箝口令の「直轄タスクフォース」、対北朝鮮外交で問われる真価北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみの写真や思い出の品が展示されている写真展で、座談会に出演した母、早紀江(左)と拉致被害者、有本恵子の父、明弘 Photo:JIJI

「発足以来過去最低」。首相の岸田文雄に厳しい数字が突き付けられた。10月20日の臨時国会召集前に出そろった主要メディアの内閣支持率のことだ。「毎日新聞」の25%が最も低く、「朝日新聞」は29%。「読売新聞」(34%)と「産経新聞」(35.6%)は30%台を維持したが、安全圏とされる40%台を下回った。いずれの調査も不支持率が支持率を上回っており、岸田が打ち出す政策が国民の胸に響いていないことが浮き彫りになっている。

 そこで与党内には減税を含む国民負担の軽減策が取り沙汰されるが、むしろ信頼を失う原因にもなりかねない。過去にも、首相だった橋本龍太郎が1998年の参院選挙前に減税を巡る発言が迷走して退陣に追い込まれた。

「安易な人気取りは政権の命取りになる」

 岸田に宏池会(岸田派)を譲った元幹事長の古賀誠は警鐘を鳴らす。「ゼロからの出発」と自ら語っていた当時の首相、小渕恵三は地道に結果を残すことで政権を安定軌道に乗せた。日韓関係の改善、金融危機からの脱出、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の開催など多くの実績を残した。

 岸田も折に触れて「先送りできない課題に一つ一つ取り組んでいきたい」と語る。政権浮揚にはそれしか選択肢はない。中でも先送りできない最優先の課題に北朝鮮による拉致問題がある。2002年10月15日は、北朝鮮に拉致された日本人5人が政府チャーター機で帰国を果たした日だった。その中の1人、蓮池薫(66)がマイクを手に切々と訴える姿を21年たった15日夜、NHKのテレビニュースが伝えた。