毎月分配型など分配金が出る投資信託は、分配金の額や利回りだけでなく、基準価額の変化も併せて評価しないとひどい目に遭う。これから紹介する3つのデータを定期的にチェックすることで、「分配金は元本の返還」=タコ足分配という罠にだまされないようにしよう。
見せかけの高分配投資信託にだまされるな!
分配金と基準価額の変化を合わせて判断せよ
毎月分配型など分配金が出る投資信託の実力を見るために重要なデータは3つある。
1つは「利回り」だ。
分配金の利回りについては、多くの販社では単純に1年間の分配合計額を基準価額で割った利回りが使われている。しかしザイ編集部では「本当の利回り」という数値を使っている。本当の利回りとは、基準価額が下落した時は、1年間の分配合計額から下落分を差し引いた「正味の分配金」を1年前の基準価額で割って算出。なぜなら、分配金が出たとしても、その分だけ基準価額が下落していれば、それこそがタコ足分配、言うなれば元本の返還となるからだ。つまり、本当の利回りを計算するには、元本の返還分を除去する必要があるのだ。もし、分配合計額以上に基準価額が下落していたら、本当の利回りはマイナスとなり、分配金全額がタコ足分配(元本取り崩し)ということだ。
では、基準価額が上昇している時はどうか。この場合は、分配金はすべて利益から出ているため、単純に1年間の分配合計額を1年前の基準価額で割って算出すればいい。
投資期間中に自分がどれだけ儲かっているか、損しているかは、販売会社のサイトなどで見られる「トータルリターン」でわかるが、「本当の利回り」を定点観測することで、直近の実力がどうなのかを知ることができるのだ。
基準価額の下落が続くと分配の健全度が悪化、
いずれタコ足分配となる兆候なので要注意!
重要なデータの2つめは、「分配健全度」。分配合計額から下落分を差し引いた「正味の分配金」が分配合計額のどれくらいを占めるかによって、健全度を測る。下落幅が大きく正味の分配金が少ないほど、健全度は悪化。一方で、基準価額が上昇していれば、利益からすべて分配金が出ていることになり健全だ。
3つめの重要データは、「分配余力」。分配原資が月々の分配金の何カ月分あるかを示しており、蓄えられている原資が少ないと分配余力が低下し、今後の減配や元本取り崩しにつながりやすいので要注意だ。
見ための分配利回りが高いからといって投資信託を買うのではなく、こうした3つのデータから実力を見極めることが大事。保有している投資信託も、定期的にチェックし、本当の利回り、健全度、分配余力を確認しよう。
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