「利益が出ていればOK」が
勘違いである理由とは?

 従来の日本企業は、財務3表の損益計算書(PL)だけで思考停止していたといっても過言ではなかった。

 一方、ROEはPLに貸借対照表(BS)の視点も加えた経営指標だ。下図のように、分子はPLの純利益、分母はBSの右側の下部分である「純資産の部」に位置する「自己資本」だ。

 本特集#13『三菱地所と野村不動産、「流動資産」が多いのは?8社のビジネスモデルを決算書で分析!』で解説したように、BSの右側は「企業の資金調達方法」を表している。自己資本は、企業の持ち主である株主から投資してもらったお金を指す。ROEは、そのお金をどれくらい効率的に使って純利益を稼げたかを示す指標なのだ。

 例えば、100万円投資したら毎年4万円稼ぐA社(ROE4%)と、50万円投資したら毎年4万円稼ぐB社(ROE8%)があるとする。他の条件が同じなら、B社に投資した方が効率的なのは明白だ。余った50万円で別の企業に投資して、さらなるリターンを得ることができる。

 A社が「同じ4万円を稼いでいるから文句はないはず」と考えていたら、投資家に見放されるのは当然だ。

 では、日本でROEが高い企業はどこなのか。時価総額500億円以上の企業を対象にランキングを作成したので、次の表を見てほしい。