距離を置く理由、半導体「親方日の丸」戦略と決別へ
台湾TSMCとの新工場運営のパートナーに、「日の丸半導体」の代表格であるルネサスエレクトロニクスの名はなかった。当初、ソニーグループに加えてルネサスにも工場への合弁参画が打診されたが、ルネサス側がそれを見送ったという。一体、交渉の水面下では何が起きていたのか。そして、ルネサスが独自路線を貫く理由とは。
#3 1月19日(水)配信
世界の半導体投資2022、メタバース特需で14兆円超えでも「供給過剰」警報が鳴る理由
台湾TSMC、米インテル、韓国サムスン電子をはじめとする世界の半導体メーカーの巨額投資は2022年も過去最高を更新するのは確実な情勢だ。米旧フェイスブックの社名変更をきっかけに活況に沸くインターネットの仮想空間「メタバース」。それがけん引するビッグゲームの行方を大胆に予想する。
#4 1月20日(木)配信
東京エレクトロン社長が強気発言!「半導体の供給過剰も大不況も起こらない」
半導体メーカーの設備投資が空前の規模で続いている中、装置メーカーの東京エレクトロンも活況に沸いている。2021年に50%近い成長を遂げた半導体製造装置市場の勢いは22年も衰えないと断言する河合利樹・東京エレクトロン社長。本当に過剰供給の懸念はないのだろうか。強気発言の真意を聞いた。
#5 1月21日(金)配信
東芝・キオクシアの“見えない危機”、上場延期の全真相と「起死回生の一手」の中身
東芝から独立した大手半導体メーカー、キオクシアの新規上場が遅れに遅れている。協業関係にある米ウエスタンデジタルとの統合交渉は暗礁に乗り上げており、他の半導体メーカーからは買収のターゲットとして取り沙汰されている。このままでは空前の半導体産業拡大の波に乗り損ねてしまう。果たして、打開策はあるのだろうか。
#6 1月24日(月)配信
トヨタと組む全固体電池の権威「実用化は5年以内」、研究費も人材も10倍の中国に勝つ方法
全固体電池は、トヨタ自動車や日産自動車が量産化や実用化の計画を発表したことで脚光を浴びている。この次世代電池開発の“第一人者”である東京工業大学の菅野了次特命教授に、全固体電池の真の実力について聞いた。
#7 1月25日(火)配信
トヨタ・ホンダで再び「減産ドミノ」、半導体TSMCが“異例の大増強”でも消えない懸念
自動車だけでなく、スマートフォン、産業機械などあらゆる電子製品が巻き込まれた半導体不足。新型コロナウイルスの感染拡大が引き金になって表面化した危機は供給不足の構造要因だけでなく、火災やロックダウンなど一時的な要因が重なって複雑化している。2022年後半の解消が期待されているが、甘い見通しは禁物だ。
#8 1月26日(水)配信
日本の電池メーカーが世界で負ける決定的な理由、元パナ・ソニーの日本人開発者が喝破
スウェーデンの新興電池メーカー、ノースボルトが存在感を高めている。創業5年にして独フォルクスワーゲンや独BMWなど上客を味方に付けて急成長を遂げているのだ。実は、ノースボルトの開発総責任者を務めているのは日本人エンジニアである。日中韓が中心の電池産業を欧州でゼロから立ち上げられたのはなぜなのか。ノースボルトの阿武保郎氏を直撃した。
#9 1月27日(木)配信
日本が独走「全固体電池特許」の優位は保てるか、リチウム電池“中韓に敗北”の教訓
電気自動車(EV)の本格的な普及を見据え、車載用リチウムイオン電池工場の建設が欧米や中国で進んでいる。日本は電池の研究開発で世界をリードしていたが、設備投資競争に出遅れたことで“負け”が確定しつつある。そんな中、反転攻勢のきっかけとして期待を集めているのが次世代電池の本命と目される全固体電池だ。トヨタ自動車をはじめとしたメーカー各社の特許出願状況から、日系メーカーが研究開発で独走している全固体電池の可能性と課題に迫る。
#10 1月28日(金)
「日本の電池・材料メーカーと組みたい」日産出身のノルウェー新興電池CTOが激白
欧州の電池産業は勃興期にある。中でも、ノルウェーに本拠地を構える新興電池フレイル・バッテリー(FREYR Battery)は「提携戦略を駆使する」異彩ベンチャーとして知られる。2018年の創業からわずか3年で米ニューヨーク証券取引所に上場を果たし、量産前から巨額の資金調達に成功した。実は、フレイルのCTO(最高技術責任者)は、日産自動車や米ダイソンで電池技術の腕を磨いた日本人である。川口竜太氏にフレイル独特のビジネスモデルの要諦や欧州の電池産業について聞いた。
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