ハイデイ日高(7611)の株価は10年で約7倍に
中華料理店「日高屋」を展開するハイデイ日高(7611)の株価は、2010年の400円台から、2017年に高値2928円をつけるなど約7倍に上昇。コロナショックで今年3月13日に1195円をつけた後、直近で1600円台まで回復しています。
同社の事業は、サラリーマンの外食需要を取り込み、成長を続けています。社員900人とアルバイト9000人で運営し、アルバイトの4割は外国人です。アルバイトの待遇は良く、福利厚生を含めて新卒社員の初任給程度あります。さらに実働時間に応じてアルバイトにも年二回ボーナスを支給し、計画を上回る利益をあげた場合は超過分の半分を社員とアルバイトに還元します。私も長年、企業調査をしていますが、アルバイトにこれだけボーナスを支給する企業は初めてです。
アルバイトや社員を大切にする姿勢は「社員やアルバイトは兄弟」「お店は家族」と考える経営方針によるもの。店長には、新しいアルバイトや社員が入ったら弟だと思って接し、お客さんが来店したら家族だと思って接客してくれと指導しています。
次の稼ぎ頭、焼鳥チェーンを始めた意外な理由
アルバイトや社員を慰労する懇親会も定期的に開催しています。2019年は9回開催しました。社員はまだしも、アルバイトの慰労会を開くのは珍しいです。懇親会を開催するようになった理由は、以前、20年間勤めたパートが辞めた際に、経営陣が「ありがとう」を言えず、人間として耐えられないと思ったからです。経営陣は従業員の前ではいつも笑顔です。パートやアルバイトがいないと経営が成り立たず、感謝しかないという気持ちからです。
近年、焼鳥チェーン「焼鳥日高」も始めました。始めた理由は、やはり社員やアルバイトを考えてのことです。中華料理は重い中華鍋で調理するため、手首を痛める人が多く、重さゆえに高齢で続けるのも大変です。一方、焼鳥屋なら60歳を過ぎても働き続けられると考えて始めたのです。
高い利益率と従業員や地域を大切にする経営を両立
日高屋のメニューは飽きのこない定番料理が中心です。材料は国産野菜を使い、経営陣が嫌いな添加物もなるべく使いません。同社は、他の外食チェーンと比べて高収益です。その理由はセントラルキッチン方式で埼玉県にある行田工場の稼働率が高く、出店が首都圏のみで配送効率が高いためです。
経営陣は利益以上に、出店した地域の住民が喜ぶことを重視しています。会長の神田正氏は苦労人です。幼い頃は貧乏でしたが、今も貧乏の精神のままで一生を終えたいそうです。欲しいものはなく、お金があれば社員やアルバイトに還元したいと言います。
経営陣は起業時に申し合わせ、自分の子息を会社に入れないことにしました。次代の経営者は、社員から選ぶと公言しています。外部招聘も考えていません。社員やアルバイトに対する処遇、地域社会とのあり方などステークホルダーと良好な関係を築くことで事業を永続する姿勢に大変共感できます。
新型コロナ感染拡大の影響と中長期の見通しは?
新型コロナの感染拡大の影響はあります。アルバイトには休業補償を行なっています。同時に、政府にも補助金などを申請する計画ですが、社労士の手が一杯で申請に時間がかかりそうです。社員がシフトをうまく組むことで、人手不足の店舗を手伝っています。感染対策のため、座席の間隔を十分に空けて、営業時間を短縮しています。
中長期の見通しですが、日高屋の出店計画は、現状の1.4~1.5倍の600店体制を目指しています。焼鳥日高も現状の約30店から100店程度の出店は可能とのことです。焼鳥日高の利益率も日高屋並みだと考えると、今後も成長が見込め、長期投資の対象として魅力があると言えます。
(DFR投資助言者 山本潤)
この連載は、10年で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます。