森山真二
EDLP(エブリディ・ロー・プライス)をご存じだろうか――。日本語に訳すと「毎日安売り」とか「毎日低価格」という意味だ。最近は食品スーパーやドラッグストアなどでも取り入れられ消費者にも知られるようになっておりEDLPを推進する小売業が増えている。しかし、見せかけだけのEDLPも少なくない。今後は本当のEDLPを構築したチェーンに「勝利の女神」は微笑むのだろうか。

昨年暮れ、神奈川県大和市にイオンの新しいディスカウント店(DS)がひっそりオープンした。にぎにぎしく報道陣を集めて開業したわけでもなく、しかもイオン系でありながら、イオンのプライベートブランド(PB)さえ置いていない。しかし、イオンがこのコロナ禍の時期に新型のDS店をオープンするのだから、「何か意味があるのだろう」と思い、現地に行ってみた。

倉庫型ディスカウントストアである「コストコ」と業務筋向けの体裁だが一般消費者向けの安売り店である「業務スーパー」――。両者ともコロナ禍による巣ごもり需要を取り込んで業績は堅調。業態として「装飾に金をかけずに大容量の商品を低価格で売る」という点で共通している。コロナ禍でぐいぐい伸びていくのはどちらになるだろうか。

流通業界もついにデフレ状態に入ったか――。堅調だったスーパーの売上高も鈍化し、コンビニ業界の売上高も低迷状態が続いている。堅調だったドラッグストアも一部のチェーンで月次売上高が軟調になってきた。消費者は先行きの不透明感から財布のひもが固くなっており流通は値下げラッシュ。来年は本格的なデフレに移行するのか。その先は流通業界の再編に向かうのか。

しまむらの売り上げ急回復は本物か――。これまでしまむらは既存店売上高の低迷が続き「客離れ」「深刻な客数減」などと指摘されてきた。しかし、そのしまむらが今年6月以降、目覚ましい回復を遂げているのだ。「しまラー」は戻ってきたのか。しまむらは再び支持される商品、売り場に変わったのだろうか。

アウトドア、スポーツなど衣料専門店、「#ワークマン女子」はコロナ禍に咲いたあだ花か、それとも大輪の花を咲かせることになるのか――。快進撃を続けるワークマンが今年10月、横浜市に新業態、「ワークマン女子」を開いた。11月初旬まで入場制限が続き、爆発的な滑り出しをみせる。しかし果たしてワークマン女子は存在意義を確立することができるか。

コロナ禍で売り上げが低迷するコンビニ業界。そうした中、セブン-イレブン・ジャパンが8~9月の2カ月連続で既存店売上高の前年同月比でプラスに転じてきた。まだファミリーマート、ローソンは水面下にあるが、実はこのセブンの早い立ち直りの裏にはこれまで着々と進めてきた秘策が潜んでいた。

新型コロナウイルスの感染拡大という「予期せぬ惨事」で流通の現場では何が起こっているのか――。スーパーは黙っていても売れるから安売りをせず、「Go Toトラベルキャンペーン」に便乗したホテル、旅館の値上げも発生している。コロナ禍で利用者の顔色をうかがう商売がいかに多いかを見てみた。

ドラッグストアにおける食品の売上高構成比が上昇している。コロナ禍で流通の“生態系”が変化し、コンビニエンスストアのお客がドラッグストアに流出している上、ドラッグストアではこれまで稼ぎ柱だった化粧品がドル箱商材でなくなっている。ドラッグストアは食品でいかに稼ぐかが今後の成長のカギとなりつつある。

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が展開するディスカウントストア「ドン・キホーテ」は本当に「大人になってしまった」(大原孝治前PPIH社長)のだろうか――。若者の購買行動をとらえ、M&A(合併・買収)で店舗数を増やし、今や国内小売業上位5位にまでのし上がったドンキ。隘(あい)路はないのか。

ディスカウント型店舗がかつてない伸びを続けている。コロナ禍の中、これまで小売業で伸長してきたのはドラッグストアや食品スーパーだったが、こうした業態の伸びは一段落。代わって、低価格型の店舗の売上高の伸びが鮮明になっている。これは果たして何を意味するのか。

セブン-イレブン・ジャパンは北海道で展開していた「ネットコンビニ」を7月から東京都内の一部地区に広げた。北海道での実験を経て、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークなど在宅勤務が増えていることや、コンビニの雇用環境が改善していることもあり展開地域の拡大を決断したとみられている。コンビニがひしめく都内でネットコンビニに勝算はあるのだろうか。

コンビニエンスストア復活の日はくるか――。コロナ禍を背景に、このところ既存店売上高がさえないコンビニ。世間的には「コンビニ飽和だ」「もうこれまでのように伸びていかないのではないか」という声も、以前よりも多く聞くようになった。しかし、大手コンビニは実はしたたかに、その姿を変えようとしている。

マツモトキヨシホールディングスとココカラファインの統合で「ドラッグストア業界1位」奪還は盤石なのか――。ドラッグストア業界を揺るがしたマツキヨHDとココカラの経営統合の発表。スケジュール通りだと来年10月にも統合は実行される見通しだ。だが、折からの新型コロナ感染拡大の影響で両社が首位を奪還しても「三日天下」で終わる可能性も指摘され始めている。

コロナ禍での流通の「勝ち組」はどこだ――。新型コロナの感染拡大で流通・外食業界でも「勝ち組」「負け組」が鮮明になっているが、その勝ち組の中でも「一人勝ち」を収めているところも少なくない。例えば、食品スーパーでは「業務スーパー」の3~5月の既存店売上高は2~3割は「当たり前」のごとく伸びているし、ドラッグストアのコスモス薬品もこの間、2ケタ以上の伸びを続ける。ワークマンもそうだ。実はそんな一人勝ち企業には意外な共通項があった。

なぜユニクロの夏用マスク(エアリズムマスク)に人気が殺到するのか。夏用マスクの代表である接触冷感のマスクは、すでに複数の企業が発売したり、事前予約を受けたりするなど、参入続出で市場争奪戦の様相だが、中でもユニクロのマスクの人気ぶりは絶妙な仕掛けと、ある「失敗」から生まれているといっていい。

コロナ禍は外食店、コンビニ、ビジネスホテルと、日本の流通、サービス業界の代表的な3つの業種の過剰状態を浮かび上がらせた。過剰状態のツケは末端の店舗や従業員に負担を強いる仕組みを生んでいる。

老舗アパレルのレナウンが民事再生手続きに入り経営破綻した。レナウンの破綻をめぐっては新型コロナウイルスの影響、EC(電子商取引)事業への出遅れ、さらに中国の山東如意科技集団見限り説など諸説ある。しかし、真因は別にある。

コンビニ大手の店舗従業員の新型コロナウイルス感染が判明した際の対応に温度差が出ている。ローソンは感染者が出た際、当該従業員が勤務していた「日時」まで公表しているのに対し、最大手のセブン-イレブン・ジャパンやファミリーマートは、いつ勤務していたかについての公表はない。消費者の身近にあるコンビニの対応策として果たしてどちらが親切といえるのだろうか。

普段あなたが利用していた店は、コロナ後も大丈夫か――。流通・小売業界ではコロナ禍の影響を受け再編、淘汰が進み、業界の寡占化を促すことが予想され始めている。コロナ禍の“後遺症”が長引けば、あなたがいつも使っている店や、その看板は残っていないかもしれないのだ。小売りの再編、集約が進んだその先に待っているのは価格が硬直化した、決して安くはない、非常に暮らしにくい世界の到来か。
