iDeCo(個人型確定拠出年金)おすすめ比較&徹底解説[2024年]

iDeCoに投資初心者が抱く“3つの勘違い”を解消!老後のお金の不安を解決してくれる「iDeCoの仕組み」も7つのステップで紹介!

2017年4月6日公開(2022年3月29日更新)
山崎 俊輔
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30~40歳代から老後のお金を準備する
「iDeCo」なら老後の不安が解消できる!

iDeCoのおすすめ金融機関

 iDeCo(個人型確定拠出年金)のような「自分で自分の老後のためにお金を貯める場合には、国が税金を優遇することでお得になる仕組み」の導入は、イギリスやアメリカなどでも進んでおり、もはや世界的なトレンドになっています。

 実のところiDeCoに象徴されるように、「老後のために、現役時代からお金の準備をすることが大切」と考えられるようになったのは、歴史的に見ても近年が初めてのことではないかと思います。

 今までのシニア世代の多くは、現役時代にはただがむしゃらに働くだけで何か特別な老後の備えをしてきたわけではありませんでした。ですが結果として、退職金がそこそこ出て、公的年金もそこそこあって、老後もお金が足りるほどの長さだったからこそ、やりくりができてきたのです。

 しかし今の現役世代は、これまでのシニア世代のように十分な退職金や公的年金が期待できず、しかも平均寿命が伸びたことで定年退職以降の老後が長くなり、「計画的に老後に備える」ようにしなければ生き抜けない世の中になっています。これこそがiDeCoの始まった大きな理由と言えます。

 今、30~40歳代の人は「老後、お金に苦労するのか……」と悲観的になっているかもしれません。ですが、むしろ「将来(老後)が見えている(予測できる)」ことは幸運だと考えてみてください。なぜなら、今からiDeCoなどを活用して老後資金を補うことができれば、老後のお金の不安の大部分は解消することも十分可能だからです。

iDeCoは「老後を楽しむ」ために必要な仕組みだった!

 現在、日本人の90%以上(実際にはほぼ95%)の人が年金生活スタートの年齢まで存命しており、平均的な老後は約20年あると言われています。そして男性の半数は85歳、女性の半数は90歳以上まで生きるのが、今という時代の現実です。

 一般に想定されるより長生きする確率は高く、また老後の期間も長い。とすれば、これは同時に老後のお金も一般的なイメージより多く必要だ、ということです。

 1000万円の退職金をもらったとき、老後が10年だけなら(贅沢さえしなければ)それだけでも十分な金額です。年金収入も見込めば、退職金を毎月8万円ずつ10年取り崩しても足りるからです。しかし老後が20年、30年もあるとしたら、毎月、退職金1000万円から取り崩せる金額はたった2万~3万円になってしまいます。つまり、今の時代は退職金を取り崩すだけでは足りないということです。

 現在でも公的年金だけで家計をやりくりできず、毎月6万円ほど貯蓄を取り崩しているのが全国の平均的な年金生活者の姿ですが、この6万円は「交際費」「趣味・教養・娯楽費」などの金額にほぼ匹敵します。要するに、月6万円が「老後をエンジョイする費用」なのです。

 長いセカンドライフを楽しむにあたり「ヒマな時間は無限大」であっても、「カネ」がなければその時間を有効活用できません。もちろん予算を抑えた楽しみ方はあっても、予算ゼロというわけにはいかないでしょう。せっかくの長いセカンドライフを楽しくできるかどうかの分岐点は、「月数万円、生活費以外に使える金があるか、ないか」の差でもあるのです。

 前回はiDeCoを活用すると、3つの場面(積み立て、運用、受け取り)で節税メリットが得られて、とてもお得になるとお伝えしました。

【※前回の記事はこちら!】
iDeCo(個人型確定拠出年金)は本当に得する制度!?  3つの節税メリットと魅力をFPが徹底解説!

 しかし、もし皆さんが未だにiDeCoに対して、「いやだなー、なんでこんな面倒なことをしなきゃいけないんだよ」という発想を持っていたならば、まず捨ててください。そうではなく、

「今の生活はちょっと大変になるけれど、その分確実に自分のセカンドライフは楽しくなる!」

「今節約してiDeCoに積み立てたお金は、必ず自分が老後を楽しむお金に化ける!」

 と考えてみてほしいと思います。

 誰かのためにやるわけではありません。毎月の積み立てはあなた自身の将来のために(あるいは夫婦のために)がんばるものなのです。そう考えることは、きっとiDeCoを続けるモチベーションにもなるはずです。

今さら聞けないiDeCoの基本的な「流れ」とは?
 「7つのステップ」で確認!

 ここまでで、iDeCoはただ節税メリットを得るためだけではなく、老後を楽しむために必要な制度だとおわかりいただけたかと思います。ではiDeCoを始めるには、どんな手順を踏めばいいのでしょうか? iDeCoを始めてからお金を受け取るまでの基本的な流れを確認しておきましょう。

1.iDeCo口座を開設する(金融機関を一つ選ぶ)
   ↓
2.現役時代に生活費を削ってiDeCo口座に入金する(60歳まで、毎月一定額を定期的に入金)
   ↓
3.自分専用のiDeCo口座にお金が積み立てられる(iDeCo口座にお金が貯まる)
   ↓
4.運用の方法は自分で決めて注文を出す(毎月の掛金で買う金融商品を指示する)
   ↓
5.残高(時価残高)は自分の積立額や運用方法によりひとりひとり異なる。いつでも自分の残高を確認できる(各金融機関の自分専用のWEBページで確認が可能だが、書類でも年1~2回程度届く)
   ↓
6.必要に応じて売り買いを行う(スイッチング)
   ↓
7.60歳以降、受け取り請求を行う(「一時金受け取り」と「年金受け取り」の2種類がある)

 基本的な流れとして押さえておきたいのは、「毎月定期的に入金」することと「60歳まで積み立て、その後受け取る」ということです。

 逆にいえば、50歳になってから、老後に備えたいからと慌てて毎月10万円を積み立てることはできません。iDeCoには毎月の積立額の上限があるからです。「早い」時期から、「長く」積み立てた人ほど、元本を多く積み上げられて得するのがiDeCoの仕組みなのです。だからこそ、若いうちに、早くスタートしていただきたいのです!

最初に解いておきたい! iDeCoにまつわる「3つの勘違い」

 実のところiDeCoは、勘違いされやすい仕組みでもあります。特に「iDeCo=投資」という思い込みから来る勘違いは、早い段階で解いておきたいところです。ここではよくあるiDeCoにまつわる勘違いを3つ紹介しましょう。

【勘違いその1:iDeCoでは必ず投資しなければならない】

 iDeCoは、貯蓄から投資への流れを促す仕組みの象徴のように語られがちです。確かにiDeCoを活用することで投資を行って得た利益を非課税で得ることができれば、とても得することは確かです。しかしiDeCoでは、投資が義務づけられているわけではありません。積み立てたお金を全額「定期預金」にすることもできます。もちろん超低金利の環境ですからほとんど資産は増えませんが、所得税と住民税の軽減メリットだけでも十分に「儲かる仕組み」になっています。ですから、投資初心者の方でも安心して始めることができます。

 また「一部定期預金、一部投資」というような選択も可能です。「定期預金に30%、投資信託に70%」「定期預金に50%、投資信託に50%」「定期預金に70%、投資信託に30%、」というように一部分を安全資産に振り向けておけば、その分については元本割れを免れることができます。

 仮に掛金を、「定期預金:投資=5:5」に配分したならば、これは「50%の資産は超低金利だが元本割れも回避され、50%の資産については元本割れの可能性もあるが長い目で見れば高利回りを狙う」というリスクコントロールになります。

 それでもアベノミクスのような上昇相場で投資資産の価格が30%上がれば、資産全体として15%増えることになりますし、リーマンショックのような急落相場で投資資産が30%下がったときも資産の半分は定期預金で減りませんから、全体では15%の減少に抑えられたことになります。

 マーケットのリスクはコントロールできませんが(私たちが株価を決めることはできない)、資産配分を行うことで自分の財産の価格変動幅はある程度セルフコントロールできるわけです。ですからiDeCoを始める際は、投資が義務だと勘違いしないようにしましょう。特に投資初心者の方ならば無理に投資をする必要はなく、あくまで自分の許容できる範囲で投資をすればいいのです。

【勘違いその2:iDeCoは絶対に60歳まで積み立てを続けなければならない】

 iDeCoは60歳まで原則解約NG(積み立てたお金を下ろせない)という厳しいルールになっています。しかし「積み立てを必ず60歳まで継続しなければならない」というのは大きな誤解です。

 iDeCoは「積み立ての中断」ができます。家計が厳しい時期に積み立てをストップすることは、書類一枚でいつでも可能です。もちろん積み立てを再開することもできます。

 「掛け金額の変更(引き下げ・引き上げ)」もできます。最低でも月5000円の積み立てが必要ですが、月1万円の積み立てによる家計の負担が重くなってきたから、しばらく月5000円の積み立てに変更する、というようなことができるわけです。変更は年1回のみ行えます。

 例えばいきなり家族が入院し医療費がかかるなどの事情が起きた場合に、積み立てを一時停止したり、積み立てる金額を引き下げたりすることができるのです。

【勘違いその3:iDeCoで一度出した注文は60歳まで変更できない】

 よくある誤解の三つ目は、「運用の指図」の変更についてです。詳しくは後日改めて解説しますが、iDeCoでは毎月の掛金に売買注文を出す「配分指定変更」と、今ある残高の売買(いわゆる投資の売買のイメージ)を行う「スイッチング」の2種類の注文が出せる仕組みになっています。

 いずれもいつでも注文を出すことができるのですが(実際の売買は後日成立する)、加入時に一度出した注文は60歳まで変更できないと考えている人が意外と多いのです。

 毎月の注文について、加入時からずっと同じままでももちろんOKですが、30歳のときと50歳のときで違ってももちろん構いません。また、売買を行わなくても構いませんが、売ったり買ったりするのは自由です。

 たぶん「60歳までお金を下ろせない」という強いイメージが、「60歳まで運用を変えられない」という誤解を生んでいるのだと思います。むしろ必要に応じて、どんどん売り買いをしていいのです。

 次回はiDeCoによる節税メリットを得るための手続きを中心にチェックします。必要な書類や役所への手続きについて具体的に確認してみましょう。皆さんが想像するより手間や負担は少ないと思いますよ!

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山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)[ファイナンシャルプランナー]
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。
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どの金融機関でiDeCo口座を開設した場合でも、別途、国民年金基金連合会へ支払う加入時手数料2829円、国民年金基金連合会と信託銀行へ支払う手数料合計171円(毎月)かかる。受取時は給付手数料440円(1回毎)を信託銀行に支払う。還付時には、国民年金基金連合会と信託銀行への還付時手数料として合計1488円(1回毎)がかかる。運営機関変更時の手数料は「他の金融機関から」変更の場合で、「他の金融機関に」変更する場合は4400円の手数料が発生する場合がある。下記の金額は掛金を拠出する場合(すべて税込)。
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