◆今日の内容を10秒でチェック!
・日経平均は5日ぶり大幅反落、地政学リスクの高まりを嫌気
・エネルギーや防衛、海運、AIインフラが逆行高! DeNAは自社株買い
・「遠くの戦争は買い」? 米国では雇用統計など、注目株はカプコン
【1】今日の株式相場&話題株 早わかり!
5日ぶり大幅反落、地政学リスクの高まりを嫌気
【今日の相場】
日経平均株価は5日ぶり大幅反落! 28日の米国市場では主要株価指数がそろって下落した。英住宅金融会社の破綻から連想売りが広がり、銀行株の下落が目立った。中東情勢の緊迫化や決済大手ブロックによる大規模な人員削減なども投資家心理を悪化させた。一方、週末には米国によるイランへの軍事攻撃が行われ、イランも応戦。原油輸送の大動脈とされるホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、週明けの日経平均株価は大きく下落スタート、一時は5万7285.77円(-1564.5円)まで下げ幅を広げた。ただ、戦争の早期収束への期待や買い遅れた投資家による旺盛な押し目買い意欲から急速に切り返すと、485円安まで下げ渋る場面もあった。
全体は下落したが、エネルギー・防衛・海運などは大きく上昇した。大手商社株については、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いてきた米投資会社バークシャー・ハザウェイによる買い増しも追い風となった。また、三井金属やフジクラなどAIインフラ関連株の一角でも逆行高がみられた。今日の日経平均株価の動きを見ると、イラン情勢をめぐり悲観と楽観が交錯していると言えそうだ。今日のX(旧ツイッター)の音声チャット「スペース」配信では、気になる株式相場の焦点や投資の取り組み方などについて解説しているので、今後の参考にしてほしい。
【※Xスペース配信(3月2日)はコチラから】
⇒https://x.com/ZAiClub/status/2028317703661101190
【日経平均】58057.24円↓↓(-793.03円)
【グロース250】768.64↓↓(-9.06)
【NYダウ】48977.92ドル↓↓(-521.28ドル、27日)
【ナスダック】22668.212↓(-210.171、27日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【今日の話題株】
◆INPEX(1605)
4031円(+231円)
イランが世界の石油供給の約2割が通過するホルムズ海峡を事実上封鎖したことで、WTI原油の先物価格は一時10%超も急伸。封鎖が長期化した場合、価格は現在の1バレル=70ドル台前半から90~100ドル台にまで上昇するとの予想もあり、鉱業株が買われた。また、スエズ運河の航海が難しくなったため、運賃の高騰が意識され、川崎汽船など海運株も急伸。一方、燃料価格の高騰が重石となる日本航空(JAL)など航空株は大きく下落した。
◆三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
2820.0円(-148.5円)
ソフトウェア関連株の急落を契機とした米資産運用会社のブルー・アウル・キャピタルを巡る信用不安に、英住宅金融会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)の破綻が加わり、先週末の米国市場では銀行株が急落。これが東京市場でも銀行株の連想売りを促した。また、中東情勢の悪化を受けた景気悪化や長期金利の低下による利ザヤ縮小も嫌気された。
◆ディー・エヌ・エー(2432)
2764円(+104円)
発行済み株式数(自己株式を除く)の22.4%に当たる2500万株、500億円を上限とする自社株買いを発表した。取得した全株式は消却予定だ。また、政策保有株の売却も発表しており、資本効率の向上を意識した動きが投資家からの評価を高めたようだ。
【2】月曜コーナー「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
「遠くの戦争は買い」? 米雇用統計など、注目株はカプコン
先週の日経平均株価は+2024.57円(+3.56%)。米連邦最高裁のトランプ関税への違憲判決や、AI(人工知能)がIT業務を代替する「SaaSの死」への懸念などかく乱要因はいくつかあった。ただ、金融緩和に積極的な「リフレ派」色の強い日銀審議委員の人事案が日本株の急速な上昇を促した。
今後の相場は米国・イラン戦争の行方によるところが大きい。日本が輸入する原油の8割以上が経由するホルムズ海峡が事実上封鎖された。日本経済については原油価格の高騰や貿易収支の悪化を通じた円安、輸入インフレの再燃が懸念される。ただ、「遠くの戦争は買い」という相場格言があるように、過去の経験則からいえば、地政学リスクによる株価の下落は往々にして一時的に終わることが多い。また、“ホルムズ海峡の封鎖”という最悪に近いヘッドラインが既出となったことも悪材料出尽くしを想起させる。過度に楽観に傾くのは危ういが、中長的には押し目買いの好機と捉えたい。
一方、米国では「SaaSの死」を受けたソフトウェア関連株の急落を契機に、プライベートクレジットファンドを巡る信用不安が高まっている。ここに、英住宅金融会社の破綻が加わり、信用力の低い企業が発行するハイイールド債(ジャンク債)のクレジットスプレッド(国債に対する上乗せ利回り)が上昇している。将来の相場に対する投資家心理を反映し、「恐怖指数」とも呼ばれる米VIX指数が高止まりしていることもあり、リスク指標の高まりを受けた株式などのリスク資産の機械的な持ち高削減には注意したい。
また、先週末には米決済大手のブロックが、人員を40%削減することが判明した。AIツールの発展が背景にあるようで、AIによる脅威が再燃している。今週末には米国で2月雇用統計が発表されるが、予想より弱いと、AI脅威の高まりからソフトウェア関連株への売りが強まるかもしれない。週末には1月の米小売売上高も発表される。前回12月分は予想より悪かったため、1月分も弱いと、個人消費を中心とした景気懸念が高まりそうだ。
4日(水)には米半導体のブロードコムが決算を発表する。フジクラや三井金属などAIインフラ関連の一角で強さが続いているが、米半導体大手エヌビディアは先週の好決算以降も動きが良くない。一部のAI関連株に買い疲れ感が見られる中、ブロードコムの決算後の反応に注目だ。
【仲村の今週の注目銘柄・テーマ】
カプコン(9697)
「ゲーム・エンタメ」
3636円(+43円)
昨年9月以降、半導体などAIインフラ株への注目度が高まり、投資家の資金がゲーム・エンタメ株からAIインフラに向かったことに伴い、長らく調整を強いられた。ただ、先週末はカプコンをはじめ、コナミグループなどゲーム株が大きく上昇。地合いが悪化して相場が大きく下げた今日もカプコンは続伸した。
昨年7月以降の株価下落の最大要因は『モンスターハンター』シリーズの最新作の不評だったが、ユーザーによる評価は徐々に改善している。また、もう1つの主力『バイオハザード』シリーズでは、『バイオハザード レクイエム』が2月27日に発売されたばかり。世界最大級のゲーム配信プラットフォーム、Steamのセールスランキングで、日本だけでなくグローバルでも1位を獲得するなど非常に好調な出足となっている。
(1)米ビッグテック企業のAIへの過剰投資懸念、(2)「SaaSの死」によるソフトウェア関連株の低迷、(3)中東情勢などの外部環境の不透明感、などを考慮すると、景気動向に左右されにくく、相対的に安心感の高いエンタメ株に資金が回帰することも考えられる。

仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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