杉本りうこ
エルピーダ坂本元社長に聞く、中国紫光集団の副総裁オファーを受けた理由
中国半導体大手の紫光集団が11月15日、日本最後のDRAM半導体メーカー・エルピーダメモリ(2013年に米マイクロン・テクノロジーが買収)の元社長・坂本幸雄氏(72歳)を高級副総裁に起用すると発表した。デリケートな国際情勢が続く中、あえて中国のオファーを受けた意図を、坂本氏に聞いた。

第56回
東京大学エッジキャピタルは、大学関連のVCとして高い投資実績を誇ります。そのトップである郷治友孝社長が意外にも、「日本の研究危機をまず何とかすべきだ。ベンチャー投資だとか言っている場合じゃない」と強い警告を発しています。全2回のインタビューの後編です。

第55回
米シリコンバレーならぬ「本郷バレー」があるという。東京大学から、多くのベンチャー企業が育っていることが由来だ。その仕掛け人の呼び声が高い東大関連ファンド、東京大学エッジキャピタル(略称:UTEC)の郷治友孝社長に、日本のベンチャー投資と大学の課題を語ってもらった。

JDI再建「2週間以内に新計画固まる」、新たな支援の枠組みが明らかに
経営危機に落っている液晶大手JDIについて、海外の再建支援連合が新しい投資計画を進めていることが明らかになった。今後2週間以内で詳細が固まるという。

グーグルの量子コンピューター発表は、要するに何がすごいのか
米グーグルは23日、量子コンピューターを使って、最先端のスーパーコンピューターよりも高速で計算する成果を出したと発表した。社内の研究チームによる論文は同日の英学術誌ネイチャー(電子版)に掲載され、学術的実績としても高い評価を受けている。一体この発表、何がすごいのか? サイエンスに縁遠いビジネス層にも分かるように、量子コンピューター分野の若手起業家2人に解説してもらった。

2019/10/26号
火星移住のカギは日本のベンチャー企業が握っていた!
プラントで培養した人工の食用肉、ゲノム編集で肉厚になったマダイ、地上最強の断熱材……。SF小説さながらの驚きに満ちた研究成果が、これからの産業を変えていく。週刊ダイヤモンド最新号は、日本発・世界の産業を変えていくサイエンス研究&ベンチャー企業を一挙リポートします。

仮想通貨を巡る中国の深謀遠慮、「アリババがリブラ参入」騒動も
米フェイスブックの主導する仮想通貨・リブラは、まだ始まってもいないのに悪評が高い。各国の中央銀行は、金融政策への支障やマネーロンダリングの懸念を主張し、全面的に規制モードで進行中だ。そんな中、リブラに多大な関心を寄せる国がある。中国だ。

成功した実業家が政界に転じ世界の台風の目となった例といえば、もちろん米トランプ大統領だ。同じ展開が、アジアでも起こる可能性がまたぞろ高まってきた。台湾・鴻海精密工業の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏が12日、台湾国民党からの離党を表明。一度は断念とみられた2020年1月の台湾総統選に、無所属候補として出馬する見通しだ。

第43回
米フェイスブックが発表した仮想通貨「リブラ」の構想。世界各国から批判が相次ぐが、日本企業として真っ先に構想への参加意向を示したのがマネックスグループ。経営トップ自らが、ほぼ即決の勢いでリブラ運営団体に接触した。インターネット証券の勃興を見いだした経営トップは、リブラにも未来の巨大市場を見いだしたのか? リブラを巡る真意を聞いた。

#3
米トランプ政権の対中政策が「ルビコン川を渡った」のは、2018年8月に国防権限法(NDAA2019)が成立したときだ。中国のハイテク企業5社を名指しして、安全保障上の懸念があるため米国の政府調達に関わることを禁止。そしてこれ以降、米国は個別の中国企業への強硬姿勢をあらわにするようになった。中国政府によるエコノミック・ステイトクラフト(国益に基づく経済政策)の手先とにらんだ企業に次々と、禁輸措置や投資制限を下している。

長引く米中対立は激しい関税合戦や、中国ハイテク企業への禁輸措置など、自由貿易の世界にきしみをもたらしている。米国の対中強硬姿勢の根底には、新たな大国の台頭が自国の安全保障を揺るがすという強い警戒感が常にある。国益を実現するために発動される貿易・経済政策は、硝煙のない紛争における「武器」のようなもの。両国と経済的に深い関係を持つ日本にとっては、その攻撃の方向と打撃の度合いを慎重に見守る必要がある。いったいなぜ、こんな事態になったのか。東京大学名誉教授の伊藤元重氏に聞いた。

#1
企業関係者はへきえきするだろうが、貿易や投資といった経済活動に「国益の視点」が求められようとしている。冷戦終結から30年。ヒト・モノ・カネは国境を越えて自由に流動し、世界経済はグローバル化とともに膨張してきた。だがこれからは、あらゆる財が国境を越える際に「安全保障面で問題なし」のお墨付きを求められそうだ。これは海の向こうの出来事ではない。今まさに、日本で始まろうとしていることである。

中国が民間の技術力を活用して国防力を強化する「軍民融合」を推進する中、経済産業省が安全保障的な視点から技術・産業戦略を推進する司令塔組織を新設したことが、ダイヤモンド編集部の取材でわかった。米中では近年、国益を実現するために経済活動をコントロールする動きが活発化しているが、日本にもこの動きが広がっている。

Chapter5
何かについて知りたいときには、先達に教えを請うのが一番だ。SFもしかり。やみくもに書店に行ってSFコーナーに立っても戸惑うばかりだ。ビジネスのためのSFを伝える連載最終回は、テクノロジーに精通したビジネスパーソン4人が薦める「この一作」。最後には意外過ぎる一冊が待っている。

世界に大きなインパクトを与えたSFアニメ映画「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」。押井守監督は、この作品と当時の日本が、まだテクノロジー大国だったという時代感は無縁ではないと言う。そして今、世界で進むイノベーション競争に、日本企業が取り残されたような状況にあるのは、「僕に言わせれば当たり前の結果」と辛辣だ。

chapter4
米国の連続起業家、イーロン・マスク氏の最新ビジネスは、コンピューターを使った「脳機能の拡張」だ。アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス氏も、宇宙移住時代に備えた新事業に乗り出している。米国のテック企業経営者たちが、SF小説のような壮大稀有な構想を持つのには理由がある。

chapter3
ビジネスリーダーこそSFセンスが必要だ――。連載の3回目は起業家、清水亮氏と作家、藤井太洋氏のダブルインタビュー。それぞれの視点で、「リアルとSFの深いつながり」を自由奔放に語ってもらった。

7月上旬に日本で発売された中国発の長編SF『三体』が快進撃中だ。出版元の早川書房によると、発売1ヵ月で販売10万部を突破しベストセラーに。海外の翻訳SFがベストセラーになることは極めてまれという。この話題作の魅力はどこにあるのか。

chapter2
ビジネスパーソンにとって、「SFを愛読している」と言うのはためらいがあるかもしれない。現代社会に生きる上で重要なのは金融や会計のような専門知識や、英語のような実用スキル、過去に実際に起こった歴史など。これらに比べてSFが語る虚構の世界は、大の大人が時間を費やすにはふさわしくない、そう考えている人は少なくない。ところが世界の知の巨人はむしろ、SFを読むことを推奨している。

chapter1
あなたはもう読んだか? 7月に日本に上陸した中国のSF小説『三体』。刊行から1ヵ月で10万部を達成し、海外SF小説としては異例のヒットとなっている。米国のオバマ前大統領やフェイスブックのザッカーバーグCEOなどが激賞し、世界のSFファンを騒然とさせている大型話題作。著者の劉慈欣氏が中国経済の勃興から人類の想像力までを、縦横無尽に語った。
