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2019年5月6日 ポイ探ニュース

「クレジットカードの不正利用」の犯人を警察は逮捕
できない!? カード所有者は被害届を出せない、不正
利用の犯人特定は99%不可能など、衝撃の事実が発覚

クレジットカード専門家・菊地崇仁の「カードの不正利用」体験記(2)

 前回、筆者のクレジットカードが不正利用されたことを紹介した。
【※関連記事はこちら!】
クレジットカードの専門家が「カードの不正利用」の被害に遭遇! 悪用された金額の調査方法や、カード会社に被害を補償してもらう方法をわかりやすく解説 

 今回の被害額は約6000円。カード会社に問い合わせたところ、被害額は全額補償の対象になり、実被害はなくなったので、一応は一件落着。しかし、これでは犯人だけが得をしていることになるので、なんとか罰せられないかと、そのあたりのことを調べてみることにした。

「プロバイダ責任制限法」でも犯人の個人情報は開示できない!
さらに、警察にも「被害届は出せない」と言われ……

 前回の記事でお伝えしたとおり、筆者のクレジットカード情報を紐付けた(=不正利用した)Yahoo! JAPAN IDは確認できた。つまり、このIDの利用者情報がわかれば、犯人にたどり着くはずだ。

 まずは、犯人の手がかりを自分なりに調べてみた。すると、犯人のIDがYahoo! JAPANでどのようなサービスを利用しているのか、そして、他社サービスで利用しているIDや登録されている複数のメールアドレスもわかった。

犯人が利用していたYahoo!のサービス

 しかし、この情報だけではどうにもならない。犯人のYahoo! JAPAN IDから個人情報を開示をしてもらえれば身元を特定できるのだが……。

 そんなときに「掲示板などに書き込んだIPアドレスから情報開示を行い、個人情報を特定した」というニュースを見かけたことがあるのを思い出した。そこで、「プロバイダ責任制限法」で個人を特定できるのではないかと思い、調べてみた。

 「プロバイダ責任制限法に関する申告を行う方へ」というページを発見したので内容を確認すると、次のように書かれていた。

プロバイダ責任制限法は、ウェブページや電子掲示板に掲載された情報によって権利を侵害された場合について、以下の事項を定めるものです。

 これを読む限り、ネット上でクレジットカードを不正利用されたという今回のケースでは、登録されているアカウントの開示請求ができないことがわかった。

 続いて、ネットでの不正利用なので、警視庁のサイバー犯罪対策課に連絡するのはどうかと考えた。

 警視庁の専用番号に電話してみたが、自動音声案内で「緊急の場合は110番」「被害届は最寄りの警察署に」「情報提供はWebサイトで受け付ける」とアナウンスされたので、被害届を出すために地元の交番に行くことにした。

 交番で「クレジットカードの不正利用があったので被害届を出せますか」と聞くと、「被害に遭っているのはカード会社なので、カード会社から被害届を出してもらう必要がある」とのことだった。

 以前、ポイントの不正利用について「ネット上でポイントを第三者に利用されたとしても、ポイントの保有者本人が被害届を出すことはできない」と書いたことがある。その理由については、下記の記事で解説しているので読んでみてほしい。
【※関連記事はこちら!】
「不正ログイン」でクレジットカードやポイントを利用された被害者の体験をもとに犯人の手口を解説!カードやポイントの不正利用を防ぐ対策とは?

 となると、今回も被害届を出せるのはカード会社ということになるのだろう。

 そこで「アメリカン・エキスプレス」に電話してみたところ、今度は「カード会社からは被害届を出さないので、不正利用に遭った本人から被害届を出してください」と突き返されてしまった。

 警察とカード会社で言っていることが違うが、どちらを信じればいいのだろうか……。

ネットでクレジットカードを不正利用された場合は、
99%の確率で犯人を特定できない!

 念のために「アメリカン・エキスプレス」の会員規約を確認してみた。

 筆者が不正利用された「アメリカン・エキスプレス・プラチナ・ビジネス・カード」の場合は、第13条(カードの紛失・盗難、不正利用)の第1項に次のような表記があった。

カードの紛失、盗難、不正使用があった場合、もしくは発行時・更新時等これを通常受取るべきときに届かないことに気づいた場合には、会員は、直ちに最寄りの当社の営業所(海外においてはアメリカン・エキスプレスの営業所)にその旨を届け出るものとします。この場合には、会員は最寄りの警察署に紛失届・被害届等を提出した上、その警察署より届出の受理を証明する文書または受理番号を入手して当社に提出するものとします。

 これを読む限り、やはり、クレジットカードの会員が自ら警察署に被害届を出す必要があるとのこと。しかも、本来であれば、被害届を出さなければ不正利用としてカード会社に処理してもらえなかったようだ。

 警視庁の電話アナウンスでは「被害届は最寄りの警察署に」と言っており、「アメリカン・エキスプレス」の規約にも「警察署に紛失届・被害届等を提出し」と書いてあるので、次は交番ではなく“警察署”に行くことにした。交番との違いがよくわからないが、とりあえず警察署であれば被害届を出せるかもしれない。

 渋谷に行く用事があったので、ついでに渋谷警察署へ行ってきた。

 警察署に入るとすぐに簡易的な受付があり、鋭い目つきで「どちらに行かれますか?」と聞かれた。ネットで自分のクレジットカードが不正利用されたことを伝えると、首にかける通行証を渡され、4階に行くように言われた。署内を歩くのに通行証が必要だとは知らなかった。

 エレベーターで4階につくと「刑事課」があり、その下に「告発相談、犯罪被害者相談、性犯罪相談」と書いてあった。ちょっと場違いなところに来た気がした。

 ドアをノックをして中に入ると、ほかの相談者の応対をしていたようで、「廊下で待ってて」と言われてしまった。

 しばらくすると担当者が来た。廊下で簡単に説明した後に、いわゆる“刑事”が来たので補足説明した。

 刑事いわく「犯人の特定は99%不可能」とのことで、被害届を出すのも難しいそうだ。こちらで調べた情報を出したところ、一応の調査はしてくれるみたいだが、ネット上のIDやメールアドレスで個人を特定できることは滅多になく、今回もまったく違う人の情報にたどりつくだろうとのことだった。

 筆者も金銭的な問題は解決しているので、被害届を出す必要はないものの、やはり、犯人を見過ごすのは納得できない。ダークウェブなどで他人のクレジットカード番号を購入して、今回のように不正利用しても捕まることがなければ、いつまでたってもネット犯罪はなくならないだろう。

 犯人が見つかる可能性は低いが、調査はしてくれるそうなので、結果を待つことにした。

 ちなみに、クレジットカードを落としてコンビニなどで使われた場合は、防犯カメラなどから犯人を特定できる可能性はある。一方、ネット犯罪の場合は「Tor(匿名通信システム)」などでIPアドレスを偽装している可能性もあるため、捜査が難しいらしい。

ネット犯罪で「自分だけは大丈夫」という過信は命取り!
こまめに利用明細をチェックする習慣をつけよう!

 筆者は、免許の書き換えのときくらいしか警察署に行く機会がない。免許の書き換えの場合は、ハガキに掲載されている警察署であればどこでも問題ない。しかし、事件となるとそうはいかないらしい。今回、筆者は渋谷警察署に行ってしまったが、本来は管轄内の警察署に行く必要があるようだ。

 被害にあった場所で管轄が分かれるが、今回はネット犯罪なので、自宅の最寄り警察署に行くのが正解だったのだろう。とりあえず渋谷警察署で調査はするが、調査結果によっては地元警察署とのやりとりになるとのことだった。

 とはいっても、最寄りの交番に相談しようにも「被害者はカード会社なので、ここでは被害届を出せない」と言われてしまっている。このことを渋谷警察署に伝えると「確かに被害者はカード会社。ただし、カード会社が被害届を出さないと補償しないという場合は対応する」とのこと。どうやら警察が被害届を受理するかどうかはカード会社次第のようだ。

 今回、クレジットカードの不正利用を経験したことで、いろいろと勉強になった。被害額は6000円ほどと小さく(実際はカード会社が補償してくれるので実被害はない)、警察にしてみれば本気で捜査するような犯罪ではないかもしれないが、やはり、犯人を野放しにするのは納得できない。今後、進捗があればレポートしようと思う。

 何度も書くが、不正利用を発見するには、クレジットカードの利用明細を毎月チェックするしか方法はない。高額な利用なら、カード会社やECサイトなどのチェックに引っかかる可能性もあるが、今回のような少額被害はセキュリティチェックに引っかかりにくいからだ。
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 「気を付けていれば大丈夫」「自分だけは大丈夫」と考えている人もいるかもしれないが、今回の筆者のケースも、被害に遭ったクレジットカードはほとんど持ち歩かないもので、物理的にクレジットカードを盗まれたわけでも、スキミング被害に遭ったわけでもない。つまり、「被害に遭わないようにする」ことよりも「被害に遭ったときにどれだけ早く気づけるか」ということが重要なのだ。繰り返すが、利用明細は毎月チェックするようにして、不審な支払い項目があったらすぐにカード会社に確認する習慣をつけよう。
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 以上、今回は、クレジットカードを不正利用した犯人を特定できるかどうかについて解説した。
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