共通ポイント20年戦争#15Photo:JIJI, PIXTA

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が立ち上げたTポイントは2005年秋、ローソンの脱退通告によって窮地に陥る。CCCはコンビニの新たなパートナー探しと並行し、生き残りに向けて、新たな業種の加盟店の開拓を急ぐ。長期連載『共通ポイント20年戦争』の#15では、牛角や吉野家、アルペンのほか、ビックカメラといった大手との決死の加盟交渉を振り返る。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

ローソン離脱で新業種を開拓
焼き肉の牛角をターゲットに

 日本初の共通ポイント、Tポイントは2005年秋、ローソンの脱退通告によって窮地に陥る(『ローソンの電撃離脱でTポイント終焉危機!新ポイント連合もちらつく脱退の舞台裏』参照)。Tポイントを考案したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)副社長の笠原和彦は、コンビニのパートナー探しと並行して進めたのが、新たな業種の加盟店の獲得だ。万が一、加盟店網にコンビニがなくても、幅広い業種を押さえれば生き残れるかもしれないと考えたのだ。

「焼き肉と牛丼はいいですよね」。05年春、笠原はすかいらーく社長の伊東康孝にそう頼み込んでいた。Tポイントの「1業種1社」ルールでは、外食業界はすでにすかいらーくが加入する方向で議論が進んでいた。同じ業界の競合とは交渉しないのがルールである。

 笠原の発言の意図は、すかいらーくが展開していない、焼き肉や牛丼のチェーンの開拓を認めてほしいというものだった。伊東は「うちも焼き肉をやるかもしれない」と応じたが、笠原は「今はやってないのでいいじゃないですか」と押し切った。“仁義切り”はこれで済ませた。

 笠原が狙ったのは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった焼き肉チェーンの「牛角」である。たまたまCCCが展開するTSUTAYAの加盟店の数社が牛角のFC契約(フランチャイズ)を結んでおり、牛角を紹介してもらうことになったのだ。

 西山知義によって不動産会社として創業したレインズインターナショナルは、1996年に焼き肉事業に参入し、翌年から牛角の展開を始めた。牛角は焼き肉の高級なイメージを変え、若者を中心に“焼き肉ブーム”を起こした。

 05年6月、笠原は西山に面会した。当時、まだ30代の若手経営者だった西山はTポイントに理解を示し、導入に前向きとなった。ただし、問題があった。FC契約で展開していた牛角は、オーナーの声が大きかった。Tポイントを導入するにはオーナーの了承を取り付ける必要があったが、レインズ幹部もオーナーの説得に腰が引けていた。

 そこで、笠原が全国の加盟店の説得に回ることになった。