年末から年始にかけての円高傾向に加え、アップルショックが襲った大発会。年初から波乱の幕開けとなりました。
多くのIT系企業や外需企業が年初来安値を更新しています。一体、いつが買い場なのでしょう。今回は半導体関連の買い場について書かせていただきました。
今年も相場は難しい展開が予想されます。耐えるときは耐え、我慢するときは我慢するのが長期の投資には求められます。特にこの三ヶ月は変動の大きな市場となるでしょう。なかなか厳しい展開に悩まされていますが、長期的には買い場が来ていると実感しています。いまが我慢の時です。
東京エレクトロンの株価はいつ反転するのか?
★★★★☆ (5段階中4 5が最高評価)
世界的な半導体製造装置メーカーである東京エレクトロン(8035)。東京エレクトロンをはじめとする半導体製造装置関連の株価がさえません。過去1年に渡り大きく株価が調整しています。今回は、株価の反転のタイミングについて考えてみたいと思います。
東京エレクトロン(8035)の株価動向ですが、長期では株価が切り上がっています。2014年に5000円程度でしたが、2017年末には20000円を超えました。背景は、半導体の「スーパーサイクル」でした。5年連続の増収(2014/3-2018/3)を達成し、楽観論が広がったのです。スーパーサイクルとは半導体業界の景気循環(シリコンサイクル)が平準化されて、業績拡大が長期化する現象です。半導体は、自動車やスマートフォンやサーバーなどに多く使われますが、今後はセンサーを多用するIoT分野や医療、家電、ロボットなどに使用量が拡大していきます。半導体の実需の見通しは明るいのです。
ところが、この1年で株価が半値の11000円台になってしまいました。この急激な下落は、米中の貿易摩擦にともなう世界景気の悪化懸念、米中の自動車販売の不振、スマートフォンの普及の一巡などの要因があります。さらに大きな要因は、中国の技術大国化を阻止しようと目論む米国政府の圧力です。
半導体製造装置大手に「中国には半導体製造装置を売るな」という圧力です。半導体製造装置の内作化を進める中国ですが、一朝一夕にはいきません。
東京エレクトロンに代表される大手装置メーカーの協力なくして、中国は半導体が作れません。
それこそが米国政府の狙いなのですから、半導体を巡る国家間の争いは長期化するでしょう。つまり、足元、半導体の設備投資動向は視界不良に陥っているのです。残念ながら、半導体セクターは「底が見えない」というのが短期的な見方でしょう。
しかし、前述の通り、長期的には、サーバー向け記憶媒体ハードディスクからの半導体SSDへの置き換え、IoT/AI化、あるいは電気自動車や自動運転などの普及で半導体需要は強まるはずです。こうした社会の長期のトレンドを見たとき、政治的な摩擦を実需が乗り越える時期が1-2年内に到来すると考えています。
半導体は長期的に増収になるが減益時の下げも大きい
半導体の普及については、過去も飛躍的な普及を見せてきました。パソコンが普及したのも80年代からです。その後、ノートパソコンが普及、携帯、スマートフォンやタブレッドが普及しました。過去の東京エレクトロンの売上動向を見てみますと、半導体製造装置セクターは、常に「スーパーサイクル」であったことがわかります。1994/3-1998/3まで5年連続の増収を達成しました。携帯電話が世界的に普及する時期でした。いわゆるITバブルでした。次に、2003/3から2008/3まで最長記録である6年連続の増収を記録します。グローバル化した世界経済が新興国の経済水準の底上げにより順調に拡大したのです。しかし、その後、リーマンショックが起き、2年連続の減収を記録します。
過去26期間(1993/3-2018/3)で減収は6回で増収は20回です。5年連続の増収が2回、6年連続増収を1回記録しました。連続減収は一度だけです。これはとても素晴らしい記録です。26期間の平均増収率は11%です。長期に渡り二桁で伸びる市場はあまりありません。
ただし、よいことばかりではありません。減収になるときは大きな減収を記録する傾向があるのです。ITバブル後は4割減収、リーマンショック時には5割を超える減収(2年で)になりました。
歴史は、5年以上の増収が続いた後では大きな減収が待ち受けていることを示唆しています。スーパーサイクルは大きな調整を伴うと考えておいた方がよいとわたしは思います。ただし、過去からわかることは、減収は長くて2年、通常は1年です。株価の調整期間でもっとも長い調整はリーマンショック後の2年です。
また、過去27年間で赤字が4年ほどあります。ただし、赤字であっても、東京エレクトロンは配当を払いました。過去、無配とはならなかった企業なのです。
長期では「買い」の水準だがベストな買い場は3月15日あたりを想定
スーパーサイクルの終焉を前提とすれば、減収はせいぜい2年です。株価の長期の推移を見ても、株価のピークとボトムの間隔は長いときで2年、短かいときで1年です。そうなると、東京エレクトロンは、2017年末にピークを打っているため、すでに1年の調整期間を経たわけです。2019年12月まで調整が続けばそれは下落期間が2年に及ぶことになり、さすがにそれはないと思えます。ですから、同社株は今後1年のうちに、よい買い場となると考えてよいでしょう。
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