ジャパンマテリアル(6055)の株価は5年で約7倍に
ジャパンマテリアル(6055)の株価は5年で約7倍になりました。コロナショックで年初来安値となる1023円をつけたものの、その後は猛反発。6月3日の終値は1692円で、1月14日につけた年初来高値1923円に迫りつつあります。
同社は、半導体工場のメンテナンスを一括して請け負う事業を行っており、日本の半導体の復活を支える企業と言えるでしょう。同社の田中久男社長は、キオクシア(旧東芝メモリ)を世界一の半導体メーカにするという夢を抱いています。
同社の魅力は、三世代にわたる社員が協調して切磋琢磨する社風にあります。職場には18歳の若者、40代の働き盛り、70代の熟練という三世代が一緒に働いています。私は同社の人と技術を大事にする経営こそが、日の丸半導体が復活するキーファクターだと考えています。
日の丸半導体が凋落した要因とは
30年前、日本の半導体メーカーは世界に君臨していましたが、その後、米国や韓国に抜かれてしまいました。日の丸半導体が衰退した理由の1つが、高度なノウハウを有する熟練の半導体技術者を定年退職させたことです。定年退職した日本人技術者を韓国メーカーが雇い、貴重なノウハウが流出しました。
度重なる人材流出で国内の半導体メーカーが凋落した結果、技術だけでなく、本来なら守れたはずの数十万人もの雇用まで失いました。今年、武漢でCOVID-19の感染が拡大し、政府は日本人をチャーター機で帰国させましたが、搭乗客の大半が中国人に半導体技術を教える日本人技術者でした。中国は引退した日本人技術者を高給で迎えているのです。
半導体はスマホやサーバーなどの基幹部品であり、軍事的にも重要です。まさに産業の米と言える半導体技術をいとも簡単に流出させた国内の半導体メーカーの経営者は「大馬鹿もの」と言えるでしょう。定年という馬鹿げた慣習を頑なに守り、必要な技術や人をライバルに渡してしまったのですから。
省人化のイメージ強い半導体工場だが、実は超労働集約的
半導体工場と言えば、自動化や省人化が進んでいるイメージを抱く人は多いと思いますが、その反対で超労働集約的です。数千という種類のガスや薬液や部品を絶えず発注して補充し、製造装置はウェハー上、原子レベルで「多種多様な原子で何百階の建物を積み上げる」超精密なメカのお化けです。
製造装置は何千もの部品からなるメカですから常時メンテナンスが必要です。膨大なソフトウエアによる情報処理でも一定量のバグが出ます。真空ポンプも複数の種類がありオーバーホールが必要で、製造装置はプラズマで痛むため洗浄や部品交換が必要です。工場は24時間操業で、検査もじっくりと行う。つまり、半導体製造は「ハンドメイド」に近く、半導体工場は労働集約的なのが実態です。
技術伝承や雇用創出を支えるジャパンマテリアル
半導体工場が労働集約的であるが故のメリットがあります。1つの街が生まれるほどの雇用を生むことです。事実、世界有数のNANDフラッシュメーカーであるキオクシアの四日市にある工場には、常時2万人を超える人々が集っています。従業員だけでなく、関係会社やインフラを支える人なども含めるとさらに膨大です。
ただ、国内半導体メーカーに対する投資家の見方は冷淡です。凋落した国内半導体メーカーに政府が支援しても再興できないと懸念し、積極的に投資しようとしない。特にグローバリズムの信奉者たちは、その傾向が強いと言えます。
私はグローバリズムの時代は終わろうとしていると思います。私も以前はグローバリズムの信奉者でしたが、最近は人と人、人や地域の関係性を重視したローカリズムを信じています。ローカルな日本株を専門とし、日本企業、特に伝統文化の彩の残る地方企業に頑張ってもらいたい、と強く願います。その意味で、技術の伝承と地域の雇用創出を支えるジャパンマテリアルは強く応援したい1社です。
「キオクシアをサムスンに勝たせる」その戦略とは?
私は、ジャパンマテリアルの田中社長に聞きました。「キオクシアはサムスンに勝てるでしょうか?」と。それに対して、田中社長は「勝つ。勝たなければならない。日本国家と我々日本人が一丸となって勝たせるだろう」と答えました。では、具体的にどうやって勝つのでしょうか? 同社の経営戦略や投資価値などを詳しく知りたい人は、個別銘柄を紹介する会員ページの「個別銘柄分析」をご覧ください。
(DFR投資助言者 山本潤)
この連載は、10年で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます